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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)19号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由】一、申立の要旨

申立人らは相手方から東京都北区王子五丁目一〇地一宅地310.03平方米のうち82.64平方米(二五坪)を賃借し同地上に別紙記載の既存建物を所有していたが、道路拡張のため右借地のうち33.91平方米(10.26坪)を残し、その余の部分を収用され、そのため地上建物の一部を除却せねばならず、残存部分では使用できないので、別紙記載のとおり改築を計画している。ところで申立人らは当初堅固建物に改築することを計画していたので、相手方との間で東京都から交付された収用土地の買収代金を通常は借地人七、地主三の割合で配分すべきところ、堅固建物建築の承諾料および更新料を相手方に支払う趣旨でこれを申立人ら六、相手方四の割合で配分した。したがつて申立人らとしては堅固建物に改築することについても相手方の承諾を得ているのであるが、相手方はその後前言をひるがえして、更に多額の承諾料を要求してきた。本件借地契約には増改築制限の特約はなく、申立人らはその後別紙記載のとおり改築計画を非堅固建物に変更したのであるから、本来相手方の承諾を要しないのであるが、相手方は、右特約があると主張して多額の承諾料を要求し、工事に着手すれば契約を解除すると通告してきた。よつて相手方の承諾にかかわる許可を求める。

二、資料によれば、申立人らが前記33.91平方米の土地を賃借していること、相手方は増改築制限の特約の存在を主張し、本件改築について承諾料を要求し、その支払なしに着工すれば契約を解除する旨通告していることが認められ、かつ本件改築は借地の通常の利用上相当なものと認められるので、これを許可することとする。

三 次に附随の処分について考える。

1 鑑定委員会は、本件借地の更地価格を3.3平方米あたり二五万円、借地権価格をその七〇%と評定した上、財産上の給付として、通常の場合であれば借地権価格の七%にあたる一二万五〇〇〇円が相当であるが、本件では収用補償金の配分につき近隣の他の借地人と相手方との間でおおむね借地人が六五%、地主が三五%の割合で配分されたのに、申立人の場合は六〇%対四〇%の割合で配分され、結局通常の場合に比し相手方が約一八万四、〇〇〇円余分に取得したことを考慮し、一〇万円を相当とし、なお賃料については現在3.3平方米あたり月七〇円(相手方主張によれば八〇円)であるが、これを九〇円に増額することを相当としている。

2 当裁判所は次のような理由により、本件においては附随の処分を命ずる必要はないと認める。すなわち

(一) 本件借地契約の期間は昭和三〇年七月一日から同五〇年七月一日までと約定されているが、本件改築がなされれば、借地法第七条の趣旨により、借地期間は既存建物とりこわしの日から二〇年となり、かつ本件許可の裁判により相手方は同条の異議の申立はできなくなるものと解せられるので、このことによつて生ずる利害を調整するため、後記のような事情がなければ、申立人らから相手方に財産上の給付を命ずるのが相当であり、その場合の金額については当裁判所は借地権の残存期間、その他の事情を考慮し、前記鑑定委員会の意見による本件土地の借地権価格の約四%にあたる七万円を相当と認める。

(二) ところで、資料によると次の事実が認められる。すなわち、本件借地はもと82.46平方米(二五坪)であつたが、道路拡張のため33.91平方米(10.26坪)を残し、その余を収用され、その買収代金は一平方米あたり七万五、〇〇〇円であつたが、その配分について申立人らは当初借地人七、地主三の割合を主張したが結局昭和四二年一一月一一日借地人六、地主四の割合で配分することに合意が成立し、その比率で配分された。ところで相手方は本件土地附近の他の借地人との間では、借地人対地主の割合を一人の借地人については七対三、他の数人の借地人についてはいずれも6.5対3.5の割合で配分している。申立人らの場合、他の通常の場合のように6.5対3.5の割合で配分した場合に比べて、相手方は約一八万四、九〇〇円を余分に取得したことになる。このように申立人らの場合だけ地主が多く取得した理由について、申立人らは堅固建物に改築することの承諾の対価として合意したものであるとし、相手方は配分率を決めた際に改築の話があつたことは認めながら、改築の承諾料をこれとは別にさらに要求することを放棄したのではなく、申立人らの場合は、地代を貰いに行くと待たされる事が多いからであるとか、賃貸の時期が他の借地人より古く、権利金を貰つていないからであるとか、主張しその解釈はくいちがつている。しかしいずれであるにしても、この場合相手方が申立人ら本件借地関係について一八万円余りの給付を受けたと同視すべき事情にあると認められる。

(三) 右の事情を考慮すると、本件においては附随の処分は必要がないと認められる。 (白石悦穂)

既存建物および改築の内容

一、既存建物

木造瓦葺二階建居宅兼店舗

一階  50.4平方米

二階  38.4平方米

二、改築の内容

右建物をとりこわし、新たに軽量鉄骨瓦葺二階建店舗兼居宅

一、二階とも各22.89平方米を建築する。

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