東京地方裁判所 昭和42年(借チ)1023号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔主文〕1 申立人らが別紙目録(二)記載の建物について、同目録(三)記載の改築をなすことを許可する。
2 申立人らは相手方に対し金三五〇、〇〇〇円を支払え。
3 本件賃貸借契約の賃料を、本裁判確定の月の翌月分から金一四、六〇〇円に改める。
〔決定理由〕(当裁判所の判断)
一 本件の資料によれば、……申立人らの改築計画が本件土地の利用上相当のものと認めることができる。
相手方は、本件建物は老朽化しており朽廃による借地権消滅が間近いこと、本件借地契約の期間は昭和五一年九月一〇日までであり、その際契約更新を拒絶する予定であることを理由に、現時点で建物を改築するのは不当である、と主張する。しかしながら、前記資料によれば、本件建物が朽廃に近いとは認めがたく、また、本件改築の規模からして、本件改築がなされても相手方の更新拒絶権の行使が不当に制限されるとは認めがたいので、右主張は採用できない。
よつて、本件申立は後記条件のもとに認容すべきである。
二 附随処分
本件改築の結果、申立人らは本件土地を従前より有効に利用できることとなるので当事者の利益の衡平上財産上の給付を命ずべきである。
鑑定委員会は、本件土地の更地価格を一平方米当り三四九、〇〇〇円、合計二三、〇七二、三九〇円と評価し、財産上の給付額は右更地価格の約二、一%に当る四八万円をもつて相当とする、との意見書を提出した。
しかし、本件改築計画は、土台の取替等一部を除いて多くは建物保存に必要な通常の補修ないし改装程度のもので、申立人らにとつて住の快適性、営業による収益性が幾分増加されるとはいえ、大巾なものとは考えられず、また一方賃貸人の不利益も顕著ではないことからすると、右鑑定委員会の意見は従前の決定例に比し若干高額に過ぎると思われ、本件改築の規模を者慮し従前の裁判例を参酌すると、本件財産上の給付額は鑑定委員会の意見による本件土地の更地価格の約一、五%に当る三五万円と定めるのが相当である。
地代については鑑定委員会の意見のとおり、本裁判確定の月の翌月分から一ケ月一四、六〇〇円(三、三平方米当り七三〇円)に改める。 (河村直樹)
目録
(一)賃貸借契約の内容
1土地
東京都港区芝西久保桜川町一〇番三宅地 三五一、二三平方米(一〇六、二五坪)
のうち 六六、一一平方米(二〇坪)
2目的
非堅固建物所有
3契約成立の日
昭和二一年九月一一日
4期間
定めなし
5賃料
一ケ月七、〇〇〇円
(二)建物
家屋番号 一〇番
木造亜鉛メッキ鋼板葺 二階建 居宅兼店舗
一階 五四、五四平方米
二階 四九、五八平方米
(三)改築の内容
(一階部分)
1土台の取替(柱のあるところ全部)
2柱の一部取替(痛んでいるものについて) 3調理場の壁部分について窓の高さまでブロックを積む
4天井の張り替え
5壁の塗り替え
6窓をサッシのものに替える
7店の土間部分コンクリート塗り替え
8外壁吹き付け
9地下物置の補修
(二階部分)
1窓をサッシのものに替える
2壁の塗り替え
3梁、根太の補修
4外壁吹き付け
5屋根トタン張り替え