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東京地方裁判所 昭和45年(借チ)1025号 決定

〔主文〕1 申立人が本裁判確定の日から三カ月以内に相手方らに対し金三一三、〇〇〇円を支払うことを条件に別紙目録(二)記載の改築を許可する。

2 本件賃貸借の賃料を右金員支払の月から一カ月3.3平米当り金六〇円と定める。

〔理由〕一 本件申立の要旨

1 申立人は、昭和二二年六月一〇日北沢清七から別紙目録 (一) 記載の土地(以下「本件土地」という。)を、非堅固建物所有の目的、期間の定めなく賃借し、その後相手方らが賃貸人たる地位を承継した。

2 申立人は、本件土地の上に家屋番号六一番の六、木造瓦葺平家建居宅床面積51.23平方米(15.5坪)を所有している。

3 申立人は右建物を別紙目録(二)記載のとおり改築すべく計画中であるが、本件賃貸借契約において、増改築につき、賃貸人と話合う旨の約があるところ、右改築につき相手方らの承諾がえられないので、右承諾に代わる許可の裁判を求める。

二 当裁判所の判断

1 本件で取調べた資料によれば、前記一の事実(ただし、本件賃貸借契約の成立日を昭和二三年六月一四日と訂正する。)のほか、本件賃貸借の賃料は、相手方らが本件土地を買受けた昭和三六年八月以降紛争中のため申立人において供託中であることを認めることができる。

しかして、右資料によれば、申立人の改築計画は、土地の利用上および法令の制限上相当であり、他にこれを不当とする事由はない。

相手方らは、(1)土地境界に紛争があること、(2)借地権消滅時期が迫つていること(3)申立人に背信事由があること(4)相手方らが本件土地を自己使用する必要があることを理由として申立は棄却さるべきであると主張するが、本件において土地境界の争いある範囲はわずかであり、本件土地の正確な実測坪数は明らかでないが、右争い部分を除いても少くとも三六坪は存するので、本件改築は法令の制限内にあり、右境界の紛争にかかわらず本件改築を不当ならしめない。また、本件借地期間はなお七年余あり、現建物も老朽化してはいるが、いまだ朽廃が近いとはみなしがたいうえ、契約満了時において相手方らの更新拒絶につき正当事由の有無は予見困難であつて、これをもつて改築を許可しないのは正当でない。また相手方らの主張する背信行為のみでもつてはいまだ改築を不当とする事由に至らない。

そこで、本件申立は、これを認容すべきである。

2 附随の処分につき検討する。

鑑定委員会の意見は、申立人に財産上の給付として、金二五万円の支払を命じ、賃料を3.3平方米当り六〇円に増額するのを相当とし、給付額の算定方法として、本件土地の更地価格を一平方米当り金七五、〇〇〇円、借地権価格をその七〇%としたうえ、借地権価格の四%(更地価格の2.8%)の支払が相当であるとしている。

ところで、本件改築は、既存建物を取りこわし新材をもちいて全面的に建てなおすもので、これにより、朽廃による消滅する借地の期間の延長させ、期間の満了時の正当事由の要素として賃借人に有利となり、更に買取価格の増額により賃貸人が明渡を求めにくくなる等の利益、不利益を各当事者に与えるのであるから、その利害を調整するため、申立人に財産上の給付を命ずべく、その額は、既存建物が大正年間建築のかなり古いものであること、および、本件賃貸借契約の経緯にてらし、鑑定委員会の定める本件土地の更地価格八、九四七、五〇〇円の3.5%にあたる金三一三、〇〇〇円(百以下切捨て)とするのが相当である。

賃料は、従前の賃貸借経緯および利用効率の増加により、この際改訂すべく、鑑定委員会の意見に従い3.3平方米当り一カ月金六〇円と定める。

なお、本裁判にともない期間の延長は相当でないので行なわない。(筧康生)

目録 (一)

(土地)

東京都北区西ケ原四丁目六一番五号

宅地(登記簿上)119.30平方米

(36.09坪)

目録 (二)

(改築計画)

現存建物の取りこわし、

木造モルタル瓦葺平家建

建坪約69.42平方米(21坪)

を建築する。

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