大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)12号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕二、……本件資料によれば本件土地は国鉄池袋駅の東方約二五〇米の場所にあり、附近は池袋東口駅前の繁華街として、銀行、百貨店、その他店舗事務所街をなし、堅固高層の建物が立ち並んでおり、都市計画の施設としては防火地域、商業地域、第八種容積地区の指定がなされていることが認められ、現在借地権を設定する場合は、堅固な建物の所有を目的とするのを相当とする状況であることが認められる。したがつて申立人の本件申立は認容するのが相当である。

三、そこで附随の処分について検討する。

(1) まず、申立人は堅固の建物の所有を目的とする借地条件に変更する本裁判によつて、現実に堅固高層の建物を築造することができ、これによつて、賃借権消滅の可能性はほとんどなくなり、本件土地の利用は安定し、その効用は増加して申立人に経済的利益をもたらすことになるとともに、また本件土地の賃借権を譲渡する場合には、堅固な建物の所有を目的とする賃借権として、現在の堅固でない建物所有を目的とする賃借権より高額の対価で譲渡することができるところの経済的価値を取得する。他方、相手方は、賃借権消滅による自己使用によつて、又は第三者に対する新たな借地権設定によつて得べかりし利益取得の機会がほとんどなくなり、申立人の賃借権譲渡に際しては、その承諾か又は借地法第九条ノ二第三項による堅固な建物所有を目的とする賃借権としての対価を支払つて自ら譲受けることの選択に迫られることになるので、本件申立を認容する裁判は相手方に経済的価値の現実の喪失をもたらし、また将来においてはより経済的負担の大きい地位にたたせることになることは明らかである。よつて右のような当事者双方の利害を調整するため、申立人をして、相手方に対し相当の財産上の給付をさせる必要がある。

そこで右の財産上の給付額については、鑑定委員会の意見は、本件土地の更地価格を3.3平方米につき金二〇〇万円と評価し、堅固な建物の所有を目的とする借地権割合八五パーセントと現在の借地権割合七五パーセントとの差一〇パーセントを本件土地全体の更地価格に乗じて得た金六〇一万七、〇〇〇円を給付額とするのが相当であるとしている。右の各借地権割合は、いずれも低率の感はあるが、前記認定の賃貸借契約更新に関する事情その他従前の経過および前記の本件の借地条件変更の裁判が当事者双方に与える利害を考慮すると、右意見のように、本件土地の更地価格を3.3平方米につき金二〇〇万円と評価し、本件土地全体の更地価格の約一〇パーセントに当る金員を給付させるべきであるという点は相当であると考えるので、当裁判所は金六〇〇万円を財産上の給付額と定め、これが支払を条件として本件申立を認容する。

(2) 次に、存続期間は、前記認定のとおり、昭和六三年三月末日までであるが、申立人が築造する予定の建物の耐用年数を考えて、昭和八三年三月末日まで延長することとする。

(3) さらに、賃料は、本件資料によれば、昭和四一年五月一日以降現在まで3.3平方米につき一箇月約五六六円であり、低額であるので、本裁判確定の月の翌月から、鑑定委員会の意見のとおり3.3平方米につき一箇月金九九〇円に増額する。(福嶋登)

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