東京地方裁判所 昭和43年(ワ)12522号 判決
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〔判決理由〕原告が中華民国の国籍を有する外国人であることは当事者間に争いがないところ、被告は、本案前の抗弁として、本件訴の却下を求め、その理由として、中華民国には我が国の国家賠償法に相当する法規が存在せず、ひいて相互の保証がないため、同法六条により、外国人たる原告は同法による保護を受けられない旨主張するが、しかしながら国家賠償法六条は、外国人に対して相互保証の存することを条件として同法上の請求権を与えたもの、すなわち同条は外国人にとつて同法上の権利根拠規定と解するのが相当であるから、右相互保証が存する旨の主張自体が請求原因を構成するものと考え。さすれば、被告の叙上の主張は請求原因事実の否認に該るもものと言うべく、本案前の抗弁とはなし難い。よつて、進んで、中華民国において相互保証の原則を是認し、これを外国人に対しても認めているか否かにつき按ずるに、中華民国憲法二四条は、「およそ公務員で、違法に人民の自由又は権利を侵害した者は、法律によつて徴戒をうけるほか、刑事および民事の責任を負わなければならない。損害を受けた人民は、その受けた損害について、法律により、国家に対しても賠償請求することができる」と規定しており、この規定に基づき我が国の国家賠償法のような法律が制定されてはいないが、解釈上、同民法二八条、一八四条、一八六条により損害を蒙つた者は国又は公共団体に対し民事訴訟を提起し、その賠償を請求できることが是認されており(中華民国最高法院民刑庭総会民国五〇年(一九六一年)第二次会議における決議参照)、外国人に対しても、ほぼ同様の解釈が認められている(同国渉外民事法律適用法九条参照)。従つて、本件における原告も、我が国の国家賠償法を適用して、その保護を請求できるものと解すべきである。
(中田四郎 早井博昭 満田忠彦)