大判例

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東京地方裁判所 昭和42年(ワ)2194号 判決

原告

西武自動車株式会社

被告

東光建材株式会社

ほか一名

第一 主文

一、被告小林は原告に対し金一五〇、三一〇円および内金一二六、三一〇円に対する昭和四二年一〇月一〇日から完済まで年五分の割合による金員の支払をせよ。

二、原告その余の各請求を棄却する。

三、訴訟費用は被告小林に対する部分は被告小林の負担とし、その余は原告の負担とする。

四、この判決一項は仮に執行することができる。

第二 本訴請求

「被告らは原告に対し、各自金一五〇、三一〇円および本訴状送達の翌日から完済まで、年五分の割合による金員の支払をせよ。」との判決ならびに仮執行宣言。

第三争いない事実

一、本件交通事故発生

とき 昭和四一年九月一八日

ところ 都内小金井市桜町二丁目三の二、二四七番地先路上

事故車 訴外有限会社石川商店所有の「ふそう」六四年型ダンプ、練一そ三、三七一号

右運転者 被告小林

破損車 原告所有のバス日産六一年型、多二い、〇〇七三号

態様 原告バスが客扱いのため停車中、被告小林はその後尾に追突した。

二、責任原因について

(一) 本件事故は被告小林の前方注視を怠つた過失により発生したものである。被告小林は原告に生じた損害につき、民法七〇九条の賠償責任がある。

(二) 本件事故車の名義人である訴外石川商店は倒産状態となり本件事故当時、被告会社をふくむ債権者らの管理下におかれていた。

第四争点

一、原告の主張

(一) 被告会社の責任原因

被告会社は原告小林の使用者として民法第七一五条による賠償の責任がある。

すなわち本件事故車の所有名義人である有限会社石川商店は昭和四一年五月頃倒産し、本件事故車をふくむすべての財産は債権者らの管理のもとにおかれていた。そして被告会社は債権回収のために本件事故車を運行の用に供し、そのため自ら運転者を募集して、被告小林を雇用し被告小林は被告会社の従業員としてその業務のため、本件事故車を運転中、過失により本件事故を惹起したものであり、たとい、事故車の運行、被告小林の監督に関し、訴外石川商店の事務所が使用され、その従業員が介在していたとしても、実質的な使用者は被告会社というべきであるから、民法第七一五条第一項の責を免がれない。

(二) 損害の発生 合計金一五〇、三一〇円

1 自動車修理代 金一二六、三一〇円

2 弁護士費用 金二四、〇〇〇円

第五争点に対する判断

一、被告会社の責任原因は認められない。

被告会社が訴外石川商店の倒産後、その債権者委員会の指導的立場にあつたこと、被告小林は昭和四一年八月頃スポーツ新聞の広告欄によつて被告会社と信じて、その募集に応じ、本件事故車の運転に従事していたことはいずれも認められるところであるが、被告小林が求人広告欄の求人主の被告会社事務所と信じて出向き、出勤していた場所は訴外石川商店の事務所であり、そこに出入するダンプカーには訴外石川商店の表示があつたこと、当時訴外石川商店の代表者石川巌の弟や債権者の委託を受けた小杉勝なる者が右商店の砂利等販売、運搬の業務を担当していたこと、被告小林が被告会社の従業員と信じていた小倉某なる整備工が訴外石川商店の従業員であつたこと、被告会社代表者らは全く被告小林の求人採用等に関知しておらず、本訴提起まで本件事故ならびに被告小林の存在も知らなかつたこともいずれも認められるところであり、他に被告会社が被告小林の法律上、経済上の使用主と認められる事実は認められないので本件立証の限度では、原告の主張を認定することはできない。(〔証拠略〕)

二、原告の本件事故による損害の発生

原告主張事実がすべて認められる(第四の一の(二))(〔証拠略〕)

三、結論

そうすると被告小林に対する本訴請求はすべて認容すべきであるが、被告会社に対する請求はすべて棄却するほかない。

訴訟費用につき民事訴訟法第八九条、仮執行宣言につき、同第一九六条を適用した。

(裁判官 舟本信光)

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