大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和43年(ワ)13062号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(一) 亡健而の逸失利益とその相続

(1) 亡健而の逸失利益

<証拠>によれば、亡健而は死亡当時満八歳の男児であつたことが認められ、同人が生存していたとすれば、満二〇歳から満六〇歳までの四〇年間は稼働し、少くとも右期間を通じて企業規模五ないし二九人の事務所の全産業労働者の男子平均賃金を得ることができたものと認められ、総理府統計局編、日本統計月報昭和四三年一二月号によれば、昭和四二年における右の男子平均賃金は月額四万三二三六円であり、生活費は右四〇年間を通じて二分の一を以て相当と認める。したがつて、右期間中の純収入について現価を求めるべく、稼働終了までの期間である五二年の年毎のホフマン式係数から、稼働開始までの期間である一二年のホフマン式係数を控除した数を年収に乗ずれば、

となる。

(2) 相続

原告両名が亡健而の両親であることは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば原告両名以外には亡健而の相続人はいないことが認められる。したがつて、原告両名の相続分は、それぞれ二〇八万一三三三円となる。

(3) 養育費控除

ところで、原告両名は、亡健而の親権者として亡健而の養育・教育をなすべき義務があつたところ、同人の死亡によつてその義務を免れたことになり、養育・教育の費用の支出を免れたことになる。かかる費用を控除すべきか否かについては議論の存するところであるが、当裁判所は、控除すべきものと解する(東京地方裁判所昭和四〇年(ワ)第一一二一二号昭和四四年二月二四日判決、判時五五〇号四二頁、判タ二三二号二八一頁参照)。

そこで、その額について按ずるに、養育費としては一ケ月五〇〇〇円を以て相当と認めるから、一二年間の養育費について年毎のホフマン復式計算で現価を求めると、

5000円×12×9.21511077=552906円

となり、原告両名はこれを半額ずつ負担すべきところであつた。(篠田省二)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!