東京地方裁判所 昭和44年(行ウ)211号 判決
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〔判決理由〕本件運転免許停止処分が昭和四四年四月三〇日の経過によつてその効力を失つたことは、原告の自ら認めて争わないところである。
しかして、道路交通法一〇三条および同法施行令三八条、四〇条の二の規定によれば、公安委員会は、道路交通法違反に対する行政処分の種類、程度を決定するにあたり、当該違反者の運転免許停止処分の前歴を判断の資料となしうるが、それは、当該停止処分が過去一年以内になされたものだけに限られることとなつており、他に、右の前歴の故をもつて被処分者を不利益に取り扱いうることを認めた法令の規定はない。もつとも、かかる前歴が将来受けることあるべき道路交通法違反事件の刑事処分等において情状として斟酌されることがあるとしても、そのことは、免許停止処分がもたらす事実上の効果にすぎないというべきであり、また、免許停止処分自体一種の制裁として被処分者の名誉、信用等を毀損するものであることは否定しえないが、その違法な権利侵害に対して損害賠償の訴えを提起するには、予め当該免許停止処分が取り消されていることを必要とするものではない。
されば、仮りに本件運転免許停止処分が違法であるとしても、その失効後においては、判決によつてこれを取り消してみても、原告に法律上の利益を回復させる余地はなく、本件訴えは、爾後その利益を喪失するにいたつたものというべきである。(渡部吉隆 渡辺昭 斎藤清実)