東京地方裁判所 昭和45年(借チ)4号 決定
〔主文〕1 申立人・相手方間の別紙目録記載の土地賃貸借契約の目的を堅固建物所有に変更する。
2 右土地賃貸借契約の借地期間を昭和六四年一二月三一日までに改め、賃料を本裁判確定の月の翌月分から3.3平方米当り月額九九二円に改める。
3 申立人は、相手方に対し、金四〇八万円の支払をせよ。
4 申立人が相方方に本裁判確定の日から三月以内に前項の金員とは別に金三八八万円を支払うことを条件に、申立人が別紙目録記載の土地賃借権を大阪市東区岡山町三六七番地丸高衣料株式会社に譲渡することを許可する。
〔理由〕(申立の要旨)
1 申立人は、相手方から、別紙目録記載の土地80.09平方米(以下本件土地という。)を建物所有の目的で賃借中にして、同地上に家屋番号一七番木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建店舗兼居宅床面積一階74.90平方米二階71.73平方米(以下本件建物という。)を所有している。借地契約の現在の内容は別紙目録記載のとおりである。
2 本件土地は、防火地域、商業地域の指定を受け、申立人が前借地権者村田順平から本件土地借地権の譲渡を受けた昭和二五年一〇月七日当時は堅固建物は少なかつたが、現在は高層化が一般的傾向であり、契約の目的を堅固建物所有に変更したいが相手方と協議が調わない。
3 また、申立人は、本件建物および本件土地賃借権を主文掲記の丸高衣料株式会社に譲渡したいが、相手方の承諾が得られない。
4 よつて、借地契約の目的の変更および借地権の譲渡につき賃貸人の承諾に代わる許可の裁判を求める。
(決定理由)
1 本件の資料によると、申立の要旨として掲げた前記1の事実のほか、本件土地附近は、防火地域、商業地域の指定を受け、建物の高層化の傾向に変化しつつあること、および、丸高衣料会社が本件借地権を譲り受けても相手方の不利になるおそれがないことが認められるので、本件各申立はいずれも認容すべきである。
2 附随処分
借地契約の目的を堅固建物に変更することにより、建物の耐用年数は著しく延長され、また、借地人としては、土地を効率的に使用することができるので、当事者間の利益の衡平を図るため、申立人に相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当である。鑑定委員会の委員の意見によれば、本件土地の更地価格は一平方米当り四三万六、二三〇円と評価するのが相当であることが認められ、給付額は、右更地価格を基礎とし、同委員会の意見を参考にし、一方、当裁判所の従来の裁判例を考慮し、金四〇八万円を相当とし、本件の資料によれば、昭和三五年一月一日当事者の合意で借地期間を同月から二〇年間に改めたことが認められるので、借地期間を昭和三五年一月一日から三〇年間に変更し、賃料を鑑定委員会の意見に従い3.3平方米当り月額九九二円に改める。
また、借地権の譲渡許可に伴い、申立人に相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当である。鑑定委員会の意見によれば、本件土地の借地価格は更地価格の約八〇%にあたる三一〇九万円と評価するのが相当であることが認められ、給付額は、右借地権価格を基礎とし、同委員会の意見を参考にし、一方、当裁判所の従来の裁判例を考慮し、金三八八万円を相当とする。(小山俊彦)
目録
(土地賃貸借契約)
一、当事者
賃貸人 相手方
賃借人 申立人
二、借地権の目的たる土地
東京都中央区日本橋大伝馬町二丁目三番三宅地628.76平方米のうち80.09平方米
三、借地契約の目的
非堅固建物所有
四、残存期間
昭和五四年一二月三一日まで
五、賃料
昭和四四年七月一日以降月額一万八、六〇〇円