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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)10286号 判決 1970年7月25日

理由

一、大洋鋼管が被告に対して金三八七万二、二八五円の売買代金債権を有していたことについては当事者間に争いがない。

二、そして、《証拠》によれば、大洋鋼管は昭和四四年八月一日から被告に対する右債権を原告に譲渡した旨を被告に通知したことが認められるから(右認定に反する証拠はない)、大洋鋼管はそのころ右債権を原告に譲渡したものと推認することができる。

三、被告は、大洋鋼管の被告に対する右債権が播磨鋼管株式会社によつて仮差押され、その決定正本が昭和四四年八月九日被告に送達されたと主張するけれども、大洋鋼管が同月一日付の確定日附ある証書をもつて、前記債権譲渡の通知をなしたことは当事者間に争いがなくこれが同月一三日に被告に到達したことは被告において自認するところである。

ところで債権の二重譲渡若しくはこれと同視すべき場合の権利の優劣の決定は、確定日附ある証書を以つてする通知、承諾の先後によるのであるが、これは通知、承諾の対抗要件でなく、債権譲渡それ自体の対抗要件を定めたものであるから、通知の到達または承諾の日の先後によるのでなく、それがなされた書面(右通知または承諾は確定日附が要求されていることから当然書面によつてなされなければならない)の確定日附の先後によると解するのが相当である。従つて、債権譲渡の通知の到達が仮差押決定およびその正本の送達より後であつてもこれに先立つ確定日附ある証書による通知を経た原告に対する右債権譲渡は、被告主張の仮差押に優先するものといわなければならない。

四、そうだとすると被告は原告に対して金三八七万二、二八五円およびこれに対する本件訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和四四年一〇月九日から支払い済みに至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払い義務がある。

五、よつて、原告の本訴請求を認容

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