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東京地方裁判所 昭和42年(行ウ)123号・昭42年(行ウ)120号 判決

第三三回口頭弁論調書

事件の表示 昭和四二年(行ウ)第一二〇・一二三号

期日 昭和四九年一一月二五日午前一〇時分

裁判長裁判官 高津環

裁判官 牧山市治

裁判官 上田豊三

裁判所書記官 青田長太郎

弁論の要領

裁判長

和解勧試、和解成立

当事者の表示

別紙のとおり

請求の表示

請求の趣旨並びに請求の原因は各訴状(昭和四二年(行ウ)第一二〇号、同年(行ウ)第一二三号)及び原告ら提出訴状訂正申立書(昭和四二年(行ウ)第一二〇号昭和四二年九月二九日付)原告ら提出第二準備書面(昭和四二年(行ウ)第一二三号昭和四三年八月二九日付)記載のとおり

和解条項

原告らは本件各訴を取下げ、被告はこれに同意することのほかは、別紙和解条項記載のとおり

東京地方裁判所民事第三部

裁判所書記官 青田長太郎

和解条項

目次

前文

第一 清掃工場建設計画

一 工場の所在地

二 工場敷地の面積

三 工場・オープンスペース・付替区道及び清掃車の専用地下道の位置

四 ごみ処理方法

五 ごみの焼却能力

六 付属設備及びその能力の限度

七 工場に設置する公害防止装置

八 工場の外観

九 工場の半地下化

一〇 専用地下道

一一 緑化対策

第二 清掃工場の管理運営

一 焼却対象ごみ

二 操業の態様

三 専用地下道

四 清掃車関係

第三 清掃工場の公害対策

一 汚染物等許容基準

二 基準値をこえる場合等の措置

三 基準対象外項目の定期測定

四 公害監視体制

五 住民の健康診断

六 工場建設中における公害等の対策

第四 敷地内利便施設及び周辺整備構想

一 敷地内利便施設の内容

二 記念施設等の構想

三 余熱利用

四 周辺地域の整備

第五 住民参加

一 杉並清掃工場計画建設協議会

二 杉並清掃工場運営協議会

三 各種協定の締結

四 住民意向調査等の要請

第六 和解条項等の履行確保

第七 補償

一 土地所有者等に対する補償

二 住民に対する補償

第八 事情変更による改定協議

第九 訴訟費用等

前文

本件係争は、昭和四二年五月、東京都における都市計画事業の一環として高井戸地区に清掃工場を建設することが決定されたことに端を発し、工場予定地の所有者及び周辺地域の住民が一致して反対運動を展開し、訴訟を提起するに至つたものである。

およそ清掃工場のように公害発生のおそれのある施設を都市の中心部、特に本件地区のような住宅街に隣接して建設し、運営するについては、公害の防止と除去に最大の考慮をはらい、周辺住民の危険や不安を絶無にするように努めなくてはならない。そのためには、その建設及び運営は周辺住民の完全な理解と協力を得て行なわれる必要があり、強制力を用いて私人の財産権を取得するようなことは極力避けるべきであつて、このことは、本件清掃工場用地取得に関して、昭和四七年二月東京都知事と高井戸の住民及び地主代表との間に交換された覚書にも示されている。

このような原則のもとに、本年七月以来約半年にわたり当事者間において「和解条件の整理に関する協議会」を設けて話し合いをすすめた結果、次の各事項について基本的了解に達した。これは、昭和四八年六月に被告が原告らに提示した「口上書」及び昭和四九年七月に原告らが被告に提示した「地元住民側要望原則」の双方を骨子としている。

一 杉並清掃工場の建設は、周辺住民の生活に多大の影響を与えるものであるので、その計画・建設及び運営には、住民参加方式による周辺住民の合意が必要である。

二 杉並清掃工場の設備及び運営については、無公害化のために最高水準の設備、施設を導入し、最も進歩した方式で運営管理を図るとともに、それらの設備等は、漸次に改良されるべく、また公害は、常に未然にこれを防ぐことの方針が貫かれるべきである。

