大判例

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東京地方裁判所 昭和42年(ワ)5854号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告の請求原因は必ずしも明らかではないが、これを要約すると、国が自衛のための戦力を保有することは憲法九条の禁止するところではないとの憲法九条に関する政府の解釈は、同条の規定を歪曲したものであつて違法であり、原告は右の違法な解釈の表明によつて精神的苦痛を蒙つたので、国家賠償法の規定により、これに対する損害賠償(慰藉料)として一〇万円の支払いを求めるというにある。

しかしながら、仮に政府が、日本国憲法第九条につき、原告が主張するような解釈を表明したからといつて、それは単に、憲法の解釈適用についての一般的意見ないしは行政府としての一般的な施政上の見解を表明したに過ぎないものであるから、これをもつて直ちに被告に対する違法且つ具体的な侵害を生ずべき行為ということはできない。仮に被告が右解釈の表明によつて何らかの精神的苦痛を蒙つたとしても、それは原告の請求原因事実自体からも窺われるように、自己の意見と相反する法律上、政治上の見解を表明されたことに対する焦燥感ないしは挫折感あるいは憤りといつたものであつてこのような感情は法律上慰藉料の支払いをもつて救済すべき損害には当らないと解すべきである。

以上のとおりであるから、原告主張の事実につきその存否を確定するまでもなく、原告の請求は主張自体理由がないものというべく棄却するのほかない。(中田早苗 川上正俊 魚住庸夫)

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