東京地方裁判所 昭和44年(ワ)2060号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判決理由】四、抗弁
被告らは、本件事故の共同不法行為者である訴外入江の損害賠償債務につき消滅時効が完成しているので、同訴外人の負担部分の限度で被告市川電機も債務を免れる旨主張する。しかし、共同不法行為に基づく数個の損害賠償債務は、不真正連帯債務であつて、この場合、民法四三九条の適用はなく共同不法行為者中一部の者の債務につき消滅時効が完成しても、他の者の債務に影響がないものと解するのが相当であるから、被告らの右主張は、具体的事実の存否について判断するまでもなく、それ自体失当であるといわなければならない。
なお、かりに不真正連帯債務についても同法条の適用があるものとした場合、請求に絶対的効力を認める同法四三四条もまた当然に適用されるべきものと解するのが相当であるがそうだとすると、本件の場合、被告市川電機に対する訴が事故発生後三年以内に提起されたことは記録上明らかであつて訴外入江の原告に対する損害賠償債務は、かりにあるとしても、右訴の提起により中断された時効がまだ完成していないことになるから、被告らがこれを援用する由もなく、被告らの右主張がそれ自体失当であることに異同はない。(倉田卓次 並木茂 小長光馨一)