大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(借チ)15号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕一、本件申立の要旨は「申立人は相手方から昭和三四年一月一〇日東京都新宿区矢来町一一三番の三宅地147.86平方米のうち101.16平方米(30.3坪)を期間昭和六四年一月一〇日まで堅固建物所有の目的で賃借し、現在まで更地にしておいたが今般右地上に堅固建物を建築しようとしたところ、相手方は右計画を知り、『右借地契約は非堅固建物所有を目的としたものである。もし申立人において堅固建物の建築に着手した場合は、条件違反として契約を解除し、直ちに土地明渡を求める。』と申入れてきた。申立人は着工後、建築続行禁止仮処分などを受けては甚大な損害を蒙る虞があるので本件申立に及んだ。」というのである。

二、建物の構造に関する借地条件の変更は非堅固建物の所有を目的とする借地契約が存在することを前提要件とするので、この点について検討すると本件において取調べた資料によれば右借地契約はもともと堅固建物の所有を目的とするものであることが認められる。すなわち右借地契約について作成された土地賃貸借契約証書(成立につき争いがない)は通常の印刷用紙を用いたもので、そのうち「一、賃借地内に築造する建物の種類及構造は借地法の規定堅固なる建物以外の建物とす」との一行は抹消されており、相手方はこの点をとらえて、建物の種類、構造につき定めなきときに帰するから借地法の規定により非堅固建物所有目的と見做されるべきであると主張するのであるが、証人広瀬泰久の証言によれば、この点は契約成立の際堅固建物所有を目的とする合意が当事者間に成立したため既に印刷してあつた右条項をわざわざ抹消したものであること、またこれを前提として右契約成立の際申立人は権利金として坪あたり五万円(当時の更地価格は七万円を下廻るものと申立人は考えていた)を支払い期間を堅固建物所有目的の場合の最短の約定期間である三〇年と定めたものであることが認められる、したがつて申立人が右借地上に堅固建物を築造するにつき相手方から契約違反を主張されるいわれはないものである。

三、以上のとおり右借地契約はもともと堅固建物所有を目的とするものであるからこれを変更する余地はなく、本件申立は前提要件を欠き不適法として却下すべきである。(白石悦穂)

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