東京地方裁判所 昭和43年(ワ)7942号 判決 1970年7月30日
原告 光風自転車株式会社
右代表者代表取締役 寺見守
右訴訟代理人弁護士 風間克貫
同 大平恵吾
同 雨笠宏雄
同 松林詔八
同 竹内良知
被告 秋田光風販売株式会社
右代表者代表取締役 斎藤惣治
<ほか二名>
右被告両名訴訟代理人弁護士 加藤堯
主文
被告らは連帯して原告に対し金一二、五二二、九六〇円およびこれに対する昭和四三年一二月一日(但し被告会社については同年一二月一〇日)以降完済まで年六分の割合による金員の支払をせよ。
訴訟費用は被告らの負担とする。
本判決は被告会社に対しては仮りに執行することができる。
事実
≪省略≫
理由
一、原告がその主張のとおりの営業を営むものであり、被告会社が原告主張のとおりの営業をするものであることは当事者間に争いがなく、原告が被告会社に対しその主張のとおりの期間、その主張のとおりの物件を売り渡し、その主張のとおりの売掛残代金債権を有することは、原告と被告会社間には争いがなく、その他の被告らとの間に争いがあるが、これは≪証拠省略≫を綜合すると、これを認めることができる。
二、≪証拠省略≫を総合すると、昭和三九年七月五日被告会社代表者斎藤惣治の宅において、原告会社から被告栄子に対し原告会社と被告会社間の前示取引について連帯保証を求め、被告栄子はこれを承諾し、甲第三号証債務保証契約書に、父親である右斎藤惣治をして同被告の氏名をかかせ、名下に同被告の印を右惣治をして押捺させて連帯保証したことが認められる。≪証拠判断省略≫
三、≪証拠省略≫を総合すると、前示のとおり昭和三九年当時被告斎藤栄子が連帯保証したが、当時の取引は年間七〇〇万円程度であったのが、昭和四一年には倍近くの一、六〇〇万円位になったので、原告会社からあらたに然るべき人を連帯保証人に立てるよう要請したところ、前示斉藤惣治は被告佐々木勇に連帯保証して貰う旨原告会社に申出て、その結果昭和四一年一一月一〇日原告と同被告との間に、前示原告と被告会社間の取引について一、五〇〇万円を限度として連帯保証する旨の約がなされ、甲第四号証の債務保証契約書に同被告において署名捺印した事実が認められる。
≪証拠判断省略≫
四、被告佐々木は甲第一三号証の二、三の成立を認めたが、之は、錯誤によったもの故取消して、成立を否認すると主張するも、本訴の第一回口頭弁論期日は昭和四三年八月二四日開かれ、甲第一三号証の二、三の認否は第六回口頭弁論期日昭和四四年八月二二日になされ、被告佐々木勇本人尋問は同日なされ、右甲第一三号証の二、三は同被告に示され同被告において自署した旨証言し、甲第一三号証を資料とする鑑定は、鑑定人尋問が昭和四四年一一月一二日第八回口頭弁論期日になされ、最終弁論期日である第九回口頭弁論期日昭和四五年二月二六日前示主張がなされたことは本件記録に徴し明らかである。これは民事訴訟法第一三九条に所謂時機に遅れて提出した防禦方法であり、之を許すと訴訟を遅延させると考えられ、すくなくとも鑑定人尋問の際この事は主張すべきであり、且つ、十分主張することができたものである。よって本件抗弁は却下する。
しからば、原告の被告らに対する連帯して売掛代金一二、五二二、九六〇円およびこれに対する準備書面送達の日の翌日である昭和四三年一二月一日(被告会社については同年一二月一〇日)以降完済まで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の本訴請求は理由があるからこれを正当として認容すべく、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条第九三条、仮執行の宣言について同法第一九六条の規定を適用して主文のとおり判決する。
なお、被告斎藤栄子、同佐々木勇に対しては仮執行を付すのは相当でないと認め付さないことにした。
(裁判官 岡田辰雄)