東京地方裁判所 昭和44年(ワ)7731号 判決
原告
赤塚春吉
ほか一名
被告
岩村忠義
ほか一名
主文
被告らは、各自、原告赤塚春吉に対し金一七九万四四六四円、原告赤塚ハツ子に対し金一〇四万四四六四円およびこれに対する昭和四四年八月二四日以降支払い済みに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。
原告らのその余の請求を棄却する。
訴訟費用は、これを二分し、その一を原告らの、その一を被告らの、各負担とする。
この判決は、主文第一項に限り、仮りに執行することができる。
事実
第一請求の趣旨
(一) 被告らは各自、原告赤塚春吉に対し金三三五万八九五五円、原告赤塚ハツ子に対し金二八九万五〇〇〇円およびこれらに対する昭和四四年八月二四日以降支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。
(二) 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決および仮執行の宣言を求める。
第二被告らの請求の趣旨に対する答弁
(一) 原告らの請求を棄却する。
(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。
との判決を求める。
第三請求の原因
一 (事故の発生)
訴外赤塚広一は、次の交通事故によつて、頭頂骨陥没骨折、頭蓋底骨折により即死した。
(一) 発生時 昭和四三年一一月一四日午前六時二八分頃
(二) 発生地 宮城県柴田郡柴田大字槻木字下町七八番地の一先路上
(三) 事故甲車 営業用普通貨物自動車(練一え一九八〇号)
運転者 訴外亡黒川道義
(四) 事故乙車 営業用大型貨物自動車(名古屋一う六〇七号)
運転者 訴外古井重利
(五) 被害者 訴外亡赤塚広一(甲車に同乗中)
(六) 態様 甲、乙車が正面衝突した。
二 (責任原因)
被告岩村は甲車を所有し、自己のために運行の用に供していたものであり、被告ブラザー陸運も乙車を所有し、自己のため運行の用に供していたものであるから、いずれも自賠法三条により、本件事故により生じた原告らの損害を賠償する責任がある。
三 (損害)
(一) 葬儀費等
原告赤塚春吉は、訴外広一の事故死に伴い、次のとおりの出捐を余儀された。
1 葬儀費用関係 金四六万三九四五円
(1) 葬儀費用 金二一万四九四五円
(2) 仏壇 金一〇万円
(3) 石碑および納骨代 金一四万円
なお、同人は仏壇購入費として金二〇万円、石碑ならびに納骨代として金二八万円を支出しているが被告らにおいて負担すべき損害額としてはその半分を求める。
2 追善供養費 金七九一〇円
3 文書料 金一一〇〇円
(二) 被害者に生じた損害
(1) 訴外広一が死亡によつて喪失した得べかりし利益は、次のとおり金七四九万円と算定される。
(死亡時) 一八歳
(推定余命) 五〇・二七年(平均余命表による)
(稼働可能年数) 四二年
(収益) 年収金四八万〇三八四円(労働大臣官房労働統計調査部編集の昭和四二年版建設・輸送関係業の小型貨物自動車運転手の平均)
(控除すべき生活費) 三〇%(昭和四一年度東京都生計調査年報による東京都における標準一人当りの生計費の勤務労収入中に占める割合は一九・五%であるが、これを大目に見る。)
(毎年の純利益) 金三三万六〇〇〇円
(年五分の中間利息控除) ホフマン複式(年別)計算による。
(2) 原告らは右訴外人の父および母であつて、相続人の全部である。よつて、原告らは、いずれも親として、それぞれ相続分に応じ右訴外人の賠償請求権を相続した。その額は、それぞれ金三七四万五〇〇〇円である。
(三) 原告らの慰藉料
訴外広一は原告らの長男であり、親思いの気だての良い子であり、原告らはかねてよりその成長を心の支えとしていたのである。ところが将来が楽しみになつた矢先、不慮の事故により同人を失つた原告らの悲しみは計りしれず、その精神的損害を慰藉するためには、それぞれに対し金一八〇万円が相当である。
