大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1070号 決定

〔主文〕申立人が、本裁判確定の日から三月以内に、相手方千代に金一三万六、〇〇〇円、その余の相手方に各金九万〇、六六六円を支払うことを条件に、(1)申立人が別紙目録(三)2記載の土地上にある同目録(一)記載の建物を取り毀し、右土地上に同目録(二)記載の建物を建築することを許可し、(2)同目録(三)記載の本件借地契約の賃料を右金員支払の翌月分から一カ月3.3平方米当り七〇円に改める。

〔理由〕(申立の要旨)

1 申立人は、相手方らから、私道20.53平方米を含む別紙目録(三)2記載の土地合計234.77平方米(以下本件土地という。)を賃借中にして、右土地上に同目録(一)記載の建物(以下本件建物という。)を所有している。右土地賃貸借契約の現在の内容は、同目録(三)記載のとおりである。

2 申立人は、本件建物を取り毀し、本件土地上に別紙目録(二)記載の建物を建築したいが、右改築につき相手方らの承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。

(決定理由)

1 本件の資料によれば、申立の要旨として掲げた前記1の事実のほか、申立人は、亡西形定吉から本件土地を賃借したのであるが、同人が昭和四二年三月八日死亡し、相手方千代(妻)、その余の相手方(いずれも実子)において共同相続して賃貸人人の地位を承継したものであること、本件借地契約には、借地上の建物を増改築するには賃貸人の承諾を要する旨の特約が附されていること、本件改築は土地の通常の利用上相当のものであることが認められるので、本申立は、これを許可すべきである。

2 附随処分

本件改築の裁判により本件借地権の存続は強化されることになるので、当事者間の利益の衡平を図るため、申立人に財産上の給付を命ずるのが相当である。

鑑定委員会は、借地期間を一七年延長することを前提とし、期間延長に対する更新料七五万四、〇〇〇円と増改築承認料八万九、〇〇〇円(借地権価格の一%)との合計八四万三、〇〇〇円をもつて給付額としているが、借地期間を附随処分として延長することは、現在の残存期間満了時における賃貸人の更新拒絶権を奪うことになるので相当でなく、(なお、増改築許可の裁判は、増改築の制限に関する特約の一時的排除と見るべきであり、従つて、増改築許可の裁判は、右特約のない場合と同様、借地法七条の異議権に消長を来すべきでないと解する。)、また、賃貸人が借地人に対し更新料を請求しうる法律上の根拠はないのであるから、更新料を基礎に給付額を算定することには賛し難い(更新料の授受は当事者の自治に委せればよいことである。)本件の資料によれば本件建物は相当老朽化していることが認められ、このことに残存期間が昭和四七年一二月二〇日までであることを併せ考えるとき、従来の裁判例に徴し、給付額は更地価格の三%を相当とする。本件土地には私道20.53平方米が含まれているが、実況見分の結果によれば、右私道は、本件土地から西方の公道に出るために設けられているものであり、かかる私道の価格は、従来の鑑定委員会の意見によれば更地価格の半額とされておるので、本件土地の更地価格は、鑑定委員会の意見に従い3.3平方米当り二〇万円として計算して一、三六〇万六、三六三円とし、財産上の給付はその三%に当る四〇万八、〇〇〇円(千円未満四捨五入)を相当とする。よつて、相手方各人に対する給付額は、その相続分に応じ、相手方千代に対しては金一三万六、〇〇〇円、その余の相手方に対しては各金九万〇、六六六円となる。

なお、鑑定委員会の意見に従い、本申立許可の裁判に伴い賃料を3.3平方米当り一カ月七〇円に改めることとする。

(小山俊彦)

目録

(一) 東京都目黒区柿の木坂二丁目三一九番地

家屋番号 五九二番四

木造瓦葺平家建居宅

床面積 66.94平方米(二〇坪二合五勺)

(二) 木造塔屋付二階建居宅

床面積 一階 72.60平方米

二階 76.84平方米

塔屋  7.14平方米

(三) 土地賃貸借契約

1 当事者

賃貸人 相手方四名

賃借人 申立人

2 借地

東京都目黒区柿の木坂二丁目三一五番九

宅地 214.24平方米

同所同番一〇

宅地 20.53平方米

合計  234.77平方米

内 私道部分 20.53平方米

3 目的

非堅固建物所有

4 期間

昭和四七年一二月二〇日まで

5 賃料

昭和四一年四月一日以降一ヵ月二、二八六円

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