大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)10335号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告が、本件事故によつて頸椎捻挫兼頭部打撲の傷害を受け、東洋病院に事故当日から同年九月二二日まで通院治療を受けたことは当事者間に争いがない。

争点は、原告主張の陳旧性第四・五・六頸椎、第六胸椎、第四腰椎亜脱臼兼第五頸椎圧迫骨折とそれに基づく昭和四二年六月二六日以降の○○医院における治療が本件事故と因果関係を有するか否かにあるので判断する。

<証拠>によれば、原告は、東洋病院における右治療により症状が軽快し全治との診断を受けたが、その後頭痛、肩胛骨裏側部の痛み、足のしびれ、腰の重苦しさや痛みなどの症状を覚え、次第に増悪するようであつたので、昭和四二年六月二六日頃○○医院で診察を受けたところ、右原告主張の病名の診断を受け、原告主張の期間いわゆるカイロプラクチックを主体とする治療を受けて前記症状が軽快したことが認められる。

しかしながら、<証拠>ならびに鑑定嘱託の結果とによると、○○医院において数回にわたり撮影されたレントゲン写真からは右診断名の如き所見を確認し難いものであること、脊椎の亜脱臼なる診断名は医学上一般的なものではなく、脱臼ないし脱臼骨折の有無いずれかに診断するのが一般であること、そして、その診断名の症病が本件事故によつて生じたとすれば、その直後において上半身の運動障害が顕著となり歩行も困難となる蓋然性が高いものであるところ、本件事故直後においてそのような症状はなかつたこと、原告には東洋病院における初診の際既に陳旧性の第七頸椎骨折と項中隔石灰化症が認められ、また昭和四五年八月二一日(鑑定検査)当時にも同様にバルソニー氏病の所見があつたことなどの諸事実が認められる。<証拠判断・略>また<証拠>によれば、原告は大正一二年生れで○○医院での初診当時満四四才であり、昭和三三年以来継続してタクシー運転手をしていて、以前にも軽度の追突事故を受けたほか小さな接触事故は数度に及ぶというのである。

右のごとき諸事情を綜合して考えると、○○医院における治療当時原告が訴えるような症状があつてそれが治療を要するほどのものであつたことを首肯しうるとしても、右症状は本件事故前あるいは後における何らかの別の原因によるものではないかとの疑いが濃厚で(特に経年性のバルソニー氏病に基づくものとの疑いが濃い。)あつて、これが本件事故に起因するものであるとはにわかに断定し難いものといわなければならない。

以上のほか右因果関係を首肯させるに足りる証拠はない。

(坂井芳雄 浜崎泰生 鷺岡康雄)

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