大判例

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東京地方裁判所 昭和45年(ワ)5889号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(四) 過失相殺

ところで、被告らは、原告に過失がある旨主張するので、次に過失相殺について判断する。原告は通称大通りを西から東に向い横断するに際し、横断歩道に入る直前に(点)青信号を確認したものの、その後はうつむき加減に急ぎ足で横断歩道上を歩行し、途中で信号が赤に変つたのにこれを注視することなく、グリーンベルトの上から車道に降りる際にも(点)一瞬止つて足もとを確かめたのみで、信号を確認しないばかりでなく、左右の交通の安全も確認しないまま、急ぎ足で横断を続けたため、大通りの東側車線の中央付近(点)まで来たとき、加害車に衝突されたことは前記三の(一)の認定のとおりである。とすれば、原告には赤信号の確認ならびに左右の安全の確認を怠つた過失があることが明らかである。しかし、原告は横断に際し一応青信号を確認したのであるから、全くの赤信号無視と同視することは妥当でない。けだし、歩行者としては青信号をみた以上安心して横断するのも無理からぬところでありまた、当時のウインクの青信号の時間が僅か四秒であつて、いささか短かすぎたという交通規制の不備も一方的に歩行者に不利に斟酌さるべきではないからである。ところが、他方原告の信号不遵守の結果を、いわゆる「信号残り」の場合と同一視するのも相当でない。思うに、歩行者は広い道路を横断するときには、途中で信号が変るか、変りそうになつた場合は、その付近にグリーンベルト等があれば、そこで一時停止して、信号が再び青に変るのを待つのが通常であつて、自動車運転者としても歩行者にこのような行動を期待するわけであり、信号が途中で変つたのに避難場所もなくそのまま横断せざるをえないいわゆる信号残りの場合とは同日に論じられない面があるからである。そこで、右にみた原告の過失の程度に、前記三の(一)認定の被告利太郎の過失の程度、本件事故態様、交通および道路事情ならびに原告の損害のうち治療費の占める割合がかなり高いことなどを考え合わせると、原告の前記の財産的損害については、五五パーセントの過失相殺をするのが公平の理念に照らして相当と考える。

よつて、原告の前記財産的損害のうち、被告利太郎において負担すべきものは、過失相殺の結果、一五一万六五〇〇円となる。 (加藤和夫)

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