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東京地方裁判所 昭和44年(行ウ)99号 判決 1977年10月12日

原告 静東商事株式会社

被告 狛江市

訴訟代理人 小沢義彦 川満敏一 ほか三名

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1  調布都市計画街路二等大路第二類第二〇号線築造事業のため原告所有の別紙一記載の各土地を収用したことによる原告の損失の補償に関し、東京都収用委員会が昭和四四年三月二七日になした損失補償額を五八、五八三、七六六円とする裁決を、一二九、六九七、五〇〇円と変更する。

2  被告は原告に対し七一、一一三、七三四円とこれに対する昭和四四年四月二九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨。

第二原告の請求原因

一  被告(ただし昭和四五年一〇月一日の市制施行前は狛江町)は、小田急線狛江駅付近の交通渋滞を解消するため、狛江町長を起業者として調布都市計画街路二等大路第二類第二〇号線築造事業(以下「本件都市計画事業」という。)を計画し、これについて昭和三九年一月二七日、旧都市計画法(大正八年法律三六号)三条に基づく建設大臣の都市計画事業決定の告示がなされた。

二  原告は、狛江駅南口付近に別紙一記載の各土地(以下「本件土地」という。)を所有していたものであるが、本件都市計画事業に本件土地が必要とされるに至り、昭和三八年九月ころから原告と被告との間でその買収についての交渉が行われたが、協議は結局不調となつた。

三  そこで本件土地について、昭和四三年八月二四日土地収用法(以下「法」という。)三四条の三に基づく収用手続開始の告示がなされ、起業者から東京都収用委員会に対し、昭和四三年一二月三日に法三九条一項に基づく裁決申請が、同月一九日には法四七条の二第三項に基づく明渡裁決の申立がなされ、これに基づき同収用委員会は、昭和四四年三月二七日、本件土地を収用し、原告に対する損失補償金を次の1及び2の(一)ないし(三)の合計五八、五八三、七六六円とし、権利取得の時期及び明渡期限を同年四月二五日とする内容の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。

1  土地の損失補償 五八、〇五〇、九六六円

本件土地に対する収用手続開始の告示の時における本件土地の価格を一平方メートルあたり六二、二〇〇円と算定して本件土地の面積九一九・〇五平方メートルを乗じ、これに法七一条所定の修正を加えた金額である。

2  土地の損失補償以外の補償

(一) 営業補償費(土地賃借料) 二四八、八〇〇円 器具及び資材等の置場の土地を一時賃借する費用として、月額六二、二〇〇円の四か月分の金額である。

(二) 動産移転補償費 五四、〇〇〇円

(三) 移転補償雑費 二三〇、〇〇〇円

四  しかしながら、本件裁決における原告に対する損失補償額は、以下のとおり適正な額より過少であつて、不当である。

1  土地に対する損失補償

(一) 損失補償における相当な価格の算定にあたつては、都市計画事業による道路開設等の決定、公示に伴い、その時点で将来の土地形態が当然に予見することができる結果、価格が騰貴するに至つた近隣土地の価格についての考慮がなされなければならず、収用の目的たる事業の予想されることに基づき土地の価格が値上りした場合は、これを価格算定の標準とすべきである。

しかるところ本件土地は、狛江駅南西方向軌道沿い六〇メートルの地点に位置し、交通至便の商業地域内にあつて、本件都市計画事業によつて駅前広場の一画を占めるに至つた地形も正方形の良好な土地である。したがつて、本件土地の損失補償の基準時である収用手続開始の告示がなされた時点(昭和四三年八月二四日)における本件土地の客観的な市場価格は、右の観点から一坪あたり五〇〇、〇〇〇円を下らないものである。

(二) 原告主張の右金額が正当なことは次の点からも明らかである。

(1) まず第一に本件土地の至近距離に位置する土地について、別紙二記載のとおりの売買取引の事例があり、この場合の取引価格は一坪あたり五〇〇、〇〇〇円前後であつた。

(2) 次に、本件土地に近接し、区画整理後の道路に面する別紙三記載の土地の昭和四六年五月ころの価格は一平方メートルあたり二〇一、四〇〇円(一坪あたり六六五、〇〇〇円)と鑑定評価(甲第一〇号証)され、これから財団法人日本不動産研究所による地域別六大都市市街地価格推移指数表の商業地欄の指数(昭和三〇年三月を一〇〇として、昭和四三年九月は八四六、昭和四六年三月は一、一三七)によつて、収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月ころ当時の右土地の価格を逆算すると、一平方メートルあたり一四五、二四九円(一坪あたり四七九、三二一円)となり、これによつても原告主張の本件土地の価格が正当なものであることが明らかである。

(3) なお、本件都市計画事業においては、原告以外の他の被買収者は、事業計画に使用されない所有地を付近に残すことができ、その結果その残地については現在大幅な地価の高騰という開発利益の恩恵を受けているのに対し、原告は所有地全部を収用されてしまい、その恩恵をまつたく受けていないのであるから、このような事情も土地の損失補償にあたつて考慮されるべきである。

(三) 以上のように、収用手続開始の告示の時点における本件土地の価格は、一坪あたり五〇〇、〇〇〇円を下らないものであるが、原告は、公共用目的の見地を考慮して右価格を一坪あたり四五〇、〇〇〇円として本件土地の収用による損失の補償を求めることとし、右金額に本件土地の総面積二七八・〇二坪を乗じた金額のうち一二五、一〇四、五〇〇円を正当な補償として求める。

2  土地の損失補償以外の補償

(一) 営業補償費

原告は、本件土地を昭和三六年一二月及び昭和三七年二月の二回に分けて買受け、ここに事務所、従業員宿舎、資材置場を設置して、原告の営業の主軸たる宅地造成工事の根拠地として本件土地を使用していたものであるところ、本件土地の収用に伴い、原告は、昭和四五年四月からその根拠地を失うことになり、代替地を取得し使用できるようになつた昭和四五年六月に至るまでの一三か月間造成事業を中止せざるをえなかつた。しかるところ、原告は本件裁決以前の三年間に、造成事業により一年平均四、〇〇〇、〇〇〇円の利益をあげていたものであるから、被告は、本件土地の収用により原告が造成事業を中止していた間である一三か月分の逸失利益である四、三三三、〇〇〇円を営業補償として原告に支払うべきである。

(二) したがつて、土地の損失補償以外の補償は、右の営業補償費四、三三三、〇〇〇円と、本件裁決でも認められた動産移転補償費五四、〇〇〇円及び移転補償雑費二三〇、〇〇〇円との合計四、六一七、〇〇〇円が正当であるところ、原告はそのうち四、五九三、〇〇〇円の支払を求める。

3  原告に対して支払われるべき補償額の合計

以上のとおりであるから、原告に対して支払われるべき損失補償額は、土地の損失補償として一二五、一〇四、五〇〇円、土地の損失補償以外の補償として、四、五九三、〇〇〇円の合計一二九、六九七、五〇〇円となるべきである。