(四) 損害の填補
原告らは自賠責保険から損害の内金として既に金五三〇万円の支払いを受け、その半分ずつをそれぞれの損害に充当した。
四 (結論)
よつて、被告らに対し、原告赤塚春吉は金三三五万八九五五円、原告赤塚ハツ子は金二八九万五〇〇〇円およびこれらに対する訴状送達の日の翌日以後の日である昭和四四年八月二四日以後支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
第四被告岩村忠義の事実主張
一 (請求原因に対する認否)
請求原因第一、二項の事実は認めるが、第三項の事実は不知。但し、相続の事実は認める。
二 (過失相殺の主張)
甲車は当時訴外日通川崎営業所の依頼により川崎から仙台へ貨物の運搬をした帰路にあつたが、被告岩村自身は右日通の依頼を断つていたのに、同被告の不在中、訴外亡広一が勝手にこれに応じ、当日非番で宿舎で休んでいた訴外亡黒川に介添を依頼し同乗させて出発したもので、事故当時の車両の運行は、右広一の全責任、監督、管理の下において行なわれるべき性格のものであつた。したがつて、亡広一は本件甲車を安全に管理運送すべき業務上の義務を負うことが明白であり、現実に運転に従事していない場合でも、運転手が安全に運転するよう補佐し、不完全な運転を防止すべき義務があり、右広一がこれを怠つたため、本件事故が発生したものであり、同人の義務違反は損害算定のうえで斟酌されるべきである。
第五被告ブラザー陸運の事実主張
一 (請求原因に対する認否)
請求原因第一、二項の事実は認めるが、第三項の事実は不知。但し、(四)の事実は認める。
二 (事故態様に関する主張)
(一) 本件事故現場付近の道路(国道四号線)は幅員八・三米であり、乙車の進行方向から見て、右に大きくカーブしていて、衝突地点は同カーブの直前である。乙車の車幅は二・五米である。
(二) 乙車の運転手訴外古井重利は乙車を運転し、衝突地点の約一〇米手前を時速約四〇粁の速度で差しかかつた時、カーブの陰から猛烈な速度で、センターラインを越えて対向してくる甲車を約四一米先に発見し、突嗟に危険を感じ、ブレーキを踏むとともに左端一杯にハンドルを切つたが甲車が乙車の進行道路の約半分もセンターラインを越えてきたため衝突してしまつた。
(三) 当時、付近には甲、乙両車しか走行しておらず、甲車の進路上には通行を妨げるような障害物は一切存在せず、しかも同所付近は追越等禁止区域であり、甲車が右側部分を走行する必要性は全くなかつた。
(四) 乙車は避譲不可能な状態であつた。
三 (抗弁)
(一) 免責
右のとおり、本件事故発生はひとえに甲車の運転手訴外黒川道義の過失によるもので、乙車の運転手訴外古井重利には運転上の過失はなく、また被告ブラザー陸運には運行供用者としての過失はなかつたし、乙車には構造の缺陥も機能の障害もなかつたから、被告ブラザー陸運は自賠法三条但書により免責される。
(二) 過失相殺
仮りに然らずとするも、事故発生については、右のとおり訴外黒川ないし訴外赤塚広一の過失も寄与しているのであるから、賠償額算定につき、これを斟酌すべきである。すなわち、被告岩村が主張しているように(第四、二)、甲車の当時の運行主体は訴外亡赤塚広一であつたから、訴外黒川の過失は訴外広一の過失となるというべきであるし、またそうでないとしても訴外広一は運転免許証を有する職業運転手で、当時助手席にいたのであるから訴外黒川のかかる暴走を抑止すべき義勝があるのに、これを怠つた過失がある。
第六原告らの抗弁に対する認否
被告らの抗弁事実は否認する。
とくに被告ブラザー陸運は訴外古井に過失がなかつた旨主張しているが、乙車は当時制限速度を一〇粁越えた時速五〇粁の速度で走行し、しかも前方不注視のため、甲車をもつと早く発見し得るのに発見が遅れ、しかも左に避譲すれば本件衝突を避けられたのに左に避譲しなかつたし、警笛を鳴らす等の措置も怠つており、訴外古井にも過失があつたことは明らかである。
第七証拠関係 〔略〕
理由
