東京地方裁判所 昭和44年(借チ)46号 決定
〔主文〕1 別紙目録記載の借地条件中、目的を堅固な建物所有に、本裁判確定の翌月から期間を三〇年間延長し賃料を3.3平方米当り金三一二円に各変更する。
2 申立人は相手方に対し金九八〇、〇〇〇円を支払え。
〔理由〕一、本件申立の要旨
1 申立人は、昭和二一年五月一日相手方から別紙目録記載中の土地(以下「本件土地」という。)を、非堅固建物所有の目的、昭和四一年四月三〇日までの約で賃借し、右賃貸借契約は昭和四一年五月一日更新され、現賃貸条件は別紙目録記載のとおりである。
2 申立人は、本件土地上に、家屋番号甲二二六五番、木造、トタン葺平家建居宅店舗(床面積23.14平方米)を所有している。
3 ところで、本件土地附近は、本件土地賃貸借契約締結当時には、木造建物が少数建つているのみであつたが、その後準防火地域に指定されたほか、大塚駅北口商店街として繁栄し、なお、木造モルタル造が多いが、近時鉄筋コンクリート造、ブロック造が急増し、現在建設中の建物はほとんどすべて鉄筋コンクリート造の建物であり、現在本件土地につき、堅固な建物の所有を目的とするのが相当である。
4 そこで、申立人は、前記建物を堅固な建物に改築すべく計画中であるが、借地条件を変更して堅固な建物所有を目的とすることにつき、相手方との協議が調わないので、右借地条件変更の裁判を求める。
二、当裁判所の判断
1 本件で取調べた資料によれば、申立人は、昭和二一年五月一日本件土地のうち41.32平方米(12.5坪)を、木造建物所有、期間昭和四一年四月末日までの約で賃借し、同二七年二月一六日、賃借地を本件土地部分に増加し、右同旨の約で引続き賃借し、右契約は、同四一年四月末日期間の満了とともに法定更新されたこと、本件土地賃貸借契約の現条件は別紙目録記載のとおりであることを認めることができる。
しかして、前記資料によれば、本件土地は、前記賃貸借締結当時においては、木造建物が大部分であつたが、その後、商業地域、第六種容積地区、準防火地域に指定されたほか、大塚駅北口商店街として発展し、なお、木造建物も多いが、堅固建物が増大しつつあり、この傾向は今後一層すすみ、本件土地につき、現に賃貸借を結ぶ際には堅固な建物所有を目的とするのが相当であるに至つたものと認められ、他に本件において、右条件変更を不当とする事由はない。そこで本件申立はこれを認容すべきである。
2 附随の処分につき検討する。
鑑定委員会は、借地条件変更に際し、申立人に対し、金九八〇、〇〇〇円の給付を命じ、かつ、賃料を近隣同類型宅地の地代および継続地代の底地還元利廻りの平均値より3.3平方米当り金二〇〇円に増額するのを相当とし、給付額の根拠として、本件土地の更地価格を3.3平方米当り金七〇〇、〇〇〇円総額金一四、〇〇〇、〇〇〇円としたうえ、条件変更により借地権価格が七〇%から七七%に上昇するため、その差額を支払わせるのが相当であるとしている。
当裁判所は、本裁判確定の月の翌月から借地期間を三〇年間延長し、財産上の給付については、本件地番の形状、坪数を考慮のうえ、鑑定委員会の意見のとおり金九八〇、〇〇〇円(千以下切捨て)を相当と認める。賃料については、利用効率の増加を考慮し、この際改訂すべく、相手方所有の近隣の賃料が昭和四五年六月分より3.3平方米当り金三一二円になつているのにかんがみ、本件土地についても、本裁判確定の翌月から右同額に改訂するのが相当である。(筧康生)
目録
1 目的土地
東京都豊島区西巣鴨二丁目二二六番一
宅地 423.57平方米のうち66.228平方米(20.034坪)
2 当事者
賃貸人 相手方
賃借人 申立人
3 目的
木造建物所有
4 期間
昭和六一年四月三〇日まで
5 現賃料
一ヵ月 金二、〇〇〇円