五  よつて原告は、原告に対する損失補償額を五八、五八三、七六六円とした本件裁決につき右金額を一二九、六九七、五〇〇円とする限度においてその変更を求め、また被告に対し以上の差額である七一、一一三、七三四円とこれに対する起業者の収用による権利取得の後である昭和四四年四月二九日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三請求原因に対する認否及び被告の主張

一  請求原因に対する認否

1  請求原因一ないし三の事実は認める。

2  請求原因四の本件裁決における損失補償額が過少であるとの原告の主張は争う。

二  被告の主張

東京都収用委員会がした本件裁決における原告に対する損失補償の額は、以下のとおりいずれも適正かつ相当なものであり、原告の主張は理由がないものである。

1  土地の損失補償について

(一) 土地収用による損失の補償については、昭和四二年法律七四号による改正によつて、「収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。この場合において、その修正率は、政令で定める方法によつて算定する。」(法七一条)ものとされ、また、収用等を保留した土地については、収用手続開始の告示があつたときを法二六条一項の規定による事業の認定の告示があつたときとみなして、土地収用法の規定を適用する。(法三四条の五)ものとされるに至つた。そこで右法改正後に手続が開始された本件裁決においては、収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月における本件土地の近傍類地の取引価格等を考慮して本件土地の一平方メートルあたりの価格を六二、二〇〇円と算定し、さらに、法七一条の規定に基づき右単価に本件土地の実測面積九一九・〇五平方メートルを乗じて得た額五七、一六四、九一〇円に権利取得裁決の日までの物価変動に応ずる修正率一・〇一五五(別紙四記載の土地価格修正率算式参照)を乗じて得た額五八、〇五〇、九六六円を本件土地の損失補償額としたものである。

(二) 本件裁決が、収用手続開始の告示の時(昭和四三年八月二四日)における本件土地の価格を一平方メートルあたり六二、二〇〇円としたことが正当であることは、次の事実から明らかである。

(1) 本件土地は小田急電鉄株式会社狛江駅南口から下り線路沿方向約五〇メートル地先の行き止まりの場所にあり、地形はやや正方形に近く、駅から本件宅地までの通路は幅員三メートルの鉄道用地で砂利道であつた。当時の付近の現況は住宅、アパート等が点在している程度で商店街の裏手にあたり、付近の住民が自宅への往来に使用するくらいで一般人の通行はほとんどなく、また、本件土地の周囲についてみると、北側は小田急電鉄の軌道敷(線路)であり、南側は一般住宅と未利用地、東側は幅員二・七三メートルの町道五八号線(未整備砂利道)で、西側は河川敷で幅員四・五四メートルの素掘りのドブに隣接していた。そして東側の町道五八号線も北側の隣接地境で鉄道敷により寸断され一般車両の通行が不能であるところから、地形的には袋地同様の場所であった。

(2) 被告は、本件土地の価格算定について、昭和四三年四月、不動産鑑定士三名に鑑定評価を依頼するとともに、地元の不動産取引業者四者に世間相場(時価相場)の評価を依頼し、別紙五記載のとおりの価格評価を得た。被告は、本件裁決の申請にあたつて、右七者の評価額を基礎にその相価平均をもつて本件土地の価格を一平方メートルあたり五四、一五〇円(坪あたり一八〇、〇〇〇円)と算出し、さらにこれを一平方メートルあたり五四、五〇〇円と修正して主張したものであるが、右鑑定のうち比較的高額の評価がなされた不動産鑑定士三名の鑑定(乙第三ないし第五号証)によつても、本件土地の昭和四三年四月二〇日時点における一平方メートルあたりの平均単価は五八、三六三円であつた。

したがつてこれらの鑑定にあたつて参考とされた本件土地の近傍類地の取引価格等を考慮して、収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月における本件土地の価格を一平方メートルあたり六二、二〇〇円として、これに基づき本件土地の損失補償額を決定した本件裁決は相当なものといわなければならない。

(3) また、原告は本件土地を昭和三六年一二月ころ代金一五、〇〇〇、〇〇〇円で購入したと主張しており(もつとも原告の貸借対照表によれば本件土地の取得価格は八、三七九、四二〇円である。)、仮にこれによれば本件土地の取得価格は一平方メートルあたり約一六、〇〇〇円であるところ、財団法人日本不動産研究所による地域別六大都市市街地価格推移指数表によれば、右売買時より前の昭和三六年九月における商業地域の欄の指数は四七一であり、これを一〇〇とした場合における本件収用手続開始の告示の後である昭和四三年九月の指数である八四六の割合を計算すると、地価指数の上昇率は約一八〇パーセントであるから、これを右売買時における一平方メートルの単価約一六、〇〇〇円に乗じ、本件土地の収用手続開始の告示直後における価額を算出すると一平方メートルあたり約二八、八〇〇〇円となる。したがつて、右単価に原告が宅地造成のため本件土地に投下した費用及び金利的要素を加味したとしても、本件裁決が収用手続開始の告示の昭和四三年八月当時における本件土地の一平方メートルあたりの価格を六二、二〇〇円と算定し、これに基づき損失補償額の算定をしたことは極めて相当なものであつたといえる。

(三) 原告は、本件裁決における本件土地の損失補償額が過少であると主張するが、原告の主張はいずれも失当である。

(1) 原告は、土地の価格が収用の目的たる事業の予想されることに基づいて値上りした場合に、これを価格算定の標準とすべきであると主張するが、このような見解が地価の上昇、公共用地の取得難の要因とみられるに至つたため、昭和四二年の前記法改正においては、土地収用の損失補償から事業による利益すなわち起業利益を排除するため、改正後の法七一条において「事業の認定の告示の時」(法三四条の五の適用を受ける場合には収用手続開始の告示があつた時)における交換価値を補償額の算定基準とし、交換価値の騰貴も、右告示の時までのものは、補償に見込むこととし、その後のものは考慮しないこととして、右告示の時から権利取得裁決の時までの騰貴については所定の修正率を乗ずる制度によつてこれを補完することを明らかにしたのであつて、原告主張のような見解は失当なものとなつたといわなければならない。

(2) また、原告は、別紙二記載の取引事例において一坪あたり五〇〇、〇〇〇円前後の価格で売買がなされたと主張するが、右取引事例は、いずれも本件収用手続開始の告示がなされた後の昭和四三年一二月一八日及び昭和四四年四月三日の取引例であり、しかも本件都市計画事業の決定公示並びにその一部の事業の施行により都市計画街路に面することが予見せられるに至つた土地に東京都民銀行株式会社が将来店舗を構えるため、金力にまかせその子会社である都民興業株式会社をしてこれを買取らせたものであることが明らかで、このような取引事例が本件土地収用の損失補償の算定基準となりえないことはいうまでもないところである。

(3) さらに原告は、本件土地に近接する別紙三記載の土地の昭和四六年五月ころの鑑定価格が一平方メートルあたり二〇一、四〇〇円であるとし、これから本件土地の収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月当時の価格を逆算すると一平方メートルあたり一四五、二四九円(一坪あたり四七九、三二一円)となる旨主張する。

