大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和42年(ワ)12142号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕次に、原告らは、昭和二二年八月(小俣が本件私道の南側部分を国に物納したとき)に、国との間で、右私道につき通行地役権を設定した旨主張する。

まず、右主張のような通行地役権の設定が明示の意思表示をもつてなされたことを認めるに足りる証拠はない。

しかし、前記一で認定したとおり、本件私道は、通路としての外形を明確に備え、CないしG地、殊にD、EおよびF地の使用者(地上建物の所有者とこの使用者の双方)にとつて公路に通ずる不可欠の私道として利用された状態のままで物納され、しかもその結果としてPS線を境にA、B地とCないしG地との所有者を異にすることになるのであるから、A地およびB地の所有者である小俣とC地ないしG地の所有者である国との間で、本件私道を従来どおり存置し、かつ、この利用形式として単に債権的なものに止めずに物権の地位にまで高めたものを相互に設定すること、すなわち、原告ら主張のごとく、小俣と国との間に互いにそれらの所有地のため、本件私道敷中自己の所有に属しない部分に通行地役権を有するとともに、右私道敷中自己の所有に属する部分の上には他の所有者のため地役権を負担する旨の相互的且つ交錯的な合意が暗然の間に成立したものと推認するのが相当であり、この推認を妨げるに足りる証拠はない。現に、小俣としても、右物納の前後において、さきの借地人らが本件私道を後前通り通行の用に供することにはなんら異存がなかつたことは、前記認定事実および証人富田輝彦の証言によつて認められるところであるし、逆に右のごとき合意がなく、本件私道のうちPS線より北側部分を小俣が排地的に使用収益するとすれば、CないしG地の使用者が公道に出るためにはPS線より南側部分の僅か二メートル前後の狭い通路を通るほかなく、後前の利用効率が著しく損われることになつて、右土地が物納された目的に背地する結果となり、小俣および国の合理的意思に副うゆえんではない。

(伊東秀郎 小林啓二 篠原勝美)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!