大判例

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東京地方裁判所 昭和42年(ワ)9808号 判決

原告

林吉二

ほか一名

被告

明輝産業株式会社

ほか一名

第一主文

一、被告らは連帯して

(一)  原告林吉二に対し金三、〇八四、三六八円

(二)  原告林アイに対し金二、八八四、三六八円

および右各金員に対する昭和四二年六月一〇日から完済まで年五分の割合による金員の支払せよ。

二、原告吉二のその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用は被告らの負担とする。

四、この判決一項は仮に執行することができる。

第二本訴請求の趣旨

「被告らは連帯して

(一) 原告林吉二に対し金三、〇八四、三六八円

(二) 原告林アイに対し金二、八八四、三六八円

および右各金員について被告らが本件損害賠償請求をなした翌日である昭和四二年六月一〇日から完済まで年五分の割合による金員の支払をせよ。」

との判決ならびに仮執行宣言。

第三争いない事実

一、死亡自動車事故発生

とき 昭和四二年三月二七日午前六時三五分頃

ところ 福島県郡山市日和田字原一二番地先国道四号線道路上

事故車 被告会社所有の普通貨物自動車、多摩四ひ、三八二八号

右運転者 被告会社従業員 小野寺政勝

受傷死亡者 原告らの子亡林英治(昭和二一年八月二〇日生)(右事故車に同乗中)

態様 右事故車は右道路を北進中、道路右側(東側)のガードエンドポールに激突ために亡英治は運転者の小野寺とともに受傷死亡した。

二、責任原因について

(一) 被告会社は本件事故車の運行供用者である。

(二) 被告中島は当時被告会社の代表取締役である。

三、損害について

亡英治の逸失利益は金三、二六八、七三六円である。すなわち亡英治の年間所得は金三五〇、〇〇〇円であつたところ、東京都人事委員会の算出した昭和四〇年五月基準の一ケ月の生計費金一七、一二〇円の標準に従つてその一ケ年の生計費を差引くと、純益は年間金一四四、五六四円となる。ところで亡英治は昭和二一年八月二〇日生であつたので稼働年数は四三年であり、その間の右全部による逸失利益の現価の総計を年五分の利息控除によるホフマン式計算によつて算出するとおおよそ右金額となる。

原告らは被告らに対し本訴請求の趣旨記載の各金額の支払を昭和四二年六月八日到達の書面で請求した。

四、損害の填補

原告らは強制保険金一、五〇〇、〇〇〇円の給付を受けて各損害に填補した。

第四争点

一、原告らの主張

(一) 責任原因

本件事故は亡小野寺政勝が過労による居眠によつて運転を誤つた重大な過失によつて惹起したもので、もとより被告会社は運行供用者として原告らの損害を賠償しなければならない。

ところでまた右事故は亡小野寺が過労のため正常な運転ができないことを承知しながら、被告中島が運転を指示命令したことに起因するので被告中島もまた代理監督者として民法七一五条二項により亡小野寺の過失による本件事故について被告会社と不真正連帯の関係で損害賠償の責任がある。

(二) 損害の発生

1、逸失利益の相続

原告らは亡英治の逸失利益を法定相続分に従い、父母として二分の一あて相続した。

2、葬祭費

原告林吉二は後処理として金三〇〇、〇〇〇円葬祭費として金五〇〇、〇〇〇円の支出を余儀なくされた。

3、慰藉料

原告の慰藉料は父母として各金二、〇〇〇、〇〇〇円あてが相当である。

4、未済損害合計額

右原告らの各損害合計額から強制保険金による填補七五〇、〇〇〇円あてを差引くと、被告らに請求できる未済損害額は左のとおりとなる。

原告林吉二 金三、六八四、三六八円

原告林アイ 金二、八八四、三六八円

二、被告らの主張

仙台市方面の営業担当責任者は亡英治であつて、亡小野寺はその指示に従つて運転業務を担当していたものである。そして事故発生前夜、被告中島が深夜運転を避けて翌朝出発するよう指示したのに、亡英治は途中仮眠して無理をせず運転するから大丈夫だとして勝手に出発し、日頃の被告中島の指示に反して仮眠もとらず無理な運転をしたため本件事故となつたもので、むしろ本件は亡英治の過失により惹起したもので、被告らに請求できる筋合ではない。

第五争点に対する判断

一、責任原因

(一) 被告会社の運行供用者責任

本件事故は亡小野寺が安全運転を誤つた過失により惹起したもので、被告会社はもとより運行供用者として原告らに生じた損害を賠償しなければならない。

(二) 被告中島の代理監督者責任

また被告中島は亡小野寺が被告会社の業務執行中の過失により惹起した本件事故について代理監督者として被告会社と不真正連帯の関係において原告らに対し賠償責任を負わねばならない。すなわち被告中島は、資本金二五〇万円従業員六名程度の実質的にはその個人企業と同様な被告会社代表者として直接亡小野寺を運転手として選任し、プロパン用機械部品売買などの営業をそれにともなう運送業務とともに日常具体的に指揮監督をしていた。そして事故前夜も月曜出勤で同日昼間、桐生、高崎方面への得意先まわりをしたあとであつた亡小野寺と亡英治が、引続いて深夜運転をして仙台方面に出張する際、業務の内容を直接指示しながら、亡小野寺が過労におちいる懸念も持たずに同人らの仕事熱心のまま出発させたものである。右各事実からしてまさに代理監督者として民法七一五条二項の責任は免がれないところである。被告らの主張するような業務命令違反の事実は認められない。(〔証拠略〕)

二、原告らの損害

1、逸失利益の相続

原告らは亡英治の逸失利益三、二六八、七三六円(第三の三)を父母としてその法定相続分に従い二分の一あて各金一、六三四、三六八円あて相続した。

2、葬祭費

亡英治の実家が富山県であり、勤務先の被告会社所在が東京であつて、被告会社においても一応葬儀の礼を行つていることからして、実家における本葬の費用として金二〇〇、〇〇〇円を原告林吉二の損害とするのが相当である。事後連絡費三〇万円は立証がなく認められない。

3、慰藉料

アルバイトをしながら早大法学部に学んでいた前途有為な二男亡英治を失つた父母として各金二、〇〇〇、〇〇〇円が相当である。

4、未済損害額

右各原告らの損害合計額から、強制保険金による填補金七五〇、〇〇〇円あてを差引くと、被告らが賠償すべき未済額は左のとおりとなる。(〔証拠略〕)

原告林吉二 金三、〇八四、三六八円

原告林アイ 金二、八八四、三六八円

三、結論

そうすると本訴請求は主文の限度で認容すべきである。訴訟費用につき民訴法八九条、九二条、仮執行宣言に関し、同一九六条を適用した。

(裁判官 舟本信光)

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