しかし、原告主張の右鑑定価格は、本件都市計画事業実施後の開発利益をも包含した資料をもとに土地の評価を行ったものであり、これを前提とした原告の主張は、前記のとおり法七一条が土地の損失補償の算定基準に開発利益を含ましめないことを明定しているところに相反するものであつて、到底容認できないところである。

2  営業補償について

原告は、本件土地の収用により原告の宅地造成事業の根拠地が失われ、一三か月間分の右事業による利益四、三三三、〇〇〇円を失つたと主張する。

しかし、原告は、本件土地購入後昭和三九年六月中旬ころまで、これを更地として雑草が繁茂するまま放置していたものである。一方、被告は、昭和三八年度を初年度とする五か年にわたる本件都市事業計画を立て(後に二年延長し七か年となる。)、昭和三九年一月二七日に本件都市計画事業決定がなされる以前である昭和三八年九月頃から関係土地所有者との間において用地買収交渉を進めていたが、原告は、右買収に応じないばかりでなく、原告代表者の娘婿にあたる田原治郎は昭和三九年六月中旬ころ突如として本件土地上に建築基準法所定の手続及び許可を得ることなく違法建築を強行し、そのうえ建物表示登記については昭和三八年九月三〇日新築と真実の建築月日よりも約九か月も遡らせた表示登記の申請を昭和四三年一一月一六日に行ない。あたかも本件都市計画事業決定告示前に新築されたもののようにその形式をととのえたものである。また右建築物には営業に必要な電話も設備されていなかつた。

以上のような本件土地の利用状況からみて、本件土地が原告の宅地造成事業の中枢基地をなしていたとは到底認められず、また、原告の昭和四一年一月一日から昭和四三年一二月三一日までの三事業年度分の法人税確定申告書によつても、原告が宅地造成中の土地は、横浜市南区大岡町浅間山所在の土地のみで本件土地がその宅地造成のための根拠地となり、原告主張のような収益をあげるように活用されていたものとはいいがたい。

第四被告の主張に対する原告の反論

一  土地の損失補償について

1  被告は、昭和四二年の法改正により、法七一条は土地の損失補償の算定基準に開発利益を含ませないことを明定したと主張するが、右主張は次のとおり失当である。

すなわち、条文の規定自体から明らかなように、右の法改正は、損失補償の価格算定の基準時を裁決の時から事業認定(あるいは収用手続開始)告示の時に変更したものにすぎず、収用する土地について補償すべき法所定の「相当な価格」の有する意味自体は、右法改正の前後を通じなんら変更はなく、収用される土地の客観的な取引価格と解されているのである。したがつて、法七一条の解釈としても、事業認定(収用手続開始)告示の時までの交換価値の騰貴としてこの時までに実現している開発利益は、損失補償にあたつて排除されることはないのである。

要するに、事業計画に基づき将来を見越した開発利益が生じたとしても、それが基準時における土地の市場価格に含まれる以上これを補償することが法の要請であることは疑う余地のないところである。

2  被告は、別紙五記載の不動産鑑定士三名の鑑定結果に基づき、本件裁決における補償額が正当であると主張するが、右鑑定結果は、本件都市計画事業による開発利益をまつたく排除しているものであつて、前記1に述べた点からして失当であるのみならず、右鑑定にあたつて資料とされた取引事例は、いずれも狛江駅の駅前広場から南へ約一五〇メートル以上も離れた土地であつたり、鉄道の反対側のしかも駅から何本もの道路を隔てたものであるなど本件土地の近傍類地とは到底いいがたく、本件土地と比較するのに不適切な土地である。

したがつて、被告主張の鑑定結果は、本件土地の損失補償額を決める資料とはなりえない。

3  以上に反して、原告主張の別紙二記載の取引事例は、駅前広場から南へ約三〇メートル離れ、駅前道路に面した土地であり、本来ならば本件土地に匹敵すべき駅前広場に面した土地に比べれば劣つているとはいうものの、本件土地の損失補償にあたつて当然考慮されるべきものである。そして、本件土地は右の取引事例より一段と優れている土地であるから、本件土地の補償が右の取引事例の価格を上回ることはむしろ当然である。

なお、被告は、右の取引事例は、損失補償の基準時である収用手続開始告示がなされた昭和四三年八月二四日の後のものであると主張するが、取引が成立した日時がそうであるとしても、売買の交渉はその相当以前から行なわれ、右の基準時には買主側からほぼ原告主張どおりの価格が提示されていたものであるから、右の取引価格は、結局前記1に述べた「相当な価格」の趣旨に沿うものである。

4  また、原告は不動産鑑定業者に依頼して、収用手続開始告示の時である昭和四三年八月二四日の時点における本件土地の価格評価を行なわせたところ、一坪あたり三六〇、〇三〇円(一平方メートルあたり一〇九、一〇〇円〕、合計一〇〇、二六八、三五五円の鑑定結果(甲第一八号証)を得た。しかるところ、右鑑定価格には、本件都市計画事業による開発利益はまつたく含まれていないものであるから、収用手続開始告示の時までの開発利益を含ませるならば、右価格は当然さらに大きなものになるはずであり、原告が主張する一坪あたり四五〇、〇〇〇円を下ることはありえないことになる。

この点からも原告主張の金額が正当なものであることは明らかである。

5  なお、被告主張の法七一条所定の修正率一・〇一五五(別紙四参照)は、その算定に用いられた算式及び数字指数等に法令適用の誤りがあり、正しい数値は別紙六のとおり二・〇六五である。この点からも被告主張の土地の損失補償額は過少であることが明らかである。

二  営業補償について

被告は、本件土地上の建物の建築が違法であつたなどとして、原告に営業補償をする必要はないかのように主張する。

しかし、営業補償は、土地の収用により営業を休止し、またはこれが不能となつた場合に、その休止期間の逸失利益を補償するものであり、被告主張の事実は、原告が本件土地を宅地造成事業の中枢として使用していたこととなんら関係ない事実であり、原告主張の事実(請求原因四2(一))が認められる以上、原告に対し営業補償がなされるべきである。

第五原告の反論に対する被告の再反論

一  収用手続開始告示の時における本件土地の価格についての鑑定評価について

原告は、本件における収用手続開始の告示のときである昭和四三年八月二四日の時点における本件土地の鑑定評価として一平方メートルあたり一〇九、一〇〇円の結果を得たと主張する。

しかし、右の鑑定評価は、次の点で大きな誤りを犯しており、本件土地の価格を認定する資料とはなしえないものである。

1  すなわち、右の鑑定評価は、昭和五〇年三月一日現在の価格を基本とし、過去における一般的な地価変動率を用いて昭和四三年八月二四日(収用手続開始告示の日)当時の土地価格を逆算するという方法を採つているのであるが、本件土地の場合は、昭和四四年以降において本件都市計画事業が施行されるに伴ない、小田急線狛江駅南口広場の一画を占めるに至つたという特殊な事情があつて、それ以前の本件土地は、前記のように袋地同様の土地でわずかに幅員三メートルの鉄道用地が駅への通路として利用されていたにすぎず、人の往来もほとんど見られなかつたのであつて、開発後にいちじるしい変貌を遂げ面目を一新している土地であることに留意しなければならず、したがつて一般的な地価変動率を用いるにはふさわしくない土地であるということができる。

