大判例

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東京地方裁判所 昭和45年(ワ)1692号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件マネージヤー契約の大要は、次のとおりである。

「(1) 被告西城は昭和四三年一月一五日から一年間自己のボクシング試合、練習等について原告を誰一独占的なマネージヤーとする。

(2) 同被告は原告に対し、右マネージヤーの報酬として、同被告の所得から経費を控除した残額の三分の一を支払うものとする。

(3) 原告は同被告の試合等収入を保証するために最善の努力をし、原告がそのために締結する契約事項を同被告は忠実に履行する。」

【判旨】

被告西城が元プロボクシング世界フエザー級選手権を保持した拳闘選手であり、被告金平が被告西城のマネージヤーであつたこと、原告と被告西城との間で昭和四三年一月一五日カリフオルニア州で原告主張の内容の本件契約(マネージヤー契約)が締結されたこと、被告金平が同年一二月中旬ごろロスアンゼルスにおいてフイリピンのロツペ・サリエルとの間に被告西城とゴメス選手との第一回フエザー級世界選手権防衛試合を行う旨の契約を締結し、右試合は昭和四四年二月九日東京において挙行されて、被告西城が勝利を収めたことはいずれも当事者間に争いがない。

被告西城が右試合により取得すべきフアイトマネーとしての原告主張の昭和四三年一二月頃原告主張の四万五、〇〇〇ドルを受領したことを認めるに足りる証拠はなく、<証拠>によれば、右フアイトマネーの約定金額は一万五、〇〇〇ドルであることが認められ、被告西城が右邦貨換算五四〇万円を試合後に受領したことは、被告らにおいて自認するところである。

ところで、本件契約がプロボクサーとそのマネージヤーになろうとする者との間のマネージヤー契約であることの性質上当然に、契約に基き原告に支払われるべき報酬は、原告がマネージヤーとして被告西城に対し、同被告の選手生活上必要な修養、鍛錬の場を整備し、他のボクサーとの試合等に関する契約交渉をし、試合の準備をするなど管理業務を内容とする役務を提供することの対価であることは明らかであつて、争いのない本件契約の条項において、原告は被告西城の試合等による収入を保障するため最善の努力をすべきものとされているのである。

したがつて、原告は、契約期間中といえども、何らの役務の提供をしないときは、報酬請求権を取得しないものというべきである。

原告の本訴請求にかかる報酬は昭和四六年二月に実施されたゴメス選手との試合に関するものであるところ、原告は、右試合の契約をするについて準備等のサービスを提供した旨主張するが、右主張のサービスの具体的内容を明らかにしない。

そして、被告西城が右試合契約締結の昭和四三年一二月中旬より二か月以上前の同年一〇月七日アメリカ合衆国を離れ日本に帰国したことは当事者間に争いがなく、ロスアンゼルスに居住する原告が右試合に関しトレーニングその他の準備及び試合の実施に関与した形跡は全く存しないし、右試合契約の交渉及び締結についても原告がこれに寄与する何らかの役務の提供をしたことは証拠上認めることができない。<証拠判断略>

そこで、原告は本訴請求にかかる報酬の請求権を取得しないものというべきである。

(渡辺惺 満田忠彦 菊地徹)

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