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東京地方裁判所 昭和42年(借チ)2039号・昭42年(借チ)2026号 決定

〔主文〕右甲から乙に対し別紙目録記載の建物及び借地権を代金一、一二四万円で売渡すことを命ずる。

右甲は乙に対し、同人から前項の金員の支払を受けるのと引換に、前記建物の引渡及び所有権移転登記手続をし、右乙は甲に対し、前記建物の引渡及び所有権移転登記手続と引換に金一、一二四万円の支払をせよ。

〔決定理由〕前述のような高額な借地権価格は地価の高騰等社会経済事情の変動によつて発生したもので、借地人たる申立人は、これに相応する対価を支払つているという事情もないのであるから、右借地権を処分して現実にその利益を収めるに当りその一部を賃貸人に還元するのが相当であり、鑑定委員会の意見にもあるように、本件においては、賃貸人が過去にある程度の金銭を受領している場合に比し高額であつて然るべきものと考えられる。また本件においては、残存期間は約三年に過ぎず、相手方は期間満了の際無条件で更新に応ずるものとは考えられない。もつとも、相手方は、本件土地を自ら使用する必要があるとも認められないので、更新拒絶をしても借地法の規定による更新の可能性が強いと考えられるのであるが、後述(四)のとおり、地上建物はかなり古くなつており、更新後の期間内には建物の朽廃による借地権の消滅を来たすであろうと考えられる(なお、申立人主張のように、昭和二〇年九月二八日に改めて賃貸借契約が結ばれたとしても、その主張にもあるように、期間の定めはないと認められるので、残存期間は昭和五〇年九月二七日までとなり想定される建物朽廃による借地権消滅の時期に関しては前述したところと結果的には同様のことがいえるであろう)。本件においてはこの点をも考慮するのが当事者間の衡平に適すると考えられ、かように本件に顕われた諸事情を見て来ると、賃貸人の買取価格を減額すべき要素はかなり一般の場合よりも大きいというべきであり、前記委員会の意見よりもやや上廻る更地価格の二〇%を減ずるのが相当と考えられる。<中略>

(四) 次に建物の価格について見るに、本件で調べた資料に鑑定委員会の意見を参酌して考えると、別紙(三)記載の建物(現在申立人が居住しており即時の引渡が可能である)は昭和六年頃建築されたもので、かなり古くなつており、現在においては総体的に損傷が目立ちかなりの補修ないし手直しが必要と認められ、その価値はあまり評価することはできないと考えられるばかりでなく、第三者が新たにこれを取得して居住しようとする場合を考えてみると、その補修をするよりはむしろ建て替えるを得策とする者も多いであろうと思われ、取引の際借地権のみを評価し建物の価格は算定されないこともあろうと推認される。しかしながら右建物は現に居住に危険であるとか朽廃が極く近いとかいう状態になつているものとは認められず、なお当分の間の使用には堪えられるものであり、相手方の主張するように全く無価値とすることは妥当でないと考えられる。<以下略>(安岡満彦)

目録

(一)土地

東京都杉並区松庵北町一〇〇番二

宅地五一八・八七平方米(ただし、登記簿上一五三・一二坪)

(二)借地権

右土地を目的とし、賃貸人を乙、賃借人を甲とする賃借権(非堅固建物所有、期間昭和二六年六月二一日から二〇年)

(三)建物

右地上に存する

(家屋番号二四九番)

木造瓦葺平家建居宅床面積公簿上八九・二五平方米(現況九〇・九一平方米)

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