東京地方裁判所 昭和44年(借チ)2148号・昭45年(借チ)2002号 決定
〔主文〕1 右鈴木正三から町田合名会社に対し別紙目録(一)記載の借地権および同(二)記載の建物を代金四〇、二九四、〇〇〇円で売り渡すことを命ずる。
2 右鈴木正三は、町田合名会社に対し別紙目録(二)記載の建物を明渡し、かつ、同建物につき所有権移転登記手続をせよ。
3 右町田合名会社は、前項の建物の明渡を受け、かつ、右建物の登記簿上存する所有権移転請求権保全仮登記および根抵当権設定登記がすべて抹消された場合、これと引換えに、鈴木正三に前記第一項の代金の支払をせよ。
〔理由〕一 右鈴木正三(以下「相手方」という。)から別紙目録(一)記載記の土地(以下「本件土地」という。)に関する同目録記載の借地権の譲渡許可の申立が適法になされたところ、右相手方である賃貸人町田合名会社(以下「申立人」という。)から同土地上に存する同目録(二)記載の建物(以下「本件建物」という。)および右借地権譲受の申立が適法になされたので借地法九条の二第三項により右建物および借地権の対価を定めて譲渡を命ずる。
二 譲渡の対価について検討する。
1 借地権の対価
鑑定委員会の意見は、「本件土地の更地価格を3.3平方米当り金七〇〇、〇〇〇円、建付減価を五%とし建付価格を金六六五、〇〇〇円、借地権価格を右の八〇%に当る金五三二、〇〇〇円、総額金四二、六七一、七二〇円とし、賃貸人が買受ける場合はその九%(名義書換料相当)を減額した、金三八、八三一、〇〇〇円を相当とする。」というにある。
当裁判所は、本件土地の建付地価格については鑑定委員会の意見のとおり3.3平方米当り金六六五、〇〇〇円とするのを相当と認めるが、その借地権割合を八〇%とする点は、野々垣剛作成の不動産鑑定評価書および津山栄次郎との売買契約書にてらし、やや高率にすぎるので、その割合を七五%と認める。しかして、地主が借地権を買受ける場合は、公平上借地権価格の値上り分の一部(第三者に譲渡する際のいわゆる名義書換料に相当する部分)を控除するのを相当とするが、本件資料によれば、相手方は、昭和二一年ごろから本件土地を賃借していたが、昭和四一年一〇月一三日いわゆる更新料として金三五〇万円を支払つて契約を更新したことを認めることができ、右事実によれば、本件借地権は自然発生的借地権であるから地主への還元割合である控除額を高率するが、支払われた更新料は二〇年間借地契約を継続することを予想したものであるから、約四年で終了する本件において、その残期間に対応する分は按分して、借主に帰せしめるのを相当とし、地主が買受ける際の控除額は一般の第三者への借地権譲渡価格に一五%を乗じたものから前記金三五〇万円の二〇分の一六を乗じた額によることとし、結局地主の買受ける借地権の対価は金三六、八〇四、〇〇〇円となる。(千以下切捨て)
665,000×80.21=53,339,650
53,339,650×0.75=40,004,737
2 建物の対価
鑑定委員会は、本件建物の総額を金三、四九〇、〇〇〇円と評価している。
当裁判所も鑑定委員会の算定方法、その評価額を相当と認める。
3 以上認定のとおり、相手方から申立人に対し、本件土地の借地権および本件建物を合計金四〇、二九四、〇〇〇円で売渡すことを命ずるが、本件建物にはいずれも昭和四三年五月二九日受付第一二七三八号による所有権移転請求権仮登記および同日受付(第一二七三七号)、同年九月二〇日受付(第二三三八五号)の各根抵当権設定登記が存するので相手方に対し、建物引渡義務および所有権移転登記義務の先給付を命ずべく、申立人が建物明渡義務の履行を受け、かつ、本件建物につき存する前記仮登記、根抵当権設定登記が抹消された場合、これと引換に申立人に対し代金の支払を命ずるのを相当とする。(筧康生)
目録
(一) 借地権
1 目的土地 東京都台東区元浅草二丁目二一番一
宅地 80.21坪(265.15平方米)
2 賃貸人 申立人
3 賃借人 相手方
4 目的 普通建物所有
5 期間 昭和四一年五月二五日から同六一年五月二四日まで
6 現賃料 一か月金二二、四〇〇円
(二) 建物
(一棟の建物の表示)
東京都台東区元浅草二丁目二一番地一
一 木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建
一階210.49平方米
二階151.95平方米
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 元浅草二丁目二一番一の一
一 木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建店舗、居宅
一階136.30平方米
二階 77.76平方米
家屋番号 元浅草二丁目二一番一の二
一 木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建倉庫、事務所
一階 74.19平方米
二階 74.19平方米