大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和44年(借チ)2033号・昭44年(借チ)2049号 決定

〔主文〕1 申立人が相手方に対し別紙目録(一)記載の建物及び同目録(二)記載の土地賃借権を代金六三三万円で売り渡すことを命ずる。

2 申立人は、相手方に対し、前項の建物につき所有権移転登記手続をせよ。

3 相手方は、申立人に対し、右建物につき存する所有権移転請求権仮登記の抹消と引換に、第一項の代金の支払をせよ。

〔理由〕(甲事件申立の要旨)

1 田中吉備彦及び飯守重任は、鈴木延太郎から、昭和二年一一月五日別紙目録(二)記載の宅地二二坪七合三勺(以下本件土地という。)を非堅固建物所有の目的、期間三〇年の約で賃借し、右契約は、昭和三二年一一月四日法定更新された。

2 賃貸人鈴木延太郎は、昭和一一年一〇月七日隠居し、養子弥吉が家督相続により賃貸人の地位を承継し、同人は、昭和四一年五月九日死亡し、相手方が相続により賃貸人の地位を承継した。

3 借地権は、賃貸人の承諾を得て、当初の賃借人両名から堀田弘に、同人から申立人に譲渡され、申立人は、本件土地上に別紙目録(一)記載の建物(以下本件建物という。)を所有している。

4 申立人は、本件建物及び本件土地賃借権を東京都千代田区神田旭町八番地森元亥三男に譲渡したいが、借地権譲渡につき相手方の承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。

(決定理由)

1 本件の資料によれば、甲事件の申立の要旨として掲げた1ないし3の事実が認められるので、甲事件の申立は適法である。

2 よつて、乙事件について考える。本件の資料によれば、申立人は、本件建物を森元亥三男に賃貸し、森元亥三男は、申立人の承諾を得て本件建物を株式会社第一洋紙店に転貸していることが認められるので、相手方の本件建物及び本件借地権の買受代金は、本件借地権の価格と本件建物の価格の合計額から本件建物の借家権価格及び本件借地権の譲渡に伴う名義書替料相当分を差引いたものを相当とする。鑑定委員会の意見によれば、本件土地の更地価格坪六五万円、借地権割合八〇%、本件建物の価格七〇万〇、六〇〇円、借家権価格借地権価格と建物価格の四〇%、名義書替料借地権価格の一〇%と評定しているので、右に従い、相手方の買受代金を六三三万円(一万円未満四捨五入)とする。本件の資料によると、本件建物には、森元亥三男のため、昭和三九年九月一九日受付第二一〇五七号をもつて同年七月一日売買予約を原因とする所有権移転請求権仮登記が為されていることが認められるので、相手方としては、右仮登記が抹消されるまで代金の支払を拒みうるので主文のとおり決定する。(小山俊彦)

目録

(一) 借地上の建物

東京都千代田区内神田一丁目二六番地四

家屋番号 同町二六番三

木造板葺二階建店舗 一棟

床面積 一階44.95平方米(13坪6合)

二階44.95平方米(13坪6合)

(二) 土地賃貸借契約

1 当事者

賃貸人 相手方

賃借人 申立人

2 借地

東京都千代田区内神田一丁目二六番四

宅地75.14平方米(22坪7合3勺)

3 契約の目的

非堅固建物所有

4 期間

昭和五二年一一月四日まで

5 賃料

昭和四四年四月一日以降一ケ月坪当り四二〇円

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!