大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)22号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕一、本件申立の要旨は

(1) ……

(2) 本件土地附近は、前記借地契約後の昭和二六年三月一九日防火地域に指定され、昭和三〇年頃から、次第にビルディングが建築されるようになり、その後商店街として急速に発展し、現在は、池袋駅東口前の繁華街として、銀行、百貨店、その他の店舗の堅固高層の建物が立ち並んでおり、現在、借地権を設定する場合は、堅固な建物所有を目的とする状況になつている。

(3) ……というのである。

三、……本件資料によれば、前記一の(2)記載の事実が認められる外、本件土地は、商業地域、第九種容積地区に属していることが認められ、前記借地契約締結後の客観的事情の変更により、現在借地権を設定する場合には、堅固な建物の所有を目的とするのを相当とするのを相当とするに至つているものと解される。

四、そこで、申立を認容するについての附随処分の要否、内容について検討する。

申立人は、本件借地契約の目的を変更する裁判を受けて堅固な建物を築造することにより、本件土地を最有効に利用して、収益の増加を図ることができ、しかも、半永久的にその安定的利用が保障されることになり、また、本件土地の借地権を第三者に譲渡せんとする場合にも、現在の非堅固建物所有の借地権の価格よりも高額の対価を得ることができる。一方、相手方らは存続期間の満了又は借地上建物の朽廃を原因とする借地契約終了によつて本件土地の返還を受け、これを自ら使用し又は相当の対価を得て新たに第三者に賃貸することによつて得べかりし利益を殆んど失い、申立人が本件借地権を第三者に譲渡せんとする場合に、借地法第九条ノ二第三項により借地権を譲受けるときは、堅固建物所有の借地権としての対価を支払うことになり、さらに、相手方本件土地の所有権を第三者に譲渡せんとする場合の価格(底地価格)は、現在より低下することになる。前記のとおり、本件は事実上、現物出資の趣旨で賃貸されたものであるが、現在では賃貸人も交替し、当初の契約当事者間の特殊の関係は相当薄れているものと認められるので、前記認定の諸事情を考え、本件申立を認容するに当つては、申立人から相手方らに対し、一般の借地契約の場合と同様、相当権の財産上の給付をさせる必要があるとともに、賃料の増額について考慮する必要がある。

(1) そこで、まず、財産上の給付について考える。前記附随処分を必要とする事情のうち、財産上の給付によつて調整すべき当事者双方の主要な利害は、申立人に帰属する借地権価格の上昇とそれに対応して生ずる相手方らの有する底地価格の低下であり、それは、借地契約の目的変更の合意に代わる本件の裁判により、相手方らから申立人に、借地権価格の上昇分(したがつて底地価格の低下分)が移転するものと考えて差支えない。そして、右の価格の上昇分は、その社会経済的事情及び契約当事者間の特有の事情によつて左右されるものではあるが、現在、東京都内において或る程度慣行的な基準となりつつある非堅固建物所有の借地権価格と堅固建物所有の借地権価格との差を一応の基礎としてこれを定め、前記認定の本件借地契約成立の特殊の事情、その後の当事者間の関係及び後記のとおり存続期間を延長すること等を考慮し、本件土地の更地価格の八パーセントに当る金額を財産上の給付額とするのを相当と認める。そこで、更地価格については、3.3平方米当り金一八〇万円とする鑑定委員会の意見を採用し、財産上の給付額は金一、五八〇万円とする。

(2) 次に、賃料について検討する。本件資料によれば、本件借地契約の賃料は、昭和三六年四月から一箇月金四万三、八〇〇円に増額され、申立人は同年八月分まで支払つたが、その後は、相手方らがその受領を拒絶したので、これを自ら相当な賃料に増額したうえで現在まで供託しており、その額は、相手方らが他に賃貸中の土地の賃料の推移にほぼ相当しており、現在は一箇月金六万六、二四五円である。そして、本件借地契約の目的変更によつて、当事者間に継続的に生ずる利害は、主として、申立人の本件土地の最有効の利用による収益の増加として現われるところ、今後、本件土地の所有権が殆んど賃料徴収権としての側面しか有しなくなることを考えると、その利害の調整として、前記収益の一部を相手方らに還元する意味で賃料を増額すべきである。その額については、鑑定委員会の意見を採用し、一箇月金八万円(一、〇〇〇円未満切捨)とする。

(3) さらに、借地契約の存続期間については、借地法第二条等の趣旨に従い現在の存続期間を三〇年延長して、昭和八五年七月九日までとする。(福嶋登)

別紙

目録

(一) 土地

東京都豊島区東池袋一丁目三番一

宅地 944.99平方米(285.86坪)の内361.95平方米(109.494坪)実測面積363.33平方米(109.91坪)

(二) 借地契約

(1) 種類及び目的 (一)の土地に対する堅固でない建物の所有を目的とする賃借権

(2) 成立の日 昭和二五年七月一〇日

(3) 存続期間 定めなし

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