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東京地方裁判所 昭和42年(ワ)4987号 判決 1973年4月20日

東京都江東区大島六丁目一番四の三一九

原告 棚橋隆

右訴訟代理人弁護士 菅谷幸男

東京都文京区千石一丁目一七番四号

被告 入倉章

右訴訟代理人弁護士 菅沼政男

主文

一  被告は原告に対し、金一五万円およびうち金五万円に対する昭和四四年二月一日から、うち金一〇万円に対する昭和四六年一二月八日から、各支払済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の、その余を被告の負担とする。

四  この判決は第一項に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の申立

一  原告

「被告は原告に対し、金五〇万円およびうち金五万円に対する昭和四四年二月一日から、うち金四五万円に対する昭和四六年一二月八日から、各支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言。

二  被告

「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決。

第二請求原因

一(一)  原告は、昭和三三年頃から昭和四四年一二月二一日までの間、東京都文京区千石一丁目一七番四号に土地、建物(以下これらを原告土地、建物という)を所有し、家族とともに右建物に居住していた。

(二)  被告は、昭和三八年一月以来原告土地の南東側に隣接して土地、建物(以下被告土地、建物という)を所有し、右建物に居住している。

二(一)  被告は、昭和三九年六月二五日頃、被告建物の原告建物に面した側(北西側)にクーラーを取付け以来これを、従前から同じ側に取付済の台所用換気扇とともに使用している。

(二)  右クーラー等の使用期間は次表のとおりである。

(1) クーラー

使用年

年間使用期間

一日の使用時間

昭和三九、四〇年

六月二五日から九月二五日まで

午前七時半から午後一一時半まで

昭和四一年から四四年まで

右に同じ

午前八時から午後一一時まで

(2) 台所用換気扇とクーラーの併用

使用年

年間使用期間

一日の使用時間

昭和三九年から四三年

クーラーに同じ

一日二時間

昭和四四年

右に同じ

午前一〇時から午後六時まで

三(一)  本件クーラーを使用する際に発生する騒音の程度は五七ホンであり、台所用換気扇を併用する場合には、右数値はさらに増大する。右のような騒音を長期にわたり発生させる行為は社会生活上受忍すべき限度を超えた違法なものである。

(二)  被告は、原告が右の騒音に悩まされている事実を知りながら、クーラーの位置を変え、あるいは減音ダクトを設置するなどして騒音の発生を最少限にくいとめるべき注意を払わなかったのであるから、不法行為に基づき原告の後記損害を賠償する責任がある。

四  慰藉料 金五〇万円

原告とその家族らは、本件クーラーによる騒音のために睡眠障害、生活上の支障、心悸亢進などの精神的、肉体的苦痛を受けたが、昭和四四年一二月二一日、右騒音に耐え切れず、ついに前記土地、建物を売却して転居するに至った。

そこで被告が右騒音の防止に非協力的な態度をとり続けていたことなどを考慮した上、右苦痛を金銭に見積ると金五〇万円が相当である。

五  よって原告は被告に対し、慰藉料金五〇万円およびうち金五万円に対する昭和四四年二月一日から、うち金四五万円に対する昭和四六年一二月八日から、各支払済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三請求原因に対する答弁

一  請求原因一項(一)中原告が昭和三三年頃から同三八年一月まで原告の土地、建物を所有し、右建物に家族とともに居住していたことは知らないが、その余の事実および同項(二)の事実は認める。

二  同二項(一)の事実は認め、同項(二)の事実は否認する。

なお被告は、クーラーを夏期のうち高温多湿の折、来客時に使用していたにすぎない。

三(一)  同三項(一)の事実は否認する。クーラーの音量は、隣人である原告が過密都市において社会生活を営む上で、当然受忍すべき限度を超えていない。

(二)  同項(二)の事実は否認する。クーラーを移動させることは被告建物の構造上著しく困難であった。また被告は、クーラーの周囲に塩化ビニール製の覆を設けて遮音効果をあげていた。

四  同四項中原告とその家族が昭和四四年一二月二一日、原告の土地、建物を売却して転居したことは認めるが、その余は否認する。

第四証拠関係≪省略≫

理由

一  原被告の各土地、建物の位置関係、被告のクーラー、台所用換気扇の設置箇所等について

(一)  原告が昭和三八年一月から同四四年一二月二一日までの間、東京都文京区千石一丁目一七番四号に土地、建物を所有し、家族とともに同所に居住していたこと、被告が、昭和三八年一月以来原告の土地の南東側に隣接して土地、建物を所有し、同所に居住していること、被告が昭和三九年六月二五日頃、被告建物の原告建物に面した側(北西側)にナショナル製クーラー(以下旧クーラーという。)を取付け、また従来から同じ側に台所用換気扇が取付けられていること、以上の事実はいずれも当事者間に争いがない。

