東京地方裁判所 昭和45年(ワ)12486号 判決
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〔判決理由〕およそ、自動車の人身事故による損害に関する限り、運行供用者は、単に当該事故が自動車の「構造上の欠陥又は機能の障害」(以下自動車の欠陥という。)に基因するものであるというだけではその損害を賠償する責を免かれえないこと、自賠法三条但書がこの点の免責事由として自動車の欠陥が「なかつたことを証明した」ときと規定していることに徴して明らかであつて、たとえ、保有者ないし運転者が、日常又は定期の整備点検の際相当の注意をもつてしても発見することができないような自動車の欠陥に基因する事故であつても、同条は、被害者の保護と自動車運送の健全な発達を期するため、これによる損害を運行供用者に賠償せしめる趣旨に出たものというべきである。しかし、同法といえども、不可抗力による免責を否定しているわけではなく、事故の基因となつた自動車の欠陥が近代機械工学等の知識と経験をもつてしてもなお事前に検知しえないものである場合には、運行供用者は、その責任を免かれうるものと解するのが相当である。
いま、本件についてこれをみるに、仮りに被告主張のごとく、被告車には主張のごとき欠陥があつて、本件事故はその欠陥に基因するものであるとしても、当該欠陥が近代機械工学の知識と経験をもつてしてもなお事前に検知しえないものである点については被告の立証しないところであるから、それが被告において日常又は定期の整備点検の際相当の注意をもつてしても発見することができないものであるかどうかにかかわらず、被告は、加害車の運行供用者として本件事故による損害の賠償義務を免がれず、被告の免責の抗弁は、採用に由ないものというべきである。
(渡部吉隆 田中康久 大津千明)