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東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1069号・昭44年(借チ)1019号 決定

〔主文〕1、申立人らが、本裁判確定の日から三月以内に、相手方多久和に対し一四万四、〇〇〇円、相手方平林に対し一四万四、〇〇〇円を支払うことを条件に、別紙目録(一)記載の土地上にある同目録(二)記載の建物を取り毀し、同地上に同目録(三)記載の建物を建築することを許可する。

2、申立人らと相手方多久和との間の本件賃貸借契約(転貸借契約)の賃料を前項の金員が支払われた月の翌月分から3.3平方米当り一ケ月四六円に改める。

〔理由〕(申立の要旨)

1、別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という。)は、相手方多久和が相手方平林から賃貸している土地の一部であり、申立外亡佐藤幸喜は、相手方多久和から、昭和二三年三月三一日本件土地を非堅固建物所有の目的で期間を定めずに転借し、同地上に別紙目録(二)記載の建物を所有した。

2、佐藤幸喜は昭和三七年七月一〇日死亡し、申立人らにおいて共同相続し、本件建物の所有権を取得するとともに本件土地転借人の地位を承継した。

3、申立人らは、本件建物を取り毀し、本件土地上に別紙目録(三)の建物を建築する計画であるが、転貸人である相手方多久和は、増改築制限の特約があるとして右改築を承諾せず、原賃貸人である平林は、改築そのものには反対しないが、財産上の給付の分配につき相手方多久和と折り合いがつかないので、賃貸人及び転貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。

(決定理由)

1、本件の資料によれば、申立の要旨として掲げた1ないし3の事実が認められる。相手方多久和は、本件建物が朽廃が間近いこと及び期間満了の際更新拒絶の意思があることを理由に本件改築を承諾できないというが、本件の資料によれば、本件建物はやゝ老朽化してはいるが、いまだ朽廃の域に達していないことが認められ、また、残存期間は昭和五三年三月三〇日までであり、なお九年弱を残し、現在更新拒絶の正当事由に立ち入つて判断するのは相当でなく、本件改築の申立を却けるべき理由もないので、本件申立はこれを許可すべきである。

2、附随の裁判

本件改築により、借地上建物の耐用年数が著しく延長されることになるので、申立人らに財産上の給付を命ずるのが相当である。その額は、本件改築が全面的改築であること及び本件建物が既に改築時期に達していることを考慮し、本件土地の価格(鑑定委員会の意見に従い3.3平方米二四万円)の四%にあたる二八万八、〇〇〇円を相当とす。右給付額の相手方らの按分について考えるに、差をつけるべき理由も見出せないので、二分の一宛とする。

増改築の申立をするに当り、借地期間を延長する裁判例もあるが、期間満了時の賃貸人の更新拒絶権に影響を及ぼすことは相当でないので、期間の点についての附随処分はしない。

本件転貸借契約の賃料については、現行賃料に改訂されて以来九年余すえおかれたままであり、鑑定委員会の意見によれば現行賃料は低額に過ぎることが認められ、申立人らも資料改定の意思を有しているので、本件改築を機会に改定するのを相当とし、鑑定委員会の意見に従い、3.3平方米当り一ケ月四六円に改めることとする。(原賃貸借契約の賃料は3.3平方米当り一ケ月五五円強であるが本件の資料によれば、相手方多久和はアパートを経営していることが認められるので、本件建物及び改築後の建物を居宅にのみ使用する申立人らと賃料の額に差があるのも止むを得ない。)(小山俊彦)

目録

(一) 転借地

東京都大田区大森七丁目一八九番地

宅地 816.52平方米(247坪)

の内 99.17平方米(30坪)

(二) 右地上に所在する

家屋番号一八九番二

木造スレート亜鉛メッキ鋼板葺平家建店舗(現況居宅)

床面積45.45平方米(13坪7合5勺)

(三) 木造二階建居宅

床面積一階57.83平方米

二階37.18平方米

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