一 (事故の発生および責任の帰属)
請求原因第一項の事実は当事者間に争いがないが、事故態様については争いがあるので、まずこの点から検討するに、〔証拠略〕によれば、次の事実が認められる。
(一) 本件道路は、白石と岩沼とを結ぶ国道四号線であり、衝突現場付近では、歩車道の区別のない平坦なアスフアルト舗装の、幅員八・三米の、センターラインの設けられている道路である。そして、同所付近は市街地で、道路両側には商店、人家が立ち並んでおり、制限速度四〇粁、駐車、追越禁止の規制がなされていた。
ところで、本件両車の衝突地点の少し岩沼よりの部分は白石方面から見て右に三〇度前後のカーブになつており、そのカーブの状況は別紙現場見取図1のとおりであつた。このカーブのためお互いの見通し状況は良くなく、その視距は同図のとおりである(No.1から見えなくなる地点がNo.1であり以下同じである。)。
なお、当時は早朝のため交通量は少なかつた。
(二) 甲車は幅一・八八五米、長さ五・七七米の二屯積貨物自動車であり、乙車は幅二・五米、長さ一〇米の七・五屯積貨物自動車である。当時甲車は空車の状態であつたが、乙車は電気洗濯機、テレビ等三屯位が積載されていた。
(三) 甲車は本件衝突の衝撃により車体右側全体が大破し、運転席の屋根および荷台右側ドアはもぎとられてとび散り、別紙現場見取図Ⅱの<ウ>地点に停止していた。一方、乙車は本件衝突の衝撃により右前部が大破したほか、右前輪外側荷台右下角も破損し、右後輪外側車輪はもぎとられ、<3>の地点に路外の板塀を破つて停止していた。
そして、甲車のスリツプ痕は現場には見当らなかつたが乙車のそれは衝突地点(同図の×点)の先に同図のように右側六米、左側五・六米にわたつて残されていた。
(四) 乙車の運転手訴外古井重利は、本件現場に至るまで、時速五〇粁前後の速度で、正常に左側部分を、白石方面から岩沼方面に向けて進行していたが、別紙現場見取図Ⅱの<1>の地点に至つた時、センターラインを超えて進行してくる甲車を発見し、制動の措置をとつたが間に合わず、甲車の右前部と乙車の右前部とが衝突し、次いで甲車の右側部と乙車の右側部とが擦れ合つた。
(五) 甲車の運転手訴外黒川道義(二五才)は本件事故により即死した。
(六) 甲車は、岩沼方面から白石方面に向け、道路の中央付近を、乙車と同程度ないしそれ以上の速度で走行し、本件衝突地点の手前のカーブではセンターラインを超えて走行しそのため甲車の右前部と乙車の右前部が衝突するに至つた。以上の事実が認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。
これによると、甲車の運転手訴外黒川および助手席にいた訴外赤塚広一が死亡しているため不明な要素が大きいが、甲車の運転手訴外黒川は、交通閑散なのに気を許し、制限速度を超えて走行していたため、本件カーブでは曲り切れず、センターラインを越えて走行したこと、そのため乙車と衝突するに至つたことが推認される。したがつて、本件事故発生については、センターラインを越えて走行させた訴外黒川の過失に大半以上の責任があることが明らかである。
しかし、乙車の運転手訴外古井に過失がなかつたとも認めることはできない。すなわち、訴外古井は制限速度を一〇粁程越えて乙車を走行させ、しかも、前方に対する見通しは、六二米以上あつたのに、甲車を発見したのは四二米の距離となつてからというのであつて、甲車の発見が遅れており、してみると、訴外古井に過失がなかつたというためには、右のような速度違反、発見遅れが本件事故と因果関係のないこと換言すれば、速度違反や発見遅れがなくても衝突の回避ができなかつたと認められねばならないところ、前認定のような衝突の部位・態様、両車の停止状態に鑑みると、両車の発見時の距離がもう少しあり、また両車の速度がもう少し遅ければ、両車の衝突が回避できた蓋然性が窺われる。もちろん、甲車が突然センターラインを越えて走行してきた場合であれば、乙車の方としては制限速度を守つて走行していても衝突回避はできないが、本件では、その衝突部位、停止位置および道路状況からして、甲車はもう少し距離があれば、自己の進路上に戻り得たであろうことが推測され、したがつて、乙車の速度がもう少し遅ければ、――制限速度を守つて走行しもつと早めに発見して制動の措置等の回避措置をとつていれば――衝突が回避された蓋然性は十分窮われるのである。