(二)  ≪証拠省略≫によればつぎの事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

(1)  原告がその土地、建物に居住を開始したのは、昭和三三年三月で、昭和三八年一月当時その家族は養子「保」のみであったが、同人が昭和四一年一月二一日婚姻して以来妻「トミ子」が右建物に同居し、昭和四二年五月一一日には右夫婦間に長女「みお」が出生した。

(2)  原被告の各建物の位置、その距離関係は別紙図面に表示のとおりであって、向い合った二つの壁面間の距離は約二メートル二〇センチである。そして原告建物は、その床が地上約二米の高さの高床式であり、別紙図面のうち家族の寝室、リビングキッチンと表示された各部屋には、被告建物に面して、それぞれ横約二・七米、縦約一・三五米のガラス窓一個が、原告の寝室と表示された部屋には、同じ側に約一・三五米四方の窓が一個あり、右図面に階段と表示された部分の北東側には扉が一個ある。

(3)  旧クーラーおよび台所用換気扇は、それぞれ同図に(い)クーラー、(ろ)換気扇と表示された箇所に設置されており、前者は地上二・二〇米の、後者は地上二・〇五米の高さにあった。そして被告が、右クーラーを昭和四二年六月頃、クライスラー社製品に買い替えて(以下新クーラーといい、あるいは旧クーラーと一括して本件クーラーという)以来新クーラーも同様の位置に設置されている。

二  本件クーラー等の使用状況

被告が昭和三九年六月二五日頃から本件クーラーおよび台所用換気扇を使用していることは当事者間に争いがない。

そこで、右設備の使用状況につき検討するに、≪証拠省略≫を総合するとつぎの事実が認められる。

本件クーラーの取付けられている部屋は、主に応接間として商談、来客の接待用に使用されていたが、ときには被告の家族および被告従業員らが使用することもあって、旧クーラーの取付以来毎年六月二五日頃から九月二五日頃までの間は殆んど間断なく本件クーラーが使用されていた。そしてその一日の使用時間は午前七時半頃から午後一一時半までにおよぶこともたびたびあったが、九月に入ると午後九時頃までの使用にとどまっていた。

右のような状態が昭和四四年九月二五日頃まで続いた。なお台所用換気扇は右期間中調理の際適宜使用されていた程度である。

≪証拠判断省略≫

三  本件クーラー等から発する作動音の音量

≪証拠省略≫を総合するとつぎの事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

(一)  旧クーラーの音量

昭和三九年夏、東京都公害部職員が、後記認定の遮音設備を装着した後の旧クーラーにつき測定した音量は、原告建物のA点(別紙図面に表示の地点、以下同じ)で四九ないし五三ホンである。

(二)  新クーラーの音量

後記認定の遮音設備を装着した後の新クーラーについて、

(1)  昭和四二年一〇月三一日、鑑定人坂田展甫が換気扇のみを最大限と最少限とに各作動させた上測定した音量は、別表(一)に記載のとおり、原告建物のA点において五四ないし五六・五ホンであり、またB、C、D点においては窓を閉鎖した状態で三四・五ないし三七・五ホンであり、C点において窓、扉を開放した状態で四三・五ないし四六ホン、窓のみを開放した状態で四〇ないし四三ホンである。

(2)  昭和四四年八月一一日、鑑定人松森春雄が換気および冷房機能を最大限に作動させた上、前記同様の各地点において測定した音量は別表(二)記載のとおり、A点において五五ないし六〇ホンであり、窓、扉を開放した状態では、B点において五一ないし五三ホン、C点において四三ないし四五・五ホン、D点において三九ないし四三ホン、窓扉を閉鎖した状態でB点において三九・五ないし四二ホーン、C点において三六ないし三九ホン、D点において二九ないし三二ホンである。

