東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1052号 決定
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〔決定理由〕二、本件資料によれば、……本件増改築は建物関係法規の規制にも適合し、本件土地および附近の土地の状況から考えて、土地の通常の利用上相当であると認められるので、本件申立ては認容するのが相当である。
三、そこで、附随処分の要否等について検討する。
本件資料によれば本件増改築において、取り毀すことになる別紙目録(三)の(1)(2)の建物は昭和一〇年頃に建築されたものであることが認められ、すでに三三年余を経過している。したがつて、申立人が本件の許可を受けて新築する建物の資材が仮りに、右建物と同等とすれば、これが建築されることによつて建物の朽廃による借地権消滅の時期は右の経過年数だけ延びることになり、後記のとおり、存続期間を延長することにより、期間満了による借地権消滅の可能性は現実にも遠のくことになつて、これが申立人に本件土地利用に関して経済的に利益をもたらすものと考えられ、他方、相手方は、法律的には、本件増改築の許可と存続期間の延長と相俟つて借地法第七条による異議権を奪われ前記の借地権消滅についての期待的利益をほとんど失うことになる。そこで当事者双方の利害を調整するため、申立人に、相手方に対する財産上の給付として金銭の支払を命ずるのが相当である。
そこで右の給付額について、鑑定委員会は、本件土地の更地価格を3.3平方米につき金一二万円と評価し、借地権価格はその六五パーセントとして、さらにその一〇パーセントを二〇年間の更新料として、これに二〇分の六、六六(本件増改築によつて六年八箇月延長するものとして、十進法によつて年に修正したもの)を乗じて得た額の本件土地全体に対する合計額金三五万円を相当としている。
本件資料によれば、……申立人は相手方に対し、本件土地賃借の代償として金一〇〇万円を支払つたことが認められる……。
また本件増改築により新築される建物およびその敷地は、申立人の居住のためばかりでなく、本件土地のその余の部分と一体として、申立人の経営する運送業のために利用されるものではあるけれども、本件土地のうち、真に本件増改築により新築される建物の敷地として利用される部分は小さく、また、本件増改築は平家建の二棟の建物が、二階建の一棟の建物になるのであつて、その規模等からしても格別本件土地の経済的効用が増加して申立人に利得が生ずるというほどのものでもない。
したがつて、以上のような事情を考慮すると、鑑定委員会の意見にある財産上の給付額は高過ぎると解され、当裁判所は、その半額に近い金一六万円(更地価格の一パーセントに当る。)とするのが相当であると考える。
また、前記賃借権の存続期間はなお一三年間余あるが、借地法第七条等の趣旨にしたがい、少くとも増改築後二〇年間の存続期間となるように昭和六四年四月一二日まで延長する。
なお賃料については、本件資料によれば、昭和四三年四月一日に3.3平方米につき、一箇月金三五円に増額されて間がなく、近隣の地代に比し低額でもなく、本件増改築についての前記認定の事情を考慮すると、この裁判において増額する必要はないものと解する。(福嶋登)