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東京地方裁判所 昭和42年(ワ)3687号 判決 1967年12月19日

主文

被告らは原告に対し各自金二一六、六六六円およびこれに対する昭和四一年一一月四日以降右完済まで各年六分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告らの負担とする。

この判決は仮に執行することができる。

事実

原告は主文第一、二項同旨の判決竝びに仮執行の宣言を求めその請求の原因として次のとおり陳述した。

原告は訴外亡浅沼盛信が浅沼定雄名義で振出した額面金六五万円・満期昭和四一年一一月四日・支払地振出地とも東京都江東区・支払場所株式会社北海道拓殖銀行亀戸支店・振出日昭和四一年九月一日・振出人浅沼定雄・受取人原告なる約束手形一通の所持人であるところ、満期に右手形を支払場所に呈示して支払を求めたが拒絶された。右浅沼盛信は昭和四一年九月二八日死亡し、被告らが相続した。よつて、被告らは、右盛信の本件手形金債務についても各三分の一の割合をもつて相続したから、右相続分に応じ本件手形金およびこれに対する法定利息の支払義務がある。

被告らは「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁として「原告主張の約束手形を浅沼盛信が振出したとの事実は否認する。右約束手形を原告が原告主張のとおり支払呈示したことおよび被告らが原告主張の相続分をもつて原告主張のとおり浅沼盛信の相続をしたことは認める。」と述べた。

立証(省略)

理由

成立に争いのない甲第二ないし第五号証と被告浅沼レン本人尋問の結果および弁論の全趣旨によれば、訴外亡浅沼盛信は東京都江東区北砂三丁目一一番一〇号において、浅沼製菓株式会社を設立してアラレ製造業を営んでいたのであるが、何回か手形不渡処分を受けたことがあり、妻名義をもつて銀行取引をしたこともあつたが、昭和四一年三月頃からは実兄浅沼定雄名義を用いて銀行取引をしたところ、同年九月二八日死亡したことが認められ、右認定に反する証拠はない。そして、右の事実と、甲第一号証約束手形の記載竝びに、証人浅沼定雄の証言により認められるところの浅沼定雄は一〇年位前から失対人夫をしており、手形取引など従来したことはなかつた事実とを総合すると、原告主張の約束手形は訴外亡浅沼盛信の振出した約束手形である事実を推認することができ、右推定を左右すべき何らの証拠はない。

しからば、右浅沼盛信は右約束手形の振出人としての責に任ずべきところ、右約束手形を原告が現に所持していることは弁論の全趣旨により明らかであり、原告が右手形を原告主張のとおり支払呈示したこと、被告らが前記盛信の死亡により原告主張の相続分をもつて相続したことは当事者間に争いがないのであるから、原告の本訴請求は理由あるをもつて正当として認容し、民事訴訟法第八九条第一九六条により主文のとおり判決する。

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