そうすると、被告らが甲、乙車の各運行供用者であることは、いずれも当事者間に争いがなく、被告ブラザー陸運の免責の主張も、その余の主張について判断するまでもなく理由がないから、被告らは自賠法三条により、本件事故により原告らが蒙つた損害を賠償しなければならない。
(なお、ちなみに、両車の運転手の過失を対比し、その事故発生に対する寄与度を判断すると、甲車側が九、乙車側が一と認定するのが相当である。)
二 (過失相殺の主張について)
(一) 被告らは、当時訴外赤塚広一が甲車の運行主体者であつたから、訴外黒川の過失についても訴外赤塚広一が責任を負わねばならない旨主張するが、訴外赤塚広一が当時甲車の運行主体者たる地位にあつたことを認めることのできる証拠はないので、この点の被告らの主張は理由がない。
(二) 被告らは、また、訴外赤塚広一が運転助手としての義務を怠つていた旨主張している。たしかに、運転助手、とくに後記認定のとおり訴外赤塚広一のように運転免許証をもつている運転助手にあつては、運転手と共に前方を注視し、運転手に対し道路法規を遵守し、かつ適正な運転操作をするように助言できる立場にあり、かつそうすることが予定されている場合のあり得ることは容易に推測され、そのような場合には運転助手固有の過失を問題とする余地のあることは多言を要しないところである。しかし、本件では、訴外赤塚広一が、どのような経緯で甲車に乗り組み、またどのような役割が期待されていたのか、当時の運行状況がどうであつたか等の諸事情を認めることのできる証拠はないため、訴外赤塚広一がそのような地位にあつたとは措に認め難く、とくに、長距離を走行する場合にあつては、車中で交互に仮眠をとりながら、他方が運転を継続する走行形態のあることは当裁判所に顕著であつて、そのような形態でなかつたことを認めることのできない本件では、訴外赤塚広一の過失を問題とするのは相当でなく、したがつてこの点の被告らの主張も理由がない。
三 (損害)
(一) (葬儀関係費)
〔証拠略〕によれば、原告赤塚春吉は、訴外亡赤塚広一の父に当るものであるが、右訴外人の事故死に伴ない、その葬儀を原告らの肩書地(当時は東京都世田谷区若林町四丁目二〇番一五号)および本籍地の栃木県塩谷郡塩谷町の二ケ所で喪主としてとり行ない、その諸費用として金二二万三八五五円を支出したほか、仏壇購入費として金二〇万円、墓碑購入費および納骨代として金二八万円、死亡診断書料として金一一〇〇円を支出したことが認められ、右認定に反する証拠はないところ、右のうち本件事故と相当因果関係のあるのは、金二五万円であつて、これを超えるものまで被告らに負担させるのは相当でない。
(二) (被害者に生じた損害)
1 逸失利益
〔証拠略〕によれば、訴外亡赤塚広一は死亡時満一八才の男子であつて、通常人とかわらぬ健康を保持していたこと、同人は塩谷中学校卒業後、板前見習、トラツク運転助手等の職に就いた後、自ら運転免許を取得し、被告岩村のところに運転手として住込みで勤め、同被告より平均して月当り金二万六〇〇〇円の給与の支払いを受けていたこと、右訴外人には一人の姉と一人の弟があつたが、同人の父、原告赤塚春吉(当時四九才)が一二指腸かいようやヘルニヤに罹患する等病気がちだつたため、父、母(当時四七才)および未就労の弟の生計維持のため、その給与収入のうちから約一万五〇〇〇円を家族に渡していたことが認められ、これに反する証拠はない。
これによると、右訴外人は本件事故死なくば本件事故後四二年間稼し得たことが推認される。