三 杉並清掃工場の建設は、それだけが単独で建設されるのではなく、周辺地区の整備計画と併行してその計画が立案され、かつ、その実現が促進されるべきである。

四 杉並清掃工場の建設、操業等によつて付近住民がこうむる迷惑に対しては、従来の考え方にとらわれず、十分な補償が行なわれるべきである。

これらの諸原則をふまえて、本件和解は地域住民と行政当局がともに獲得した成果であることを深く認識し、すべての当事者は以下の和解条項を誠実に遵守するものである。

第一 清掃工場建設計画

被告東京都(以下「東京都」という。)は、東京都杉並清掃工場(仮称。以下「工場」という。)の建設にあたつては、公害を除去しうる最新最高の設備を設け、かつ、将来の技術水準の向上に応じてよりすぐれた機械設備等の導入を図るものとし、その計画の概要は次のとおりとする。

一 工場の所在地 東京都杉並区高井戸東三丁目地内とする。所在地の略図は別紙(一)のとおり。

二 工場敷地の面積約3.9ヘクタールとする。

三 工場・オープンスペース・付替区道及び清掃車の専用地下道(以下「専用地下道」という。)の位置 その略図は別紙(一)に示すとおりとする。

四 ごみの処理方法 燃焼方式とし、連続燃焼機械炉を用いる。

五 ごみの焼却能力 一日当り六〇〇トンを限度とする。ただし、施設規模は、焼却能力一日当り三〇〇トンの焼却炉二基とし、なお、機械の補修等工場の適正管理のための予備として、別に一基(焼却能力一日当り三〇〇トン)を設けることができる。

六 付属設備及びその能力の限度

(一) ごみバンカー 一日当り六〇〇トン・三日分

(二) 集じん装置 一日当り三〇〇トン・三基

(三) 有毒ガス除去装置 一日当り三〇〇トン・三基

(四) 蒸気コンデンサー 一日当り六〇〇トン用

(五) 排水処理装置 一日当り六〇〇トン用

七 工場に設置する公害防止装置

(一) 工場に設置する公害防止装置は、別紙(二)のとおりとする。

(二) 工場に設置する公害防止装置は、(一)のほか将来にわたり、次のことについて技術開発及び実用化を図るものとする。

1 焼却炉の運転開始時及び終了時における除じん

2 窒素酸化物の減少(窒素酸化物除去装置も含む。)

3 有害有機物の減少

4 排出汚染物の連続測定

5 汚泥及び飛灰(フライアッシュ)の処理

八 工場の外観 工場本館・建物、煙突その他の付属施設の外観は、付近の環境に調和するように十分配慮する。

右外観等の決定にあたつては、広く一般に提案をつのる等の方策をとるものとする。

九 工場の半地下化 工場本館、排水処理施設、清掃車の駐車場等は、工場敷地の北西隅において環状八号線の路面から一〇メートル以上掘り下げた地盤に建設する。なお、地質調査等の結果をみて可能な限り右地盤を掘り下げるよう努力する。

一〇 専用地下道 専用地下道の換気方法及び排気塔は、次のとおりのものとし、なお、専用地下道の設置について付近住民の受ける影響等に関する対策をすみやかに行なう。

(一) 換気方法 強制換気方式とし、吸引した空気は、工場敷地内において除じん装置及び脱臭装置により処理したうえ放出する。

(二) 排気塔 排気塔の位置は、オープンスペースを除く工場敷地のほぼ中央部とし、その高さは、オープンスペース面から二〇メートル以上とする。

一一 緑化対策 みどりに囲まれた工場とするため、可能な限り工場の外観を考慮した植栽を次のとおり行なう。

(一) 現存の樹木は、できる限り保存するよう努めるものとする。

(二) 工場敷地の周囲は、できる限り高木による生け垣とする。

(三) 工場敷地内におけるみどりの確保については、杉並区条例の定める緑化調整基準による面積を確保する。

第二 清掃工場の管理運営

東京都は、次の条項に従い工場を管理運営する。

一 焼却対象ごみ 杉並区内で発生し、収集された可燃ごみに限る。

二 操業の態様 工場の操業にあたつては、次の事項を遵守する。

(一) 燃焼条件 主燃焼室における燃焼温度は摂氏八〇〇度から一、〇〇〇度までの範囲内とし、主燃焼室における燃焼ガスの滞留時間は、2.5秒以上とする。

(二) 熱灼減量 五パーセント以下とする。

(三) 助燃用燃料 都市ガスを使用する。

(四) 収集ごみの取扱い すべて工場本館内で行なう。

(五) 定期点検の実施 毎年一回必ず実施する。

(六) 非常時の措置 第五に定める杉並清掃工場計画建設協議会(以下「計画建設協議会」という。)及び杉並清掃工場運営協議会(以下「運営協議会」という。)で協議のうえ、非常時における対策計画を樹立する。

