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東京地方裁判所 昭和42年(借チ)2073号・昭42年(借チ)2036号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕まず、借地権の価格について考えるに、鑑定委員会の意見に徴し、本件土地の更地価格は三・三平方米当り一六万五〇〇〇円、借地権価格は同じく一一万円(ただし、資料によると前記土地のうち二坪三合三勺は私道として共用されているのでこれについてはその半額の五万五〇〇〇円)と評価するのが相当と認められる。

右のようにして計算すると、本件借地全体の借地権価格は三七二万一、八五〇円となる。

ところで、右は一般取引価格であるから、賃貸人たる相手方がこれを買受ける場合の対価としては、場合により相当の減額を相当とすることが考えられる。

本件の資料によると、申立人は本件土地の賃借に当り権利金として二万九四〇〇円を支払つていること、賃料は当初は一ケ月三・三平方米当り六円であつたが、何回かにわたつて増額され、最近の約一〇年についてみると昭和三二年七月には二二円、同三四年三月から四〇円、同三九年二月から七〇円、同四〇年六月から八〇円(いずれも三・三平方米当りの月額)となつていること、その他には本件借地関係について格別の金銭の授受はなされていないことが認められ、また前述のように残存期間は昭和四四年一〇月一四日までである。

右の事実からすると、申立人は本件借地権の取得にあたり若干の対価を支払つているといえるが、前判示のような高額の借地権価格の形成されたのは、主としてその後の土地価格の高騰と一方賃料が低額のままに置かれたことなどの事情によるものと考えられるので、申立人において借地権を処分するに当つてはその利得の相当部分を賃貸人に還元して然るべきものと解される。

なお、前述のように、本件借地権の残存期間は短かく、本件における事情に鑑み、相手方らがたやすく更新に応ずるとは考えられず、申立人が本件土地を自ら必要とする事情も強くないが、一方相手方の自らこの土地の使用を必要とする事情もさして強いとは考えられない。そうすると、右期間の満了によつて借地権は消滅するのでなく、むしろ借地法の規定により更新されることを前提として本件の対価を決定すべきものと考えられる。ただ、この点将来の事情の変化も考えられないでもなく、申立人は本件の相手方らの買受申立により、期間満了時における紛争の危険(なお借地法の規定により更新された場合でも本件建物の現状からして更新後の二〇年の期間満了前に建物の朽廃による借地権の消滅を来たすことも予想される)を解消し、そのまま借地権の交換価値を実現し得るのであるから、この点も本件の対価決定に当り一応考慮すべきものと考えられる。以上の点を総合し、本件借地権の対価としては、前述の借地権価格三七二万一八五〇円から、そのほぼ一割五分を控除した三一六万円をもつて相当と考える。<後略>(安岡満彦)

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