一般に開発後の土地の価格はいわゆる開発利益(起業利益)を受けることによつて著しく上昇するものであり、本件事業は駅前にかかる開発事業であつてその場所柄からしても開発利益のとりわけ大きい事業と認められるにもかかわらず、前記鑑定評価では開発による地価の急激な上昇という本件に特有な上昇要因を全く考慮することなく、本件都市計画事業の施行された昭和四四年とその前後の年における地価変動率を定めるに当つて六大都市の住宅地の推移指数をそのまま借用するなどの誤りを犯しており、これでは到底正しい価格を求めえないことは明らかである。

2  以上に加え、前記の鑑定評価には、その資料として用いられた取引事例として、狛江市和泉二〇二八-二の売買実例が掲げられている。この土地は狛江銀座といわれる繁華街の中でも三差路の角地に当たる一等地である(以下「狛江銀座の土地」という。)が、これが昭和四四年八月に一平方メートルあたり六八、三〇〇円で売買されているようである。そして右鑑定では本件土地の価格を右狛江銀座の土地の価格の一七五パーセントであるとし、狛江銀座の土地よりも本件土地の方が七割五分も地価が高いとして評価を行なつている。

しかし、昭和四三、四四年度の両土地の固定資産評価額によれば、逆に狛江銀座の土地の方が本件土地より三割七分ないし四割程度高く評価されているのであつて、このことから、前記の鑑定評価は本件土地の価格をことさらに過大評価していることが明らかであるといわなければならない。

もつとも、固定資産評価額が時価そのものを示しておらず、時価よりもかなり低く評価されていることは周知のとおりである。

しかし時価に対する減価率は少くとも同一地域の宅地については一定のはずである。固定資産評価額は課税標準としてそのまま税額算定の基礎となるものであるから、もし減価率を区々にするようなことがあれば公平課税の原則に反する結果になることが明白だからである。

したがつて、甲地と乙地といずれの地価がより高いか、またその程度はどれ程かを知るには、両土地の当該年度の固定資産評価額を対比することがきわめて有意義でありかつ最良の方法であるということができるのであつて、本件土地が狛江銀座の土地より価格が高いという前記鑑定評価が誤りであることはこのことからも明らかである。

3  なお、本件裁決においては、本件土地の昭和四三年八月当時の時価を一平方メートルあたり六二、二〇〇円としたのであるが、前記の狛江銀座の土地が一年後の昭和四四年八月に一平方メートルあたり六八、三〇〇円で取引されているところから考えると、本件裁決はむしろ時価よりもかなり高目に本件土地の価格を評価したとすらいえるのである。

二  法七一条所定の修正率について

原告は、法七一条に基づく補償金の額の修正率の算定方法について、被告主張の算式及び数字指数等に誤りがあると主張する。

しかし、これは原告が土地収用法施行令一条の一二が昭和四九年一二月二〇日政令三八八号によつて改正されていないことを認識しないことに基づくものであつて、被告主張の修正率の算定方法にはなんらの誤りもない。

すなわち、右昭和四九年の改正時までは右修正率の算定方法は被告主張のとおりであつたものであり、右改正政令附則二項によれば、「この政令の施行の際現に土地収用法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示(都市計画法(昭和四三年法律第百号)その他の法律の規定により事業の認定の告示とみなされるものを含む。)がなされている場合における物価の変動に応ずる修正率の算定については、第一条の規定による改正後の土地収用法施行令付録の式にかかわらず、なお従前の例による。」とされており、本件収用裁決の修正率の算定方法にはなんらの誤りもないものである。

かえつて、改正後の修正率を採用している原告の算定方法自体が誤りである。

第六証拠<省略>

理由

一  請求原因一ないし三の事実(本件裁決の経緯と内容)については当事者間に争いがない。

原告は、本件裁決における損失補償のうち、土地に対する損失補償金の額と営業補償費の額を争うので、以下右の各補償額の当否について検討する。

二  土地に対する損失補償金について

1  法七一条は、収用する土地に対する損失補償金の額の算定について、「近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じた額」とすることを規定し、また、法三四条の五は、収用の手続を保留した土地については法三四条の三の収用の手続開始の告示があつた時を事業の認定の告示があつた時とみなして法を適用する旨規定している。

そして本件においては、前記当事者間に争いのない事実によれば、本件都市計画事業は、昭和三九年一月二七日に旧都市計画法(大正八年法律三六号)三条に基づく都市計画事業の決定の告示がなされ、また本件土地については昭和四三年八月二四日に法三四条の三に基づく収用手続開始の告示がなされたものであるところ、旧都市計画法に基づく都市計画事業の認可とその告示は同法一九条により法(土地収用法)の適用については法二〇条に基づく建設大臣の事業認定と法二六条一項に基づくその告示とみなされ、したがつて本件土地は、昭和四二年法律七四号による法(土地収用法)の改正にあたつては、「土地収用法の一部を改正する法律施行法」(昭和四二年法律七五号)四条の規定により、収用の手続が保留されているものとみなされていたのであるから、本件土地の法七一条所定の「相当な価格」の算定については、収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月二四日を基準時として判断されなければならないことになる。

ところで、収用する土地に対する損失の補償は、公益上必要な特定の事業のために土地が収用される場合、その収用によつて当該土地の所有者が被る特別の犠牲を回復することを目的とするものであるから、法七一条所定の「相当な価格」とは、基準時における完全な補償となる額、すなわち被収用者が右基準時に近傍において被収用地と同等の代替地を取得することができるに足りる額であり、さらにこれを換言すれば基準時における当該土地の客観的かつ正常な市場価格でなければならないものと解すべきである(最高裁判所昭和四八年一〇月一八日第一小法廷判決、民集二七巻九号一二一〇頁参照。ただし、この判決は、昭和四二年法律七四号による改正前の法(土地収用法)に関するものであるが、以上の限度において改正後の法の解釈にも妥当するものと解せられる。)。したがつて、都市計画事業等による土地開発が行なわれることが明らかになつたことにより、将来のいわゆる開発利益、すなわち起業利益がみこまれる結果、被収用地の客観的な交換価値が謄貴した場合であつても、基準時である事業の認定(本件では収用手続の開始)の告示のときまでに値上りした価格については、それが客観的かつ正常な市場価格を構成する以上は、被収用者に帰属するものとして補償に含まれるべきであり、そのように解することは法七一条の趣旨に沿うものであることが明らかであるといわなければならない。

もつとも、以上のように解するとしても、起業利益が起業地あるいはその近隣の土地の客観的かつ正常な市場価格に反映する程度は、同一の事業における同一の時点に限つても、当該事業による影響の程度が各土地によつて異なることにより、各土地ごとに相当の差異が生ずることは明らかであるが、法所定の「相当な価格」を算定するにあたつてこれに含ませるべき起業利益は、基準時において当該土地が事業の影響を中程度に、換言すれば近傍の起業地あるいはその周辺の土地における平均的な割合によりこれを受けたものとして判断されるべきである。

