東京地方裁判所 昭和42年(借チ)35号 決定
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〔決定理由〕五、次に資料によれば、本件賃貸借契約当時、附近の土地には相手方所有の本件建物を除き堅固建物はなかつたが、その後右土地は準防火地域、商業地域に指定され、堅固建物も次第に増加しつつある状況にあると認められ、現に借地契約を結ぶとすれば、堅固建物の所有を目的とするのが相当となつていると解される。そして、他に本件申立を不当とするような事情も認められない。
よつて、本件借地条件変更の申立は認容すべきである。
六、次に、附随の処分について検討する。
1 まず、財産上の給付について、鑑定委員会の意見は、本件借地権が建物所有目的に変更されることによつて後述の借地期間の延長のほか契約の終了も困難となり借地人に著しく有利になり、建物買取請求の関係でも、賃貸人に不利となり賃貸人は賃料請求権を残し土地所有権の大部分を譲渡したに等しいことになるとし、本件において新旧借地権価格の価値の差は更地価格の二〇%にあたるとする。そして、本件土地の更地価格を平方米当り一二万一〇〇〇円とし、その二〇%の割合の金銭(平方米当り二万四二〇〇円)を支払わしめるべきものとする。
そして更地価格の算定については、相手方が所有し申立人が賃借中の建物の存する部分を含む別紙(一)の(2)の土地全体と本件土地(右のうち前記建物の存する部分を除く(一)の(3)の部分)とでは、後者がかぎ型の不整形地であるためにその評価に差異があるとして次のような評価がなされている。すなわち、(一)の(2)の土地全体についてみると、附近の通常の土地の標準価額は平方米当り一五万一五一五円(坪当り五〇万円)であるが、右土地は角地であるから、その商業性を考慮し、角地による二〇%の加算をして平方米当り一八万五〇〇〇円と算定した上、不整形地のため利用価値が制限されることを考慮して前述のように平方米当り一二万一〇〇〇円と評価されている。
2 当裁判所も、前記委員会の意見にあるような当事者の利害を考慮して財産上の給付を命ずべきものと考えるが、本件における堅固、非堅固両借地権価格の差が更地価格の二〇%に当るという点については、なお検討の余地があると考え、それよりやや低額とするを相当と考える。しかして、前記委員会の指摘する点のほか、本件においては借地の従前の経過を考慮しても、なお更地価格の一六%をもつて相当とすると考える。
次に、更地価格については、基本的には前記意見と同様に考えるけれども、本件借地が建物の賃貸借とともになされていることをも合わせ考え、前記意見における程の減価を必要とせず、平方米当り一五万円をもつて相当と認める。
よつて、財産上の給付の額は平方米当り二万四〇〇〇円となり、借地の面積は394.81平方米であるから、結局九四八万(端数四捨五入)をもつて申立人の給付すべき額と定める。(安岡満彦)
(一)(1) 東京都文京区本郷一丁目
宅地 556.42平方米(168.32坪)
(2) 右土地のうち
462.80平方米(140坪)
(3) 右のうち、相手方所有の後記(二)の建物の存する部分を除く
394.81平方米(119.43坪)