東京地方裁判所 昭和45年(ワ)12630号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕(事故の発生)被告は「右受傷の事実自体を争い、かつ、仮にこの時原告が傷害を受けたとしても原告の損害を本件事故とは因果関係を有しない」旨主張するけれども、頸推捻挫症は、必ずしも高速度で衝突し、物損が大きいときに、より重症になるとも限らないことは当裁判所に顕著な事実であり、原告の傷害の原因が他にあることについて特段の立証のない本件においては、右認定の傷害の部位・程度が、いわゆる心因性のみによつているという証拠もない以上、本件事故と相当因果関係があるものと認めるのを相当とする。<中略>
(四) 休業損害
<証拠>によれば、原告は本件事故による前認定の治療のために勤務先たる三福商店を少なくとも昭和四二年一〇月二五日(入院の翌日)から昭和四五年五月一八日まで休んでいること、原告の平均月収が金三万五三〇〇円年間賞与が五万八〇〇〇円であること、昭和四三年一月以降給料の支払が停止されたことが認められる。
他面、<証拠>によれば、官署に対する所得金額として昭和四二年分を金四五万八〇五〇円、昭和四三年、四四年分については、各金四四万四〇〇〇円宛の総収入があつた旨の申告をしていることが認められる。
右認定事実によれば、申告所得額をみるかぎり特段の減収は認められないこととなる。しかしながら、原告が入通院したことに伴い、その稼働による収入が得られなかつたことも、原告が一介の勤め人にすぎない事実から容易に推測できるので、入院中(一四五日)の分としては事故当時の平均日収金一一七六円金額を認めることとし、通院中の分は、その実日数(敬愛病院五七日と慶応病院六四一日との合計六九八日)に限り、右日収の三分の一を休業損害と認めるのを相当とする。 (龍前三郎)