ところで、訴外赤塚広一の逸失利益算定にあたつては、その取得している給与が基礎となることは勿論であるが、日本の企業の多くにあつては、いわゆる終身雇傭制度が採用されており、そのためもあつて、若年労働者の賃金はその労働力に比して著しく低く、その後の年令、勤務年数に応じ年々昇給をしていくのが例であり、そのような傾向は確たる昇給規程を設けている大企業のみならず、小企業にあつても行なわれていることは公知の事実であるから、右訴外人の逸失利益算定にあたつては、若年時の給与のみを基礎とすることなく、その昇給を加味して算定するのが相当である。そのような場合賃金規程等により昇給方式が明確に定められている企業の場合には、それに従つて算定すればよいが明確な定めのない企業にあつても、他企業、同種産業における実例、その職種、年令等を参酌し、控え目に昇給を考慮することができるはずである。右訴外人の勤務していた被告岩村に、右のような昇給基準のあることを認めることのできる証拠がないから、本件では他との対比によりこれを判断しなければならないところ、〔証拠略〕によれば、昭和四二年の企業規模(一〇―九九人)に勤務する小型貨物自動車運転手の平均一日当りの賃金は金一六一八円、したがつて年間賃金は金四八万五四〇〇円であることが認められるから、これに鑑みると、訴外亡赤塚広一も、本件車故死なくば、満三三才に至るまでの一五年間、毎年金一万二〇〇〇円ずつの昇給をしていたものと推認するのが相当である。
そうすると、右訴外赤塚広一は本件事故死なくば、年間、当初の年は金三一万二〇〇〇円と昇給分金一万二〇〇〇円の合計額、その後一四年間はそれに金一万二〇〇〇円ずつの昇給分を加算した額を、その後の二七年間は金四九万二〇〇〇円を、少なくとも収受し得たはずであり、そして、前記認定のような家族状況によると、右訴外人は、親の平均余命であるところの、少なくとも二五年間(当時の父の平均余命は二三・八四年、母のそれは二九・五一年であることは当裁判所に顕著である。)、その収入の四〇%を、その後の一七年間はその収入の五〇%を、それぞれ租税および自己の生活費として出資、負担することが推認される。
そこで訴外赤塚広一の逸失利益の事故時における現価をライプニツツ式により算出すると、別表逸失利益表計算書のとおり、金四三八万八九二八円となる。
2 相続
原告ら主張の相続事実は、被告岩村との間では当事者間に争いがなく、被告プラザー陸運との間では〔証拠略〕によりこれが認められ、右認定に反する証拠はない。
これによると、原告らは、前記訴外人の相続人として同人の損害賠償請求権を相続したことになるところ、その額はそれぞれ、金二一九万四四六四円となる。
(三) (原告ら慰藉料)
前記認定の事故の発生事情、訴外亡広一と原告らとの身分関係、同人らの生計状態等諸事情を考慮すると、原告らは右訴外人の不慮の死に遭遇し、多大の精神的苦痛を受けたことが認められ、そのような同人らの精神的損害を慰藉するには、それぞれ金一五〇万円をもつてあてるのが相当である。
(四) (損害の填補)
そうすると、本件事故と相当因果関係にある原告赤塚春吉の損害は金三九四万四四六四円、原告赤塚ハツ子の損害は金三六九万四四六四円となるところ、原告らが既に自賠責保険から、それぞれ金二六五万円の支給を受けていることは、同人らの自陳するところであるから、これを右各損害から控除した金額が、原告らにおいて被告らに連帯して支払いを求め得る金員である。
四 (結論)
してみると、被告らに対し、原告赤塚春吉は金一七九万四四六四円、原告赤塚ハツ子は金一〇四万四四六四円およびこれらに対する、一件記録上訴状送達の翌日以後の日であることの明らかな昭和四四年八月二四日以降支払い済みに至るまで民法所定の年五分の割合による金員の、連帯しての支払いを求め得るので、原告らの請求を右限度で認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言について同法一九六条を、各適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 田中康久)
別表 逸失利益計算書
<省略>
現場見取図Ⅰ
<省略>
現場見取図Ⅱ
<省略>