三 専用地下道 専用地下道の管理にあたつては、次の事項を遵守する。

(一) 出入口の規制 東京都公安委員会の指導を受けて、車の渋滞等を起さないよう配慮する。

(二) 通行車輛 清掃事業用車に限る。

(三) 使用時間 午前八時から午後五時までとし、それ以外の時間滞は出入口を閉鎖し、換気装置は稼動させない。

四 清掃車関係 清掃車の使用にあたつては、次の事項を遵守する。

(一) 使用清掃車 汚染物質に関する法的規制に適合し、かつ、できる限り汚染物排出の少ない車輛を使用するように努める。

(二) ごみ収集運搬経路 計画建設協議会で協議のうえ決定する。

(三) 衛生上の措置 次のことを常時行なう。

1 清掃車の洗浄及び消毒

2 敷地内道路、専用地下道、及びその出入口周辺街路の清掃、散水及び清毒

3 汚水たれ流しの防止

(四) ごみ搬入量 常時焼却能力一日当り六〇〇トンの範囲内とする。具体的なごみ収集搬入計画は、運営協議会で協議のうえ決定する。

(五) 清掃車の改良 清掃車による公害をなくすため、清掃車の改良など必要な技術開発に努めるものとする。

第三 清掃工場の公害対策

東京都は、工場の公害対策について無公害を目標とし、次の事項を遵守するとともに、常に、技術の研究開発と最新、かつ、最高の技術の導入に最大の努力を払うものとする。

一 汚染物等許容基準

(一) 総則 許容基準値(以下「基準値」という。)の決定方法及び表示は次による。

1 基準値は平均値とし、かつ、いずれも工場の平常操業時の基準とする。

2 排ガス。ふんじん及び排水の基準値の表示は、濃度表示と絶対量表示とし、絶対量表示は一時間当りの重量で表示する。

3 許容基準の対象項目及び基準値は、技術の進歩と社会的要請によつて、将来、より適正なものに変更するものとする。

(二) 許容基準

1 排ガス及びふんじん

(1) 対象項目は、総ふんじん量・いおう酸化物・窒素酸化物及び塩化水素とし、その基準値は、別紙(三)の一のとおりとする。

(2) (1)の基準値は暫定値とし、東京都は、将来の技術等の開発に努め、原告ら及び補助参加人ら(以下単に「原告ら」という。)より要望のあつた別紙(三)の二の数値を達成するよう努力する。

2 排水対象項目及び基準値は、下水道法の定めるものとするほか、別紙(四)のとおり自主的目標値を定め、これを遵守するよう努力するものとする。

3 騒音及び振動 東京都公害防止条例に定める規制基準とする。

4 悪臭 東京都が、将来、制定する条例に定める規制基準とする。

二 基準値をこえる場合等の措置

(一) 東京都は、一に定める許容基準をこえた場合又はこえるおそれのある場合には、自主的に焼却量の削減・操業停止等の公害防止に必要な措置をとるものとする。

(二) (一)のほか、東京都は、運営協議会の要請に従い必要な対策を講じなければならない。

(三) 原告らは、一に定める許容基準をこえた場合又は(二)によつて運営協議会が要請したにもかかわらず東京都が必要な対策を講じなかつた場合は、東京都に対し工場の操業の全部又は一部の停止を求めることができる。

三 基準対象外項目の定期測定 アンモニア・アルデヒド・シアン・全炭化水素・塩化ビニルモノマー・PCB・フタル酸エステル及びふんじん中の重金属(鉛・亜鉛・カドミウム・マンガン・総水銀)については、定期的に測定しその結果を公表する。

四 公害監視体制

(一) 東京都は公害に関して次の調査を実施する。

1 焼却対象ごみの組成分析(年二回以上)

2 分別収集の分別状況(年二回以上)

3 一、(二)の許容基準に定める項目の測定

4 工場の操業停止時及び操業時の大気環境調査

5 その他の必要な調査

(二) 東京都は、運営協議会が立入り調査を求めたときは、工場運営に支障がない限りこれに応じなければならない。

(三) 東京都は、工場の操業状況・公害対策の実施状況・公害関連調査の結果・関係資料等を常に公開し、許容基準に定める項目の測定結果をただちに工場正門の掲示板に公表するものとする。