(三)  台所用換気扇の音量等について

昭和四四年八月一一日、鑑定人松森春雄が新クーラーの換気および冷房機能を最大限に作動させた上、台所用換気扇を併用した場合のA地点における音量は五八ないし六〇ホンであり、クーラーのみを使用した場合と大差なく鑑定人長田泰公は、右地点における台所用換気扇のみの音量を四八ないし五一ホンと推定している。ただ、原告は、被告が昭和四四年中被告建物の北東側に取付けたクーラーと新クーラーとを併用して右建物全部を冷房し、その換気のために本件台所用換気扇を午前一〇時から午後六時までの間使用していたと主張し、≪証拠省略≫によれば、新クーラー自体に排気用レバーのあることが認められ、右レバー操作により排気する以上にことさら一たん冷却した空気を他の換気扇を使用して排気する必要に乏しいことに照らして、右供述部分はにわかに採用し難いので、この台所用換気扇が普通の場合よりも特に長時間使用されていたということはできない。このような音量と使用時間からすれば、右換気扇から発する音が、一般人において社会生活上受忍すべき限度を超えているとはいい難い。

そこで以下本件クーラーの発する音(以下本件騒音という)についてのみ検討する。

四  本件騒音による原告の被害

≪証拠省略≫によれば、原告は、昭和四〇年九月以前から東京都立両国高校(定時制)勤務の教諭であった関係上、週のうち二日は自宅研究の時間を有し、夏期休暇中は自宅で仕事をすることも多かったし、出勤する日も日中の大部分は自宅に居り、午後四時頃家を出て、午後一〇時帰宅していたこと、原告およびその家族は、本件クーラーの使用期間中窓を開ければ騒音で睡眠を妨げられ、これを軽減させようとして窓を閉めると、今度は暑さに悩まされ、そのうえ右騒音により怒り易くなるなどの情緒的障害も現われたし、さらに当時乳幼児であった息子夫婦の子供「みお」に与える騒音の影響を懸念せざるを得なくなり、ついに同人らは、昭和四四年一二月二一日、右騒音による苦痛をも一原因として原告建物を売却し転居するに至ったこと、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

五  本件騒音の違法性

以上認定の諸事実によれば、昭和三九年から同四四年までのうち毎年六月二五日頃から九月二五日頃までの間、本件騒音により、原告およびその家族らがその建物内における平穏・快適な生活を害されていたことは明らかであるが、前示のようにこの音量がさほど強大なものではないので、この程度の音量の場合には或いはこれを特に気にする人とそうでもない者とに分かれることも予想されないでもないし、ルームクーラーが近時普及の度を加え、生活必需品化しつつある機器であることや、稠密な我国の都会生活の現状に鑑みるときは、一定ホン以上の騒音を出したからといって、そのことから直ちにこれを違法なものとするのは適当ではなく、健全な社会通念に照らして一般人において社会生活を営む上で受忍するのが相当と認められる限度を超える場合にはじめて違法となるものと解すべきである。

そこで以下、被告の本件騒音発生行為が右受忍限度を超えているかどうかにつき検討する。

(一)  まず、原被告の土地付近における騒音規制につき、≪証拠省略≫を総合すると、(1)原被告の土地周辺は概ね住宅の密集する地域であり、右各土地の南西側に隣接して同方向にのびる幅約四米の道路があること、(2)東京都公害防止条例(昭和四五年四月一日施行)による日常生活の音量基準によれば、本件の場合がそれに当る第二種住居地区における午後七時から翌朝午前八時までの音量は四五ホン以内、午前八時から午後七時までの音量は五〇ホン以内(いずれも敷地の境界線で測定したときのホン数)と定められていること、(3)また公害対策基本法第九条の規定に基づき、昭和四六年五月二五日の閣議決定により定められた環境基準には、本件の土地のように主として住居用に供される地域(A地域)における音量基準は、昼間五〇ホン以下、朝夕四五ホン以下、夜間四〇ホン以下(いずれも屋外で測定したときのホン数)と定められていること、以上の事実が認められ、右各基準にてらすと前記認定の本件クーラーの音量は、いずれも右許容値を超えていることが明らかである。

(二)  つぎに本件騒音の人体におよぼす影響につき、≪証拠省略≫を総合すると、原告建物に居住する者は、窓を開放している場合、B、C、Dのいずれの地点においても本件騒音により睡眠、読書、勉強などを妨げられ、また落ちつかない、立腹し易いなどの情緒的障害を起こしうること、また窓の開閉に拘らず、右騒音が長時間持続することによって、右各点において不快感、圧迫感を感ずること、なお右騒音の程度では直接聴力損傷や他の身体的影響が生じることはないけれども、睡眠障害、情緒的影響、生活妨害などの精神的ストレスが間接的に身体的影響(頭痛、胃腸の不調など)をもたらす可能性のあること、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

