東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1084号 決定
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〔決定理由〕三、先づ、本件増改築の申立を許可すべきか否かを判断する。
本件改築は、建築基準法上適法であり、右改築により、北側及び西側の隣家が現在よりも若干日照りが悪くなるが、これは隣家において受忍すべき程度のものであり、土地の通常の利用上相当であるというべきである。
相手方は、本件建物が朽廃に近く、昭和四六年一一月三〇日期間満了の上は、自ら本件土地に共同住宅を建築する計画を有しているので、本件申立は許可すべきでないというが、期間満了の際、相手方において更新を拒絶しうる正当事由があるとは認め難い。
以上により、本件申立は、これを認容すべきである。
四、次に、附随の裁判の要否及びその内容を検討する。
1、本件申立を許可するということは、本件改築に関するかぎり、増改築制限の特約を排除することになるが、本件改築は、現存建物を取り毀し、そのあとに新築することであるので、賃貸人としては、右新築に対し、借地法第七条の異議を述べうると解すべく、異議が述べられると、同条所定の期間延長はなく、従前の存続期間で律せられるのであるが、残存期間が短かく、しかも更新される可能性の強い本件においては、昭和四六年一一月三〇日の更新時の紛争の予防をも含めて予め期間を延長しておく必要がある。その期間は、賃貸人が新築に対し異議を述べないとすれば建物滅失の日から二〇年間期間が延長されることになるので、右規定との権衡上、本件賃貸借契約の期間満了後二〇年とするのが相当である。
2 右のように期間を二〇年延長すると、申立人は延長された期間内に本件建物が朽廃に達したとしても、建物の朽廃による借地権消滅の危険を免れ、今後二〇年間は申立人の意思によらないで借地権が消滅することはないことになるが、一方相手方は借地権消滅によつて本件土地の返還を受け、自ら使用しまたは新たに相当な対価で賃貸することによつて得べき利益に対する期待が少くとも延長された期間は失われることになるわけである。
以上の当事者双方の利害を調整するため、申立人に対し、相手方に対する財産上の給付を命ずべきである。右財産上の給付は、本件土地の更地価格の三%を相当とする。本件資料によれば、本件土地(380.16平方米)の中に私道部分52.38平方米あることが認められ、鑑定委員会の意見によると、本件土地の更地価格は、3.3平方米当り一〇万円にして、私道部分は、その半額と評価している。評価については右意見に従うこととし、計算すると、本件土地の更地価格の三%は金三二万一、七〇〇円余となるので、財産上の給付額は、端数を切り捨てた金三二万円を相当とする。(鑑定委員会は、本件賃貸借契約が更新される場合、当事者間に更新料の授受がなされることを前提とし、右更新料は、借地権価格(更地価格の六五%)の一〇%が相当であるとし、財産上の給付は、更新料相当額であると考えているが、更新の有無は賃貸人に更新を拒絶するに足りる正当の事由があるか否かによつて定まるものであり、右事由がないかぎり、更新料の授受に関係なく更新されるものであるので、この点についての鑑定委員会の意見には賛しえない。)
3 鑑定委員会は、本件土地の賃料につき、月額五、一八四円(3.3平方米当り四五円)を相当としている。本件賃貸借契約においては、昭和四一年九月一日以降賃料の改訂がなされていないので、本裁判に当り、賃料を右額に増額するのを相当とする。(小山俊彦)
目録
(一)借地
東京都江戸川区東小岩三丁目三九五番一宅地525.61平方米(159坪)のうち380.23平方米(115坪2合)