東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1010号 決定
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〔決定理由〕二、なお、増改築制限の約定の有無については争いがあり、本件に顕われた限りの資料では必ずしもその存否を確定するに十分でないけれども、もし申立人がこのまま改築を行なえば、相手方から契約違反を主張され紛争に至るべきおそれは十分であるから、申立の利益はこれを肯定すべきである。
次に、申立人の計画する改築は、建築に関する法令に反する点もなく、借地の通常の利用上相当であり、隣地に対する影響等の点で特に問題となる点もない。それ故、本件申立はこれを認容すべきである。
三、そこで次に附随の処分について検討する。
1、本件賃貸借の残存期間は、昭和五一年一二月一三日までと認められるが、本件改築に伴い、借地法第七条の趣旨を酌み一二年延長して昭和六三年一二月一三日までとするのが相当と考えられる。
2、次に財産上の給付について検討する。
本件土地の価格及び借地権の価格については、鑑定委員会の意見に従い次のとおり評価する。すなわち、更地価格は八七三万二八〇〇円(3.3平方米当り32万円)借地権価格はその七五%の六五四万九六〇〇円をもつて相当と認める。
次に鑑定委員会は、申立人が建物を有効に利用できることによる収益の増加及び期間延長に伴う利害、建物買取請求権の行使された場合の賃貸人の不利益等を考慮し、借地権価格の一〇%にあたる六五万四九六〇円を給付せしめるべきものとする。
ところで、資料によれば相手方は自ら使用する目的で本件土地を買受け、土地の明渡を希望していることが認められるので、昭和五一年の期間満了時における更新拒絶による賃貸借の終了を期待していると見られる。その際における更新拒絶の正当事由の有無を予測することは困難であるが、申立人の土地使用の必要がそのまま続く限りたやすくこれを肯定し難いと思われる。また申立人が借地上に所有する建物はかなり古くなつているが、近く朽廃に至るとも思えない。しかし、前述の期間延長及び本件許可に基づく改築によつて、期間満了もしくは建物の朽廃による借地権の消滅に対する相手方の期待が失われることは否定できない。それ故、かような点の利害調整のため財産上の給付を命ずるのが相当であると思われる。
右のほか、申立人は新築された建物を他に賃貸し、または店舗として使用されることも考えられ、この点が前記委員会の意見でも参酌されているが、それは本件借地の通常の利用として当然考えられるところであり、これによる利益を財産上の給付額決定の基準として考えるのは必ずしも相当でなく、本件においては後述の賃料の増額の面で考慮すれば足りると考えられる。
以上のとおり、当裁判所は前記委員会と若干所見を異にし、給付額も前記意見より下廻る借地権価格の約六%(更地価格の約4.5%)にあたる四〇万円をもつて相当と認める。
3、賃料については、鑑定委員会の意見のとおり、一カ月三、二七五円に増額するのが相当と認める。(安岡満彦)
(一) 借地
東京都北区中里町
宅地578.34平方米(ただし、土地区画整理中、仮換地の面積449.58平方米)
のうち、
99.17平方米(30坪、ただし仮換地の面積27.29坪)
(二) 現存建物
木造瓦葺二階建居宅一棟
床面積 一階 49.58平方米
二階 16.52平方米
(三) 改築の内容
右建物を取りこわし、新たに、
木造モルタル塗瓦葺二階建店舗兼居宅一棟一、二階とも各62.80平方米
を建築する。