また、収用の原因となる事業は、抽象的な計画段階から、事業認定を経て、収用等が行なわれて具体的に執行され、最終的に完成するまでの間、相当な年月を要するのが通常であり、その間起業地あるいはその近傍の土地の客観的かつ正常な市場価格に反映する起業利益も順次段階的に増大するものと解されるところ、起業地あるいはその周辺の土地の現実の取引価格は、事業と無関係な土地の場合に比べ、私人間の取引においては取引当事者の思惑や投機、あるいは買主の特定地取得の必要性等の特殊要因に直接左右されることが少なくないと考えられ、そのような場合における現実の取引価格は、取引時点における客観点かつ正常な市場価格を反映していろとは必ずしもいえないことが明らかである。したがつて、法七一条の「相当な価格」とは、前記のようにあくまでも基準時までの起業利益による値上りを含んだ客観的かつ正常な市場価格をいうものであるとしても、その算定にあたつては、参照すべき近傍類地の現実の取引価格を前記の事情を考慮することなくただちに「相当な価格」として採用することは、必ずしも当を得ていないのであり、現実の取引価格には前記のような特殊要因によつて形成されたものが少なくないことを考慮しながら、現実の取引事例を場合によつては「相当な価格」の算定資料から排除し、あるいは適宜補正したうえでその資料として用いることによつて、適正かつ妥当な結論を得なければならないというべきである。

2  以上の見地に基づき、本件土地の収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月二四日の時点における法七一条所定の「相当な価格」について検討することとする。

(一)  本件土地の状況

<証拠省略>を総合すると次の事実が認められ、この認定を左右するに足る証拠はない。

本件土地は、小田急線狛江駅から南西方向軌道沿い約五〇メートルの地点にあり、駅前商店街の裏手に位置し、形状はほぼ正方形であり、その北側において鉄道軌道敷に面している(なお、本件土地及びその周辺は必ずしも東西あるいは南北方向に正対する形状になつておらず、右各証拠においても方位の表示にやや不統一の点があるが、本件土地が軌道敷に接する面を北側として、以下これを基準に方位をあらわすこととする。)。本件都市計画事業は、狛江駅南口付近に約二、六〇〇平方メートルの駅前広場と、同広場から南方へ主要地方道世田谷・町田線に至るまで幅員一六メートルの都市計画街路(調布二・二・二〇号線)を建設するもので、本件土地は、右事業が完成した後において、駅前広場の一画としてその北東部分を占めるに至つた。しかし、収用される以前の本件土地の状況は、狛江駅からの通路としては幅員約三メートルの鉄道用地上の砂利道があるのみであり、またほかには本件土地の東南端から東方へ向う幅員約二・七二メートルの公道に接してはいるものの、この公道も本件土地の東側部分を北側へのびて軌道敷に至つて行きどまりとなり、また本件土堀の西側は水路となつており、他に本件土地に通じる道はないため、事実上いわゆる袋地に近い宅地であつたが都市計画上は商業地域に属していた。なお、当時の本件土地の周囲には、未利用地のほか住宅、アパートが散在していたが、本件土地は、商店街からは隔離しており、その利用状況も、土地の一画が後記認定の仮設建物の敷地等として使用されていたほかは、未利用地として草地のまま放置されていた。

(二)  原告主張の本件土地の価格の当否

本件裁決においては、法七一条所定の基準時である収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月二四日における本件土地の価格を、一平方メートルあたり六二、二〇〇円とした(この事実は前記のとおり当事者間に争いがない。)ものであるところ、原告は、右の価格は過少であるとして、一坪あたり四五〇、〇〇〇円(一平方メートルあたり約一三六、三六三円)が相当な価格であると主張する。

しかし、本件土地の価格が一坪あたり四五〇、〇〇〇円であるとして本件裁決における損失補償額の増額を求める原告の主張は、以下(1)ないし(4)で述べるとおりいずれも理由がなく、また、本件においては、前記基準時における法七一条所定の本件土地の「相当な価格」が、本件裁決で認められた一平方メートルあたり六二、二〇〇円を上回るものであることを認めるに足る証拠もない。

(1) 原告は、まず本件土地の至近距離に位置する土地について別紙二記載のとおりの売買実例があり、その取引においての価格は一坪あたり五〇〇、〇〇〇円前後であつたと主張する(請求原因1(二)(1) )。

そして、なるほど<証拠省略>によれば、別紙二記載の各取引事例の土地は、本件土地から南へ二、三〇メートルの地点に位置し、右土地の東側は本件都市計画事業によつて完工した調布二・二・二〇号線に面し、また南側も道路に面していわゆる角地となつている一団の土地であるところ、本件都市計画事業による右道路の築造がまだ工事中であつた昭和四三年一二月から翌昭和四四年四月にかけて、別紙二記載のとおり売買され(ただし、別紙二において面積の単位が「平方メートル」となつているのは「坪」が正しく、また3の取引面積は四〇坪であると認められる。)、その価格は平均して一坪あたり約六五〇、〇〇〇円であつたことが認められる。

しかし他方、右各証言によれば、右の取引事例の各土地は、金融機関である都民銀行が駅前道路に面した土地を支店移転のため確保しておくため、売主の要求に応じで売買価格が高騰することもやむをえないものとして、その関連企業である都民興業株式会社に購入させた土地であり、しかも前記の売買価格には、各売主の移転先建物の取得費用や移転補償費用、あるいは売主の借家人に対する立退料等までも含め考慮した価格であることに加え、土地の固有の価格としても、売主買主双方が、当時工事中であつた都市計画街路が完成する将来をみこんだ将来時点における価格、いわゆる将来価格による取引であることを意識していることが認められる(この認定に抵触する<証拠省略>は措信しない。)。

したがつて、右認定事実によれば、右取引事例における売買価格は、取引当事者の思惑に基づき、また買主である銀行側が当該土地を取得すべき必要性が極度に大きかつたという特殊な要因によつて形成された価格であり、しかも本件都市計画事業の完成した後の右事業による起業利益をほとんどすべて含めた価格であると解され、当時における正常な市場価格ということができないことは明らかである。そうだとすれば、前記1の説示に照らし、前記の取引事例における売買価格は、いまだ本件都市計画事業が完工していない段階である収用手続開始の告示の時における本件土地の価格を評価する資料とは到底なしえないものといわなければならない。

(2) 原告は、本件土地に近接する別紙三記載の土地の昭和四三年五月ころの価格が一平方メートルあたり、二〇一、四〇〇円であり、これから地域別六大都市市街地価格推移指数によつて収用手続開始の告示の時(昭和四三年八月二四日)の価格を逆算すると、その価格は一平方メートルあたり一四五、二四九円(一坪あたり四七九、三二一円)となり、このことからも本件土地の当時の価格は一坪あたり四五〇、〇〇〇円が相当であると主張する(請求原因四1(二)(2) )。