(三)  進んで、原被告間の「人的相隣関係」について検討する。本件のような場合、騒音を出す側にあっては、できるだけ隣人に迷惑のかからないような使用方法を講じ、他方隣人としても忍ぶべきところは忍んで、無用のまさつを避けるなど互いに譲り合うことによって紛争の回避ないし収拾をはかるのが望ましく、通例でもあろう。従って、本件騒音が前記受忍限度を超えているかどうかの判断をなすにあたっては、単に既に認定済の騒音の程度、その発生期間、被害状況、騒音の精神・身体におよぼす影響などの考察にとどまらず、さらに本件紛争に至るまでの経緯と紛争解決についての両者の態度等もまた総合的に考察されなければならない。

≪証拠省略≫を総合すると、(1)被告は、原告の隣地に移転して以来、被告建物の二階を作業所として貴金属製品の製造を行なっていたが、原告は、旧クーラーの取付以前被告に対し、右作業所から発するハンマー、ラジオ等の音、被告が夜間車庫のシャッターをあげおろしする際に発する音、被告宅の犬の鳴声等につき騒音を出さないように注意したところ、かえって被告から「静かなのが好きなら山の中へ行け」などといわれ、その頃から原被告は不仲になっていたこと、(2)原告は、旧クーラーの取付けがなされた直後、被告に対し、クーラーの使用時間を短くすること、効果ある防音装置をつけることなどを頼んだけれども、被告が聞き入れなかったので、昭和三九年七月頃東京都の公害部に、旧クーラーの騒音防止を被告に対し勧告するよう要請し、ついで昭和四〇年八月頃東京簡易裁判所に対し、旧クーラーの騒音の規制を求めて調停の申立をし、さらに昭和四二年五月に至り本訴提起におよんだこと、右に相前後して幾度にもわたり新聞への投書、印刷物の配布などを通じて広く一般に本件騒音による被害を訴えかけたこと、(3)他方、被告は、右公害部からの勧告に基づき、旧クーラーの上部と背面に塩化ビニール製の波板を取付け、さらに昭和四二年六月頃新クーラーの両側に発泡スチロール板を取付けたものの、これによっては目立った防音効果をあげ得なかったこと、前記調停期日には一、二回出席したのみで、出席の際にも「自分の家で自分のクーラーを使用するのがなぜ悪い」とか、「境界線すれすれまで三階建のビルを建ててやる」などと言って終始非協力的な態度をとったため、昭和四一年三月、原告はこれを取下げるに至ったこと、前記遮音装置の取付後、原告からの電話あるいは口頭による度量なる要請にも拘らず、右装置以外にクーラーを被告建物の他の箇所に移動させるとか(≪証拠判断省略≫)、比較的安価でかつ効果的な防音装置を取付けるなどの措置を講じておらず、使用時間を特に短くすることもなかったこと、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

以上の認定事実のうち、まず原告の態度については、これを被告の側から評するとすれば、原告が神経質に過ぎ、騒ぎ立てたから本件のごとき紛争となったということになるのであろうが、しかし上来判示した諸事情に徴すれば、右の原告の態度も原告のごとき立場に置かれた者として無理からぬことというべきであり、格別非難さるべきところはないといわなければならない。他方被告が、原告のたび重なる要請にも拘らず、効果的な防音措置を講ぜず、かえって終始非協力的で不誠実な態度をとりつづけていたといわなければならないから、これが本件紛争の主因をなしているものと見るべきである。

(四)  以上判示したところを総合すると、被告のクーラー使用による本件騒音は、原告が隣人として社会生活を営む上で受忍すべき限度を超えた違法なものであり、被告は、不法行為者として原告の後記損害を賠償すべき責任があるといわなければならない。

六  慰藉料額

以上で認定した本件騒音の程度、その発生期間、被害の状況、本件紛争に至る経過、原告の防音措置の要請に対する被告の態度など本件に現われた一切の事情を考慮すると、本件クーラーの騒音によって原告の蒙った精神的苦痛に対する慰藉料としては金一五万円が相当と認める。

七  むすび

よって原告の本訴請求は、被告に対し金一五万円およびうち金五万円に対する本件第一次慰藉料請求の趣旨を記載した書面が被告に到達した翌日であること記録上明らかな昭和四四年二月一日から、うち金一〇万円に対する請求拡張の準備書面が被告に到達した日の翌日であること記録上明らかな昭和四六年一二月八日から、各支払済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容するが、その余は失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九二条、仮執行の宣言につき同法第一九六条一項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 伊東秀郎 裁判官 鎌田義勝 裁判官小林啓二は、転勤につき署名押印することができない。裁判長裁判官 伊東秀郎)

<以下省略>

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