(四) 東京都は、許容基準の測定条件・測定方法・基準値の算出方法・大気環境調査等の実施内容については、計画建設協議会で協議のうえ、公害監視マニュアルを作成するものとし、その大要は別紙(五)のとおりとする。

五 住民の健康診断 東京都は、操業開始前及び操業後に住民の健康診断を行なうこととし、そのシステムは、計画建設協議会で協議のうえ決定する。

六 工場建設中における公害等の対策東京都は、工場建設中の公害等の対策を、計画建設協議会で協議のうえ決定するものとし、その主たる内容は、責任体制、苦情処理体制、作業計画の提示、作業日及び作業時間の制限、騒音・振動・ほこり・井戸涸れ等の対策、電波障害対策、商店等への影響防止、資材運搬及び資材置場の対策、工事補償等とする。

第四 敷地内利便施設及び周辺整備構想

東京都は、利便施設の計画・建設・管理運営・余熱利用及び周辺整備構想の立案にあたつては、昭和四九年一〇月に行なつた住民意向調査の結果を最大限にとり入れ、地域住民の意向を十分尊重するものとする。

一 敷地内利便施設の内容

(一) 敷地内オープンスペースの設置

1 面積は一ヘクタール以上とする。

2 位置は工場西側の人工地盤上とする。

3 みどりの多い市民の広場とする。

(二) 高井戸市民センター(仮称)の設置 オープンスペース上に設置される右センターには、次の諸施設を含めてこれを設けるよう検討するものとする。

1 温水プール

2 健康増進センター(アスレチッククラブ設備)

3 図書室

4 診療所

5 老人福祉センター

6 婦人利用施設

7 集会施設(サロン・ホール等)

(三) 利便施設の建設計画は、計画建設協議会で協議のうえ立案された基本構想にもとづき、東京都及び杉並区が策定し、その実現にあたつては、工場建設と併行して行うものとする。

(四) 利便施設の管理運営については、計画建設協議会で協議のうえ基本方針を定める。

二 記念施設等の構想 東京都は、原告らの要請する記念施設等の構想の実現に協力するものとする。

三 余熱利用 工場から発生する余熱は、次に定めるところにより住民のもつとも希望する利用に供するものとする。

(一) 余熱の利用計画は、計画建設協議会で協議のうえ基本方針を定める。

(二) 余熱の供給は、原則として公共的施設に対して行なう。

敷地内利便施設には優先的に供給する。

四 周辺地域の整備

(一) 周辺地域整備計画の立案にあたつては、さきの住民意向調査の結果及び計画建設協議会の協議成果を十分に反映させるとともに、杉並区が工場の立地を前提として立案した杉並区長期計画との斉合を図るものとする。

(二) 杉並区長期計画の中で、工場建設に関連して東京都が受け持つことが適当であるものについては、計画建設協議会で協議のうえ、東京都が計画を策定し、その実施を図る。

第五 住民参加

東京都は、次に定めるところにより、住民の参加を得て工場の計画・建設及び管理運営を行なうものとする。その際、それぞれの協議会における住民代表の意見は、これを最大限に尊重しなければならない。

一 杉並清掃工場計画建設協議会 東京都は、工場・利便施設等の計画・建設に住民の意向を反映させるとともに、本件和解条項の実施及びこれに関する諸問題を協議するため、次に定めるところにより計画建設協議会を設ける。

(一) 構成

周辺住民代表   二〇名

杉並区関係者    七名

東京都職員     五名

(二) 設置期間 本件和解成立後ただちに発足し、工場の操業開始まで存続する。

(三) 運営 次の基本的方針で運営することとし、その詳細は本協議会で定める。

1 工場の計画・建設に関する基本的かつ重要な事項を協議する。

2 本協議会の権限、協議及び運営の方法については、別に規約を定め、これに従うものとする。

(四) 協議事項

1 計画段階

(1)本件和解条項の確認 (2)基本計画 (3)基本設計 (4)実施設計 (5)建設過程での影響の事前対策 (6)建設工事協定の内容 (7)操業に関する協定の内容 (8)公害監視マニュアルの内容 (9)みどりの育成協定の内容 (10)オープンスペースの利用計画及び実施設計 (11)敷地内利便施設の基本設計及び実施設計 (12)余熱の利用計画及び実施設計 (13)周辺整備の基本構想

