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東京地方裁判所 昭和42年(借チ)1072号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕二、本件で取調べた資料によると、申立人は本件土地に賃借権を有すること、……相手方の前主小林慶次郎において昭和一五年中申立外岩瀬慶定に本件土地を建物所有の目的で期間を定めず賃貸し、右賃借権は地上建物とともに、申立外中島を経て、昭和二六年一〇月申立人に譲渡され、前記小林は右賃借権の譲渡を承諾し、その後相手方が申立人主張のとおり賃貸人の地位を承継したものであることが認められる。それ故右賃貸借の期間は借地法の規定により昭和四五年中に満了となる関係にあると考えられる。

三、次に、本件資料によると、申立人の計画する改築は建築関係の法令の制限にも適合し、その他借地の通常の利用上不相当と見られるような点も見出せないので、本件申立はこれを認容すべきである。

四、次に附随処分について検討する。

1 まず、本件の改築は借地法第七条に該当するような全面的改築であるから、右規定の趣旨を汲んで、賃貸借の期間を改築の時からほぼ二〇年となるよう昭和六三年一二月末日までに延長することとする。

2 次に財産上の給付について検討する。取調べた資料によると、本件賃貸借の賃料は、昭和三〇年中に一カ月二六四円(3.3平方米当り一二円)となり、それまでは附近一般の賃料の例とそれ程差異のないものであつたが、昭和三二年……以後賃料の増額は全くなされていないことが認められる。

また右資料によると本件借地上の建物は大正一一年に建てられたもので、現在ではかなり古くなつており、適当な補修を加えないとそれ程遠くない時期に朽廃に至るような状態にあると認められる。そして本件においては期間満了時における更新拒絶の正当事由があるとは認め難いので更新される可能性は強いといえるが、本件の改築がなければ、更新後それ程遠くない時期に建物の朽廃による借地権の消滅の問題が生ずべきものと考えられる。それ故、本件の改築を許可し、かつ前述のように期間を延長するにあたつては、当事者間の利害の調整のためかなりの額の財産上の給付をさせるのが相当であると考えられる。

鑑定委員会の意見によると、まず建物の朽廃を免れ、借地期間の延長される点の利害の調整のため更地価格(3.3平方米当り二〇万円、全体で四四〇万円とする)の五%にあたる金額を給付させるのが相当であるが、さらに本件においては賃料が極めて低額であることも考慮して右の金額にその約三分の一を加算し結局金二八万円をもつて財産上の給付額とする。なお、申立人はこの金額に異議がなく、右金額を給付することにより相手方との間の円満な関係の続くことを希望している。

右の金額は更地価格の約6.3%となり、一般の改築の場合に比しやや高率の感があるが、本件においては、建物の朽廃による借地権の消滅に対する相手方の期待はかなりの現実性をもつものであること、またそれに加えて賃料も……低額のままとなつていたことを合わせ考えると右の額は相当たるを失わず(これらの事情を的確に数字の上に反映させ得る算式はないが)、右申立人の意向をも考慮し、右委員会の意見を採用して金二八万円を申立人の給付すべき額とする。

3 最後に賃料についても、現在のそれは低額であるので、鑑定委員会の意見に従い一カ月金二、二〇〇円に増額することとする。(安岡満彦)

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