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東京地方裁判所 昭和42年(借チ)1019号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕一 相手方渋谷貞雄は、相手方大熊良雄所有の町田市中町一丁目四〇七番(登記簿上の表示)宅地779.81平方米(232.87坪)の内約363.63平方米(一一〇坪)を、昭和一六年八月一五日木造建物所有の目的で期間を三〇年と定めて賃借りしている者である。申立人は右渋谷から右借地の東南隅三三平方米(一〇坪)を昭和二五年四月一日普通建物所有の目的で期間を一〇年と定めて転借りし、その地上に木造亜鉛葺平家建店舗兼居宅一棟23.96平方米(7.25坪)(本件建物という)を所有し、これに居住している者である。申立人は、右居宅が著しく狭溢であるのでこれを取毀した上で木造モルタル塗亜鉛葺二階建居宅一、二階とも19.83平方米(六坪)の建物を新築する計画をたて、相手方両名の承諾を求めたところ、双方から拒絶されたので、本申立に及んだものである。

二 本件資料によれば、右の事実が認められるほか、次のように認めることができる。

1 前記転貸借について、相手方大熊は明示の承諾を与えてはいないが、現在においては既に承認をしていると認めるのが相当である。

2 転貸借契約の期間については、借地法の定めとの関係で、期間の定めのないものと解すべきである。すなわち、期間の終期は一応昭和五五年四月一日ということになる。なお、賃貸借契約の期間は昭和四六年八月一五日までであるが、現時点においては更新されない可能性の存在を認めさせる事情はうかがわれない。しかし、本件建物はかなり粗末なものであり、予測は困難であるとしても昭和五五年までには朽廃する建物と認められる。従つて、現状のまま推移するとした場合には、転貸借契約は昭和四六年以降昭和五五年までの間には消滅すると推認される。従つて、本件改築が許可され、申立人が改築を実施すれば、期間は改築の時から二〇年間延長されることになり、それだけ転貸人にとつて不利益となることは否定できない。

3 ところで、本件改築が許可され改築が実施された後に、仮りに賃貸借契約が更新の拒絶等の事由により消滅し、同時に転貸借契約も終了する場合に、申立人が建物の買取請求権を行使すれば、結局相手方渋谷においてこれを買取ることになるという点及び賃貸借契約が合意解除等により終了しても、転借権が存続するときは、右渋谷は申立人に対して転借地の明渡を請求することができないという点で、右渋谷は不利益を受けることが考えられるが、前記のとおり、現在のところ賃貸借契約が終了する可能性は殆んど認められない。すなわち、本件申立ての許可は直接には相手方渋谷に対して不利益を与えるものとはいえないが、転貸借が存続するだけ賃貸借契約の処分が拘束されるという観念的な不利益を全く無視するわけにもいかない。

4 本件改築計画自体には、本件土地利用の上から不当と認める点は認められない。

三 以上の点からみて、本件改築は申立人に対して相手方双方に相当額の金銭の給付を命じた上で、許可すべきものと認める。

そこで、右給付額については鑑定委員会の意見を斟酌し、前記諸事情を併せ考慮した上で、渋谷に金二万円、大熊に金五万円(合計金七万円、これは鑑定委員会の評価した土地価格の五%にあたる)と定め、申立人に対しその支払いを命ずることとする。

賃料については、鑑定委員会の意見に従がい、転貸借及び賃貸借の賃料の年額をそれぞれ金一、四七〇円増額することとする。(西村宏一)

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