しかし、<証拠省略>によれば、別紙三記載の土地の昭和四六年五月二一日現在の価格として、不動産鑑定士により原告主張のとおりの鑑定評価がなされていることが認められるけれども、原告の主張は結局以下のとおり失当といわなければならない。

(イ) 右<証拠省略>によれば、右鑑定価格を決定するにあたつて用いられた主たる資料は、前記(1) の取引事例(別紙二)であつて、正常な市場価格の鑑定の資料として不適切であることは前述のとおりであり、右鑑定はその前提においてすでに失当といわなければならない(もつとも右鑑定においては、別紙二の取引事例における土地のみの価格を一坪あたり五〇〇、〇〇〇円として資料に用いており、さらに銀行の買収事例として買進みがあるとして一〇パーセントの減額補正を行なつているが、このことによつても、前記(1) 認定の事実によれば、右売買事例が客観的かつ正常な取引価格によるものとして資料に用いることができるものであるとまでは到底解することができない。)。

(ロ) のみならず、右<証拠省略>の鑑定においては、昭和四三年一二月ないし昭和四四年四月に行なわれた別紙二記載の前記取引事例の価格について鑑定時点である昭和四六年五月に至るまでの当該地域における年間平均地価上昇率を一六パーセントとする時点修正をして、右上昇後の価格を算定し、これと別紙三記載の土地を比準しているが、前記(1) 認定のように別紙二記載の取引事例における売買価格は、すでに取引時点において本件都市計画事業が完成した際のいわゆる将来価格を先取りしているるのであるから、その将来価格についてさらに当該地域における地価上昇率による時点修正を加えて増額することは、起業利益を二重に価格に反映させることにもなり、右の鑑定方法自体も適切ではない。

(ハ) さらに、原告は、昭和四六年五月における別紙三記載の土地の前記の鑑定評価価格から、地域別六大都市市街地価格推移指数によつて、昭和四三年八月(本件土地の収用手続開始の告示の時)における右土地の価格を逆算する(なお、<証拠省略>によれば、原告が用いた昭和四六年三月の指数一、一七三は誤りであつて、一、一六四が正当である。)。しかし、前掲<証拠省略>の鑑定書の記載によれば、右鑑定がなされた時点においては、すでに本件都市計画事業による駅前広場と都市計画街路が完成しており、しかも別紙三の土地は駅前広場に直面していることが認められるから、仮に右鑑定時煎における右土地の価格評価が正当であるとしても、その評価価格は、本件都市計画事業による完成後の起業利益が、しかもその一般的平均的な程度を相当上回つて反映しているものと考えられ、したがつて本件都市計画事業の工事の着手前あるいは工事中の時点の価格に比較して一般的な地価上昇率をはるかに上回る地価上昇があつた結果の価格であると解されるから、右鑑定時点の価格から原告主張のように一般的な地価上昇率をもとに過去の価格を逆算する方法は、合理的なものとは到底認められない。

以上(イ)ないし(ハ)のとおり、<証拠省略>の鑑定を前提とする原告の主張は、いずれにしても失当といわなければならない。

(3) 原告は、収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月二四日における本件土地の価格は、いわゆる開発利益を含めないで一平方メールあたり一〇九、一〇〇円であつたと主張(原告の反論一4)し、<証拠省略>を提出する。

証人大沢清の誕言により真正に成立したと認める右<証拠省略>によれば、なるほど本件土地の昭和四三年八月二四日時点の価格として原告主張どおりの金額が鑑定評価されていることが認められる。

しかし、右<証拠省略>の鑑定は、その鑑定にあたつて用いられた資料等の一部に不明確あるいは不精確なものが含まれていることが、<証拠省略>から窺われるほか、その鑑定評価の方法自体も、右<証拠省略>の記載自体から明らかなように、昭和四九年ないし昭和五〇年の本件土地近隣の取引事例と比較することによつて、本件土地の昭和五〇年三月一日時点における価格を一平方メートルあたり三〇〇、〇〇〇円と評価し、右価格を地価変動率で過去時点に逆進して価格を求めるという手法をとつているものである。すなわち、右時点から昭和四五年一月一日までは当該土地の公示価格の変動率により、さらにこの時点から昭和四三年八月二四日までは地域別六大都市市街地価格推移指数により逆算することによつて、昭和四三年八月二四日時点の本件土地の価格を評価したものであることが明らかである。したがつて、前記(2) の(ハ)で述べたのとほぼ同じ理由により、本件都市計画事業が完成しその起業利益をほぼ完全に体現している昭和五〇年段階の評価価格から、いまだ本件都市計画事業が未着工あるいは工事中の時点にすぎない昭和四二年八月段階の価格を一般的な地価変動率を用いて逆算することは、合理的な方法とはいえないから、すでにこの点において原告の主張は理由がないことが明らかである。

もつとも、原告は、右鑑定においては本件都市計画事業による開発利益を一切排除していると主張し、証人大沢清の証言中には、右主張に沿う部分がある。しかし<証拠省略>によれば、右鑑定においては、本件土地の昭和五〇年三月一日時点における価格評価に際し、本件土地の概況の判定やその最有効使用形態の想定にあたつては、本件都市計画事業が完成している事実を当然の前提として考慮して、これによる起業利益を本件土地が享有している状況において他の取引事例との比準をしていることが明らかであり、また<証拠省略>も全体として判断すれば、右の起業利益が本件土地の価格形成において行政的な要因として鑑定にあたつて考慮されていることを認めているものと解され、結局原告の主張は失当というほかない。

なお、前掲<証拠省略>によれば、右鑑定においては逆算して得た昭和四三年八月二四日時点の本件土地の評価価格(一平方メートルあたり一〇九、一〇〇円)を、さらにそのころの近隣の取引事例と比較しているが、右比較に用いられた取引事例二例のうちの一例は、前記(1) の取引事例(別紙二)であつて、正常な市場価格を比較すべき資料として適当でないことは前述したとおりであり、また他の一例(被告の再反論一2にいわゆる狛江銀座の土地の事例である。)についても、右鑑定では本件土地の方が地域格差及び個別格差において右事例地の二倍近い価格であると評価しているが、その根拠が必ずしも明らかでないことに加え、<証拠省略>によれば、右事例地は、当時の固定資産税課税評価額においてはかえつて本件土地より三〇パーセント以上高く評価されていることが認められることに照らしても、右鑑定による評価が正当なものとは解せられないというべきである。

(4) なお、原告は、本件都市計画事業における原告以外の被買収者は起業地に含まれない残地があつて、右事業による開発利益によつて残地について土弛値上りの利益を得ているのに対し、原告は所有土地全部を収用されなんら利益を得ることがないのであるから、そのような事情も損失補償にあたつて考慮すべきであると主張する(請求原因四1(二)(3) )。

しかし、収用する土地に対する損失補償金の額は、法七一条所定の要件を満たした額であることを要し、かつそれで足りるのであり、いわゆる残地の有無によつて右金額の算定方法が変わるものでないことは規定上明らかであり、原告主張のような事情を補償金の額の算定にあたつて考慮すべきであるとする根拠はまつたく存しない。むしろ、法九〇条によれば、収用による損失は、残地に生ずる起業利益と相殺することが禁じられているのであるから、残地の有無は、法七四条の残地補償等における場合を除き、収用による土地の損失補償にあたつてなんら考慮しないことが法の趣旨であると解せられるのである。

