東京地方裁判所 昭和42年(ワ)6370号 判決
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〔判決理由〕
<証拠>によれば、甲車は7.5トン積のダンプカーであつたところ、当時積載量を正式に計量したことはなく、被告安田は警察官須賀信次より一一トン位あるだろうと言われのでその旨答えたが、被告会社で降ろしたときは九トン位しかなかつたことが認められ、当時の積載量は、事故により落下したものが多少あつたとしても、九トンに近かつたものと認めざるを得ない。そこで、<証拠>によれば、7.5トン積の甲車と同型車に九トン積載した場合、急制動により停車するに至る距離に理論上差があること、甲車と同型の自動車で運輸省が行つた公式試験によると時速五〇速からの停止で7.5トン積載の場合18.0米で停止しとなつている。これにより時速四〇粁からの停止距離を計算すれば、7.5トン積では初速の二乗に比例するので11.5米となり、九トン積では積載量に比例するので12.8米となること、本件事故時の如き条件では右の数値より一〇ないし二〇%増えるものとみなされることが認められる。これにより計算すれば、7.5トン積の甲車に九トン積載したことによる停止距離の延長は約1.56米程度となる。一方、前認定のとおり、本件事故は甲車が停車するに至つていないところへ、乙車も進行して来て正面衝突した事故であり、かつ、<証拠>によれば、甲、乙車の破損、状況、正夫の受傷の状況からみて衝突時の甲乙車の相対速度は時速三〇粁を越えていたものと認められる。従つて、被告安田の甲車に積載量の違反がなければ、停止距離が現実の停止距離の短縮により本件事故が回避し得たものとはとうてい言い得ないものというべきで、積載量超過は本件事故と因果関係がないものといわねばならない。
(荒井真治)