東京地方裁判所 昭和42年(ワ)7359号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕元来請負代金は請負人が仕事を完成してはじめてこれを請求しうるとともに、通常仕事が完成すれば当然請求権が発生するものであるから、請負代金請求権は仕事の完成を停止条件とする条件的権利ということができ、従つて注文者は民法第一二八条により、仕事が完成しない間においても請負人の代金請求権を侵害する行為を禁止せられているとともに、請負人は注文者が仕事の完成を妨げたときは民法第一三〇条により仕事が完成したものと看做して請負代金の金額を請求しうるものといわなければならない。これを本件についていえば、被告は原告が一時工事を中止したとはいえ、これをもつてただちに原告が条件附権利である請負代金請求権を放棄したといえないことはもちろんであるから、催告の上解除するなり、請負契約そのものを失効させてからならば格別(この点については被告の主張立証がない)、その挙に出ることなく、ただちに自己の手で残工事を完成したのであつて、被告は右行為によつて条件の不成就を確定させたとせざるを得ず、従つて原告はこれにより仕事が完成したものと看做して請負代金金額の請求ができるものといわなければならない。しかして右条件不成就が確定した時期は、第三回被告本人尋問の結果により、昭和四三年春ごろであることが認められるので、その時点において原告の請負代金請求権が発生したと解する。
(石川義夫)