東京地方裁判所 昭和44年(特わ)275号 判決 1969年12月25日
本店所在地
東京都目黒区下目黒六丁目一番六号
泰栄金属工業株式会社
右代表者代表取締役
小口隆文
本籍
茨城県水戸市常盤町五、七七二番地
住居
東京都目黒区中町一丁目二五番一七号
会社役員
小口隆文
大正八年一〇月一三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官川島興・弁護人浅見敏夫出席の上審理して、次のとおり判決する。
主文
被告会社を罰金一、八〇〇万円に
被告人小口隆文を懲役六月に
各処する。
被告人小口隆文に対し、本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社泰栄金属工業株式会社は、東京都目黒区下目黒六丁目一番六号に本店を置き、各種鋲螺類の製造販売等を目的とする資本金二〇、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人小口は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人小口は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、従業員に指示して買掛金を相手方科目とした架空仕入を計上し、その後右架空買掛金の支払名下に資金をねん出して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ
第一、 昭和四〇年五月一日から昭和四一年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六六、六六三、一一〇円でこれに対する法人税額が二四、〇三四、四〇〇円であつたにもかかわらず、昭和四一年六月三〇日東京都目黒区中目黒五丁目二七番一六号所在の所轄目黒税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一七、八九八、八六六円でこれに対する法人税額が五、九九一、六一〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右の正規の法人税額と申告税額との差額一八、〇四二、七九〇円を法定の納付期限までに納付しないで免れ
第二、 昭和四一年五月一日から昭和四二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一一八、七五五、〇八五円でこれに対する法人税額が四〇、六七五、三〇〇円であつたにもかかわらず、昭和四二年六月三〇日前記所轄目黒税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三〇、九六一、二八三円でこれに対する法人税額が九、九四九、六二〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右の正規の法人税額と申告税額との差額三〇、七二五、六八〇円を法定の納付期限までに納付しないで免れ
第三、 昭和四二年五月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七八、六一四、五六八円でこれに対する法人税額が二六、五五九、七〇〇円であつたにもかかわらず、昭和四三年二月二九日前記所轄目黒税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三四、九九〇、〇六〇円でこれに対する法人税額が一一、二九一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、右の正規の法人税額との差額一五、二六八、一〇〇円を法定の納期限までに納付しないで免れ
たものである。(各年度の所得の確定内容は、別紙第一、第二、第三の各修正損益計算書記載のとおりである。)
(証拠の標目)
一、 被告人小口の当公判廷における供述
一、 被告人小口の大蔵事務官に対する質問てん末書四通、検察官に対する供述調書及び上申書
一、 小口義文、出野憲司、押田義行、小沢恒臣の各検察官に対する供述調書
一、 大蔵事務官伊藤繁作成の買掛金発生及び決済明細表、買掛金発生明細調査表、公表仕入明細調査表、スクラツプ分架空仕入の発生及び決済明細表、簿外預金の発生明細表、簿外預金利息明細表、簿外預金入出金調査書、未納事業税調査書
一、 大蔵事務官松岡賢逸作成のスクラツプ簿外売上調査書
一、 大蔵事務官佐野辰美作成の資産勘定科目調査表
一、 大蔵事務官田中五郎の青色申告承認の取消に関する証明書
一、 押収してある元帳三綴(当庁昭和四四年押第一、四二五号の4、5、6)、仕入及び支払報告綴一綴(同号の16の1)、仕入高及支払内訳表一綴(同号の16の2)、売上仕入報告書一綴(同号の17)、法人税確定申告書一綴(同号の19)
(法令の適用)
一、 被告会社につき法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。
一、 被告人小口につき法人税法一五九条一項(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、二五条。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 小島建彦)
修正損益計算書
泰栄金属工業株式会社
自 昭和40年5月1日
至 昭和41年4月30日
No別表一
<省略>
<省略>
修正損益計算書
泰栄金属工業株式会社
自 昭和41年5月1日
至 昭和42年4月30日
No別表二
<省略>
修正損益計算書
泰栄金属工業株式会社
自 昭和42年5月1日
至 昭和42年12月31日
No別表三
<省略>