東京地方裁判所 昭和44年(借チ)23号・昭44年(借チ)2081号 決定
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〔主文〕 1、井上良治が、沢田喜美に対し、別紙目録(一)記載の建物及び同目録(二)記載の土地賃借権を代金五九三万円で売り渡すことを命ずる。
2、井上良治は、沢田喜美に対し、右代金の支払を受けるのと引換えに、右建物につき所有権移転登記手続をし、かつ、右建物を明け渡せ。
3、沢田喜美は、井上良治に対し、右所有権移転登記手続と引換えに、右代金の支払をせよ。
〔決定理由〕(甲事件申立の要旨)
1 井上良治は、沢田喜美から、別紙目録(二)記載の土地(以下本件土地という。)を賃借し、同地上に同目録(一)記載の建物(以下本件建物という。)を所有している。
2 井上良治は、本件建物と本件土地賃借権を東京都港区六本木一丁目四番二六号林善商事有限会社に譲渡したいが、土地賃借権の譲渡につき沢田喜美の承諾が得られないので、賃貸人の承諾に代わる許可の裁判及び契約の目的を堅固建物の所有に変更する裁判を求める。
(決定理由)
1 本件の資料によると、申立人は、本件土地につき、沢田喜美の亡夫沢田喜太郎に対し、昭和二二年一月一日罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基づく賃借権を取得し、昭和三二年一月一日更新され、沢田喜太郎は、昭和四〇年一二月一九日死亡し、相続人間の遺産分割協議により、本件土地は、沢田喜美の単独所有となり、賃貸人の地位を承諾したこと、右賃貸借契約の現在の内容は別紙目録(二)記載のとおりであること及び井上良治は本件土地上に本件建物を所有していることが認められるので、土地賃借権譲渡についての甲事件の申立は、適法であり、右申立と条件変更の申立が併合されている場合には、条件変更の申立は、賃貸人からの買受の申立がなされないことを条件とするものと解すべきであるので、本件のように買受の申立がなされたときは、条件変更の申立につき、裁判をする必要はなく、直ちに買受の申立について裁判することとなる。
2 よつて、乙事件について考える。借地人から土地賃借権譲渡許可の申立がなされ、賃貸人から建物及び土地賃借権譲受の申立がなされた場合における買受代金は、借地権価格から名義書替料相当分を差引いたものに建物の価格を加えたものとするのが衡平である。鑑定委員会の意見によると、本件土地の更地価格は一平方米九万六、八〇〇円、借地権割合は七割、名義書替料は借地権価格の一〇%を相当とするとのことであるので、右意見に従うこととして計算すると、本件土地の借地権価格は六五五万円(万円未満四捨五入)、名義書替料は六五万五〇〇〇円となるので、本件借地権の買受代金は五八九万五〇〇〇円となる。また、右意見によると、本件建物の価格は三万六、五〇〇円を相当とするとのことであるので、右意見に従うこととし、本件建物及び本件土地借地権の買受代金は五九三万円(万円以下四捨五入)となる。
よつて、井上良治に対し、本件建物及び本件土地賃借権を沢田喜美に代金五九三万円で売り渡すことを命じ、右代金の支払と本件建物の所有権移転登記手続及び本件建物の明渡とを同時履行の関係にするのを相当とし、主文のとおり決定する。(小山俊彦)
目録
(一) 建物
東京都港区六本木三丁目五〇番地
家屋番号 同町五〇番
木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建
床面積 23.14平方米(七坪)
付属
木造亜鉛メッキ鋼板葺地下室付平家建居宅
床面積 一階 七平方米
地階 5.6平方米
(二) 土地賃借権
1 当事者
賃貸人 沢田喜美
賃借人 井上良治
2 目的
非堅固建物所有
3 期間
昭和五一年一二月三一日まで
4 賃料
一ケ月 一五〇〇円
5 借地
東京都港区六本木三丁目四九番二
宅地 99.55平方米
(実測96.69平方米)