(三)  本件裁決が認定した本件土地の価格の当否

以上のように、収用手続開始告示の時における本件土地の法七一条所定の「相当な価格」について、本件裁決が認定した金額を上回るべきであるとする原告の主張はすべて理由がなく、また本件全証拠によるも原告の右主張を基礎づける事実を認めるに足る証拠はないのであるが、むしろ、次の(1)及び(2)の各証拠にみられるように本件裁決が右価格を一平方メートルあたり六二、二〇〇円としたことは、過少であるということができず相当であつたというべきである。

(1) すなわち、<証拠省略>によれば、被告は、原告との買収交渉にあたつて本件土地の客観的な評価価格を知るため、昭和四三年四月ころ、不動産鑑定士三名と地元の不動産取引業者四名に本件土地の鑑定を依頼したところ、不動産鑑定士三名からは同年四月二〇日現在の本件土地の価格について別紙五記載の5ないし7のとおりの評価(ただし6の鑑定では一坪あたり一九五、〇〇〇円の評価が得られたのであるが、これを一平方メートルあたりに換算して表示したものである。)を、また地元不動産業者四名からは一坪あたり一六〇、〇〇〇円ないし一七〇、〇〇〇円程度の評価を、それぞれ得たことが認められる。そして、右鑑定評価のうち、本件証拠上鑑定内容が明白である(また原告にとつて有利な内容である)不動産鑑定士三名による評価は、後記のとおりその鑑定方法等につきいずれも格別に不合理な点が認められず相当なものと解せられるから、その平均値である一平方メートルあたり五八、三六三円をもつて本件土地の昭和四三年四月二〇日における客観的かつ正常な市場価格と評価することもまた相当といわなければならない(むしろ後記(2) の説示に照らせば、右価格は、原告の有利にすぎるということはいえても、過少であるとは到底解せられない。)。そしてそうとすれば、右時点から本件における法七一条所定の「相当な価格」の算定基準時である収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月二四日までの約四か月間の地価上昇を考慮するとしても、右基準時における価格は本件裁決が認定した一平方メートルあたり六二、二〇〇円を上回ることはないと評価すべきである。

もつとも原告は、右の各鑑定においては本件都市計画事業による開発利益がまつたく考慮されていないと主張する。しかし<証拠省略>によれば、右の各鑑定においては、いずれもその鑑定書の記載に照らし、鑑定時点において本件土地に発生している起業利益を考慮したうえで価格評価をしていることが明らかであり、その鑑定方法自体も、本件都市計画事業の存在を前提として、本件土地を他の取引事例等と比較していることが認められ、原告主張のような起業利益をまつたく排除したものでないことは明らかである。ただ<証拠省略>によれば、別紙五記載の3の鑑定においては、本件都市計画事業の予定がない状態における価格を目標として評価する旨の記載があることが認められるが、右においても鑑定書の説明の記載全体からすれば、起業利益を考慮したうえで価格評価をしていることが明らかであり、また現に本件土地の評価のための資料として主に用いられた取引事例は、本件都市計画事業の存在を前提として、本件土地と比較するにふさわしい事例として選択されているのであるから、<証拠省略>に前記のような記載がある事実をもつて原告の主張を裏付けるものということはできない。

さらに原告は、右各鑑定において資料として用いられた取引事例は、本件土地の近傍類地とはいえず、これと比較するのに不適切であると主張する。

なるほど前掲<証拠省略>によれば、右の各鑑定において本件土地の価格評価の主たる資料とされた取引事例等の中には、本件土地からかなり遠く離れたものや軌道敷を超えた北側に位置するものなどが一部含まれていることが認められ、右事例地においては、本件都市計画事業による影響を鑑定時点において比較的受けにくいことが窺われなくはない。しかし他方、右各証拠によれば、右事例地についても、本件土地との比較がまつたく不可能あるいは困難であるような諸条件の著しい相違があるとまでは認められず、したがつて、適正な補正をしながら両者を比較する(現に右の各鑑定ではそのような比較がなされている。)ことによつて、本件土地の適正な価格評価をすることが可能であることが明らかであるのみならず、右各鑑定にあたつては、本件土地の隣地あるいはこれに準ずる近傍の宅地(したがつて本件土地の近傍類地と解して妨げないというべきである。)の取引事例も有力な資料として用いられていることが認められるのであるから、いずれにしても原告主張のような非難はあたらないといわなければならない。

(2) また、<証拠省略>によれば、本件土地の南側隣地(宅地)について昭和四三年二月ころ本件都市計画事業のための任意買収の交渉が成立し、一平方メートルあたり四五、四〇〇円で右土地被告が買収したことが認められる。

ところで、地方公共団体の締結する契約は、法令上適正な価格によることが要請され、またこれを担保するための諸制度が整備されていることに加え、本件のような都市計画事業等においては、公共団体には、任意買収のほかに法に基づく収用という強制手段によつても適正な価格(その当否は最終的には裁判所の判断を受けることができる。)により私人の土地を取得できる制度が背景に存するから、以上のような諸制度がなく、取引当事者の思惑や役機等の特殊要因によつて取引価絡が左右される危険が大きい私人間の売買取引に比べ、公共団体の関与する取引においては、格別の事情が存しない限り一般に客観的かつ公正な価格が示されるものと解することができるというべきである。したがつて、被告が本件土地の隣地である前記土地を昭和四三年二月ころ一平方メートルあたり四五、四〇〇円で取得したという事実は、当時の本件土地近隣地の客観的かつ正常な市場価格が右金額に近いものであつたことを十分窺わせるに足るものであるといえる。そうとすれば、右土地が任意買収された後である本件土地についての法七一条所定の基準時(収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月二四日)における本件土地の正常な価格が、その間の地価上昇を相当程度考慮したとしても本件裁決にある一平方メートルあたり六二、二〇〇円を上回ることがないことは、明らかであるといわなければならない。

もつとも、<証拠省略>によれば、右のように任意買収された隣地所有者は、当該土地に接して本件都市計画事業の起業地に含まれない土地を所有していて、その土地が起業利益によつて値上りすることを期待して比較的安価な買収価格に応じたことが窺われなくはないが、仮にそのような事情が認められたとしても、前記説示したところには直接影響しないのみならず、仮に右事情をある程度斟酌するとしても、右土地の買収価格と本件裁決で認定された本件土地の価格との差を考慮すれば、本件裁決における価格が過少でないとする前記結論に変わりはないというべきである。

3  以上のように、収用手続開始の告示がなされた昭和四三年八月二日における本件土地の「相当な価格」は、本件裁快で認定された一平方メートルあたり六二、二〇〇円を上回ることはないと解すべきであるが、原告はさらに本件裁決における法七一条所定の修正率の誤りを主張する(原告の反論一5)。

