東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1097号 決定
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〔決定理由〕一、本件資料によれば次の事実が認められる。
(一) 申立人は相手方から昭和二四年九月一日別紙(一)記載の土地を建物所有の目的で賃借し、同地上に別紙(二)記載の建物を所有している。右借地契約には、建物の増改築につき賃貸人の承諾書を要する旨の特約がある。申立人は別紙(三)の増改築を計画し相手方に承諾を求めたが一〇〇万円を要求され、これに応じ難いので本件申立に及んだ。
(二) 右借地契約には期間の定めはない。……
(三) 賃料は昭和四三年四月頃以降月3.3平方米あたり一一〇円に合意改訂されている。
二(一) 本件増改築は土地の通常の利用上相当と認められるのでこれを許可することとする。
(二) 次に付随処分について検討する。鑑定委員会の意見は本件借地につき3.3平方米あたり更地価格を三七万円、建付地価格を三五万円、借地権価格をその約七五%として二六万円と評定し、承諾料として本件借地契約が期間の定めのないものとすれば借地権価格の3.5%にあたる三二万円を期間が二〇年であれば実質的に更新料にあたるものとして借地権価格の八ないし一〇%を申立人に支払わせ、地代を3.3平方米あたり一二〇円に増額することを相当としている。右意見は、財産上の給付の点については、借地期間の更新の際、借地人は借地権価格の八ないし一〇%の更新料を支払うこと、期間の途中で増改築をする場合は承諾料として借地権価格の二ないし五%を支払うことを当然の前提としているものである。しかし当裁判所は右のような慣習の成熟度ならびに仮りにそのような慣習が相当に成熟したものであるとしてもなおこれを直ちに裁判の基礎とすることの合理性については借地法の趣旨に照しなお検討の余地があること、本件借地が申立人の住宅専用に使用されていること、本件増改築の程度等の点を考慮し、財産上の給付として、前記鑑定委員会の意見による本件借地の借地権価格の二%にあたる一八万二、〇〇〇円の支払を申立人に命ずることを相当と認める。なお、賃料については当事者間の合意により改訂されてから日も浅く、本件増改築許可に伴う利害の調整として前記財産上の給付のほかにさらに裁判によつてこれを増額する必要は認められない。(白石悦穂)
(一) 借地
東京都渋谷区初台一丁目一〇番二
宅地 六六九、二八平方米のうち
一一五、五三平方米(三四、九五坪)
(二) 現存建物
木造瓦葺二階建居宅
一階 四七、九三平方米(一四、五坪)
二階 一九、八三平方米(六坪)
(三) 現存建物の一部を取りこわし添付図面のとおり増改築する。