東京地方裁判所 昭和44年(ワ)3656号 判決
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〔判決理由〕(事故の発生)
請求原因第一項(一)ないし(五)の事実は当事者間に争いがない。<証拠>によれば、原告は本件事故により、右下腿複雑骨折の傷害を受け、後遺症として、右脛骨骨幹部の変形治癒骨折(自賠法施行令別表等級一二級五号)、右足関節の機能障害(同一二級七号)、右下腿中央部の疼痛、右膝関節部の疼痛、右足関節部の疼痛(同一四級九号)、右下紅筋の萎縮があり、以上併合して一一級に該当することが認められる。<中略>
三、損害
(二) 休業損害 四八万七三〇四円
<証拠>によれば、原告は昭和四三年三月東京女子大学文学部史学科を卒業予定であり、山口県立高等学校教員採用試験に合格し教員採用候補者名簿に登録されていたところ、本件事故のため昭和四三年度中の就職が不可能となり、昭和四三年四月から昭和四四年三月までの一ヶ年間に四八万七三〇四円の給与・賞与相当額の得べかりし利益を喪失したことが認められる。
(三) 逸失利益 七九万八一五二円
原告は、前記職業に鑑みれば、少くとも昭和四四年から満五〇歳までの二六年間は労働が可能であることが認められる。ところで、原告の後遺症は前記のように自賠法施行令別表等級の一一級に該当し、労働基準監督局長通牒(昭和三二年七月二日基発第五五一号)は右等級の労働能力喪失率を二〇パーセントとしているのであるが、右通牒の定める基準を全ゆる職種に一率に適用することは妥当ではなく、本件原告の如き頭脳労働者においては右通牒は参考資料の一つとして考慮するに止め、原告の労働能力喪失率は一〇パーセントを以て相当と認める。原告の年収は、前記の如く四八万七三〇四円であるから、二六年間の一〇パーセントの得べかりし利益の喪失額について年毎に年五分の利息をホフマン式計算法によつて控除して現在値を算出すると、七九万八一五二円となる。(篠田省二)