2 建設段階

(1)建設工事協定の実施状況の確認 (2)建設過程での影響等の対策 (3)建設工事の安全対策 (4)建設工事中の苦情処理の経過報告

3 その他、本協議会で必要と認めた事項

二 杉並清掃工場運営協議会 東京都は、工場の操業運営について住民の意向を反映させるとともに、操業に関する協定の適正な運用を図るため、次に定めるところにより運営協議会を設ける。

(一) 構成

周辺住民代表   二〇名

杉並区関係者    七名

東京都職員     五名

(二) 発足時期 工場の操業開始時に発足する。

(三) 運営 次の基本的方針で運営することとし、その詳細は本協議会で定める。

1 工場の操業に関する基本的かつ重要な事項を協議する。

2 本協議会の権限、協議及び運営の方針については、別に規約を定め、これに従うものとする。

(四) 協議事項

1 工場設備の重要な変更

2 操業に関する協定の内容の変更

3 右協定に定める許容基準をこえた場合の都の措置

4 汚染物質等の測定結果

5 ごみ収集地域及び搬出入経路の変更

6 工場の操業状況の定期的報告

7 その他、本協議会で必要と認めた事項

三 各種協定の締結 東京都は、工場の建設及び運営について住民の意向を反映させるとともに、工場周辺の環境整備を図るため、住民代表及び杉並区との間に次の協定を締結するものとする。

(一) 建設工事協定

(二) 操業に関する協定

(三) みどりの育成協定

四 住民意向調査等の要請 計画建設協議会及び運営協議会は、必要があるときは、東京都に対して住民の意向を把握するための調査その他の必要な措置を要請することができる。

第六 和解条項等の履行確保

一 本件和解条項の違背があつたときは、本訴の原告らである住民各自において、それぞれの是正を求めることができる。

二 本件和解条項第三、二、(三)に定める原告らの権利についても一と同様とする。

第七 補償

一 土地所有者等に対する補償 工場用地の土地所有者及び関係人に対する補償については、東京都収用委員会のあつせんのもとに、昭和四九年一一月一四日及び同月二一日、土地収用法法第五〇条にもとづく和解が成立したことを相互に確認する。

二 住民に対する補償 工場の建設及び操業にともなつて、東京都の責に帰すべき事由により住民に損害を与えた場合には、東京都は、誠意をもつてこれを補償するとともに、すみやかに損害の発生を防止するための施設の改善等必要な措置を講ずるものとする。

第八 事情変更による改定協議

将来、技術水準の向上、社会情勢の変化その他事情の変更によつて、本件和解条項の全部又は一部が不相当となつたときは、当事者は、その改定を提議することができ、この場合、相手方は、誠意をもつてこれに応じなければならない。

第九 訴訟費用等

民事訴訟費用等に関する法律にいう訴訟費用は、各自弁とする。

昭和四二年(行ウ)第一二三号事件の原告ら及び補助参加人らに生じたその余の訴訟関係費用のうち、金一、〇〇〇万円は東京都の負担とし、東京都は、これを昭和四九年一二月二八日限り、右原告ら及び補助参加人らの訴訟代理人弁護士丁野暁春に支払う。

別紙(二) 公害防止装置

一 乾式電気集じん装置

二 マルチサイクロン

三 最新式のスクラバーを使用して、苛性ソーダ溶液にて排ガスを全量洗浄する装置

四 煙突 煙突の高さは一五〇メートル以上

五 排水処理装置 有機物除去のための活性汚泥法による装置、重金属除去のための装置及び循環利用のための処理装置

六 悪臭除去装置

(一) ごみプラツトホームにエアカーテンの装置

(二) 焼却炉の停止時における脱臭装置

七 飛灰(フライアッシュ)の分離回収装置

別紙

(三) 排ガス及びふんじんに闘する許容基準

一 基準値

項目

総ふんじん量

いおう酸化物

窒素酸化物

塩化水素

濃度

0.03g/Nm3以下

三〇PPm以下

一五〇PPm以下

二五PPm以下

絶対量

3.6kg/H以下

10.28kg/H以下

24.74kg/H以下

4.82kg/H以下

二 目標値

項目

総ふんじん量

いおう酸化物

窒素酸化物

塩化水素

濃度

0.01g/Nm3以下

一〇PPm以下

五〇PPm以下

一〇PPm以下

絶対量

1.2kg/H以下

3.43kg/H以下

8.25kg/H以下

1.61kg/H以下

なお、右目標値のほか、第三、三に掲げる項目についても許容基準設定を考慮する。

別紙

(四) 排水の自主規制目標値

項目

目標値

濃度

絶対量(kg/H)

