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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1076号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕三、そこで、附随処分の要否、内容等について検討する。

(1) 本件増改築は平家建の現存建物の約半分はそのまま残して増改築するものであるが、全体としては、全面的改築に近いものである。したがつて、建物としての効用は、現存建物より相当期間延びることは疑いなく、相手方の借地上建物の朽廃による借地権消滅の期待が薄れることは否定できない。そこで本件増改築を許可するについては、この点の当事者双方の利害を調整する必要があるが、本件建物の朽廃の時期及び本件増改築による建物の朽廃の時期を現在確定することはできないので、右の当事者双方の利害を計数上確定することは困難である。ところで、本件資料によれば、申立人は、昭和二二年一〇月二七日相手方が本件土地に新築して所有していた建物(建坪約三坪)を、代金三万二、〇〇〇円で買受けて、前記の借地権の設定を受けたもので、その後本件建物のように増改築したものであることが認められる。そこで試みに、本件土地の現在の更地価格を鑑定委員会の意見に従い一m2当り金四万五、〇〇〇円として、右建物売買当時の本件土地の更地価格を求めてみる。日本不動産研究所発表の六大都市市街地価格推移指数表の用途地域別平均の指数は、昭和二二年九月は五九九、昭和四三年九月は二三九、八六二であるから、地価は約四〇〇倍に上昇していることになる。

したがつて、本件土地の前記建物売買当時の価格は一m2当り約金一一二円となり、本件土地全部の価格は金九、一二〇円となる。もとより、右価格を直ちに本件土地の適正価格であると断定することはできないが、一応の基準として考えると、前記金三万二、〇〇〇円は建物の対価と借地権設定の対価を含むものと解され、しかも後者の対価はほとんど更地価格に近いものであつたものと推測される。

鑑定委員会の意見は、財産上の給付として金四六万五、〇〇〇円を相当とするというのであるが、前記の事情を考えると、右金額は非常に高額であると思われる。申立人は財産上の給付額として金一〇万円とするのを希望しており、これは本件土地の更地価格の約2.7%に当るが、前記の事情及び類似の事例と比較するとき相当な金額であると認められるので、財産上の給付額は金一〇万円とする。

(2) 前記借地契約の存続期間については、借地法第七条等の趣旨に従い、本件増改築の許可の効力が生じた時からほぼ二〇年になるように、昭和六四年一〇月二六日まで延長する。

(3) 賃料については鑑定委員会の意見に従い一箇月金一、八七五円とする。

(福嶋登)

別紙

目録

(一) 土地

東京都北区滝野川一丁目三一番五

宅地 102.51m2(31.01坪)の内 81.52m2(24.66坪)

(二) 借地契約

(1) 種類及び目的(一)の土地に対する堅固でない建物の所有を目的とする賃借権

(2) 成立の日 昭和二二年一〇月二七日

(3) 存続期間 定めなし

(4) 現在の賃料 一箇月金一、三七五円

(三) 現存建物

家屋番号 三一番二

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建 居宅一棟

床面積 37.02m2(11.2坪)現況三八m2

(四) 増改築の内容

右(三)の建物のうち25.61m2(玄関、三畳間、六畳間、廊下及び台所に付属した板の間)を取毀し、残存する12.39m2(4.5畳間、押入、台所)と一体として、木造モルタル鋼板葺二階建居宅一棟 床面積一階39.79m2(既存部分を含む)、二階 33.05m2を建築すること。

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