しかし、本件裁決がなされた昭和四四年三月二七日当時施行されていた昭和四九年政令三八八号による改正前の土地収用法施行令(昭和二六年政令三四二号)一条の一二及び附録によれば、右修正率の算定方法については被告主張の別紙四記載のとおり規定されていたものであり、本件裁決にあたつて右の方法に基づき算定した修正率一・〇一五五を適用したことは、なんら誤りでないことが明らかである(なお、右算定にあたつて用いられた全国総合消費者物価指数及び投資財指数の対象の選択あるいは数値は、一部当事者間に争いのないもののほかも弁論の全趣旨により正当なものと認める。)。

したがつて、法七一条に基づき右修正率により算定された本件裁決における土地に対する損失補償金の額(六二、二〇〇円×九一九・〇五平方メートル×一・〇一五五=五八、〇五〇、九六六円)の増額を求める原告の主張は、すべて理由がないものといわなければならない(なお、本件土地の面積が九一九・〇五平方メートル(実測値)であることは当事者間に争いがない。)。

三  営業補償費について

1  本件裁決における土地の損失補償以外の補償について、原告は、営業補償費の額のみの増額を求め、動産移転補償費及び移転補償雑費についてはこれを認めるものである。そして原告は、本件土地の収用に伴い原告の宅地造成事業が中断したとして、その間の逸失利益相当の営業補償を求めるものであるので、原告の右主張の当否について検討することとする。

2<証拠省略>並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。

原告は、本件土地を昭和三六年一二月ころ購入ししばらくはこれを荒地のまま放置していたが、原告代表者と姻戚関係にあり原告の宅地造成事業の現場主任でもある田原治郎は、本件都市計画事業決定の告示の後である昭和三九年六月ころ、本件土地上に廃材等を使つた仮設建物を建築確認を受けず無届のまま建築し、その後これを二階建(延約一六坪)に増築して自己とその家族の住居として使用するようになつた。田原は、その後右建物に接して、同様に廃材を使つた仮設建物を順次増築し、本件土地が収用されるころまでこれを原告の事務所(約一五坪)、物置(二、三坪)あるいは車庫(約一五坪)として用い、また本件土地の残り部分の一部を資材や廃材あるいは建設機械等の置場として使用していたが、本件土地の他の相当部分は荒地のまま雑草が繁茂するに任せていた。また、原告の宅地造成事業は、通常は自らの従業員五、六名くらいにより行なつており、本件土地上の右建物は、従業員が現場に赴く場合などの集合場所、あるいは事務所が連絡場所として使用されていたほか、ときには従業員の仮泊所としても使用されたが、電話の設備はまつたくなく、また原告の従業員である田原の妻以外には特に事務員等は勤務していなかつた。なお、本件土地に右建物が建築された直後ころ、町役場の係官が訪れ、田原に対し違反建築であることを指摘したが、右建物がいずれも仮設のものであつたことなどにより結局そのまま黙認されることになつたものの、田原は、そのころから本件都市計画事業により将来は本件土地を立退かなければならないことを認識していた。

以上の事実が認められるところ、この認定に反する<証拠省略>はいずれも措信できないし、<証拠省略>も右認定の妨げとなるものではない。

原告は、本件土地の収用により原告の宅地造成事業の中枢機能が失われ、代替地が使用できるまでの一三か月間にわたり右事業が中断したと主張し、<証拠省略>には右主張に沿う部分もあるが、しかし、前記認定事実によれば、本件土地及び地上建物が営んでいた機能は、原告の営業にとつてはせいぜい資材等の置場及び事務連絡場所程度の役割のものであつて、本件土地が収用されたからといつて事業をまつたく中断しなければならないほどの重要な機能を本件土地が有していたとまでは到底解せられず、したがつてまたその代替地を取得することもさほど困難であるとまでは認められないというべきであるから、仮に原告主張のような事業中断の事実があつたとしても、その間の逸失利益相当の損害は法八八条所定の「通常の損失」とはいえないことが明らかであるといわなければならない。

のみならず、本件土地及び地上建物が営んでいた前記の機能のうち、原告の営業の事務所としての機能については、<証拠省略>によれば、原告は、本件土地の収用後まもなく事務所及び田原らの住居を移転していることが認められ、また<証拠省略>によれば、原告は四谷にも当時事務所を有していたことが認められるから、本件土地上の事務所が果たしていた機能は、収用後ただちに他の場所において容易に代置しえたものと解され、このことからも原告の主張が失当であることは明らかといわざるをえない。

しかも、本件裁決においては、原告に対する営業補償費として器具及び資材等の置場とする土地を賃借する四か月分の費用として二四八、八〇〇円が認められている(この事実は当事者間に争いがない。)のであるから、恒久的な代替地を取得し使用するまでの間を四か月としてその間の土地賃借料が補償され、したがつて、本件土地の営んでいた資材等置場としての機能が失われたことによる損失の補償がなされていることになり、右の補償項目自体に関する期間及び金額等が格別に過少ないし不当であるという主張立証のない本件においては、前記認定事実に照らしても、本件裁決における営業補償費は原告に対する損失補償として相当なものであるというべきである。

3  したがつて以上によれば、本件裁決における原告に対する営業補償は、原告が本件土地の収用に伴つて被つた営業上の損失について、法八八条所定の「通常の損失」の補償として相当なものであると解すべきであり、営業補償費の増額を求める原告の主張は、結局理由がないものといわなければならない。

四  結語

以上の次第であるから、本件裁決における原告に対する損失補償額の増額を求める原告の主張はすべて理由がないことに帰する。

よつて、原告の本訴請求はすべて失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 内藤正久 山下薫 三輪和雄)

(別紙一)ないし(別紙三)<省略>

(別紙四)

修正率= PC'Pi'

=(351.9×1/3)/(345.1×1/3)×0.7+(321.5×1/3)/(319.8×1/3)×0.3

= 1.020×0.7+1.005×0.3

= 1.0155

全国総合消費者物価指数

投資財指数

43年7月

113.5

106.4

8月

114.5

106.5

9月

117.1

106.9

平均

PC=345.1×1/3

Pi=319.8×1/3

43年11月

117.5

107.1

12月

117.0

107.1

44年1月

117.4

107.3

平均

PC'51.9×1/3

Pi'21.5×1/3

(別紙五)

会社名

住所

氏名

m2辺り価格

狛江不動産

北多摩郡狛江町和泉二一二五

市川三郎

約四八、五〇〇円

松坂不動産

〃  一五八〇

代表者 松坂鈴男

評価 森某

〃五一、五一五円

和泉産業不動産部

〃  二〇七五

長山永

〃五一、五一五円

岩原不動産

世田谷区喜多見町二一六〇

岩倉栄

〃五一、五一五円

KK日本不動産銀行

千代田区九段北一丁目一三-一〇

千葉弥千雄

五五、〇〇〇円

鶴田不動産鑑定事務所

豊島区池袋八-三三七一

鶴田辰雄

約五九、〇九一円

KK宮武事務所

港区北青山二丁目四-七

宮武安造

〃六一、〇〇〇円

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