温度

摂氏四〇度以下

P・H

5.8~8.6以下

BOD

三〇〇mg/ℓ 未満

18.75以下

SS

三〇〇mg/ℓ 未満

18.75以下

ノルマンヘキサン抽出物質

鉱油類含有量

五mg/ℓ 未満

0.31以下

動植物油脂類含有量

一〇mg/ℓ 未満

0.63以下

沃素消費量

二二〇mg/ℓ 未満

13.75以下

フェノール類含有量

2.5mg/ℓ 未満

0.16以下

シアン化合物含有量

0.5mg/ℓ 未満

0.032以下

有機燐化合物含有量

0.5mg/ℓ 未満

0.032以下

カドミウム及びカドミウム化合物含有量

0.05mg/ℓ 未満

0.0032以下

鉛及び鉛化合物含有量

0.5mg/ℓ 未満

0.032以下

ひ素及びひ素化合物含有量

0.25mg/ℓ 未満

0.016以下

銅含有量

1.5mg/ℓ 未満

0.094以下

亜鉛含有量

2.5mg/ℓ 未満

0.16以下

溶解性鉄含有量

五mg/ℓ 未満

0.31以下

溶解性マンガン含有量

五mg/ℓ 未満

0.31以下

弗素含有量

7.5mg/ℓ 未満

0.87以下

クローム含有量

一mg/ℓ 未満

0.063以下

六価クローム化合物含有量

0.25mg/ℓ 未満

0.016以下

水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物含有量

0.005mg/ℓ 未満

0.0003以下

アルキル水銀含有量

検出されないこと

別紙(五) 公害監視マニュアルの大要

一 測定項目

(一) 排ガス及びふんじん

1 定期的測定項目・その一

総ふんじん量・いおう酸化物・窒素酸化物・一酸化窒素・塩化水素及びふんじん中の重金属(鉛・亜鉛・カドミウム・マンガン・総水銀)

2 定期的測定項目・その二

アンモニア・アルデヒド・シアン・全炭化水素・塩化ビニルモノマー・PCB及びフタル酸エステル

(二) 排水

下水道法に定める項目

二 測定回数

原則として月一回とする。ただし、(一)の2の項目については年二回とする。

三 連続測定

段階的に実施するように努力するものとし、連続測定装置の開発計画を明示する。

四 測定位置

(一) 排ガス及びふんじん 工場の煙突の中段の測定口とする。

(二) 排水 下水道への放流口とする。

(三) 騒音及び振動 工場敷地境界線上とする。

(四) 悪臭 東京都が将来制定する条例に定める測定位置とする。

五 測定方法 別に定める方法

六 測定値の算出方法 三回以上測定しその算術平均値とし、連続測定については二四時間の平均値とする。

七 絶対量の換算方法

(一) いおう酸化物(SOx)は二酸化いおう(SO2)として、窒素酸化物(NOx)は一酸化窒素(NO)を九五パースント、二酸化窒素(NO2)五パーセントとして、それぞそ算出する。

(二) 最大総排出ガス量は一二〇、〇〇〇Nm3/Hとし、最大総排水量は一、五〇〇トン/日とする。

当事者目録

昭和四二年(行ウ)第一二〇号事件原告

内藤庄右衛門

外一一名

右原告一二名訴訟代理人弁護士

奥野健一

外二名

昭和四二年(行ウ)第一二三号事件原告

白井勇

外五一六名

右原告五一七名訴訟代理人弁護士

丁野暁春

外四名

昭和四二年(行ウ)第一二三号事件補助参加人

酒井億尋

外四二二一名

右補助参加人四二二二名訴訟代理人弁護士

丁野暁春

外三名

昭和四二年(行ウ)第一二〇号、同四二年(行ウ)第一二三号事件被告

東京都

右代表者東京都知事

美濃部亮吉

右被告指定代理人

関哲夫

外五名

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