大判例

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東京地方裁判所 昭和45年(借チ)46号 決定

〔主文〕1 申立人相手方間の別紙目録記載の土地に関する賃貸借契約の借地条件を次のとおり変更する。

(1)使用目的を堅固建物所有とする。

(2) 存続期間を本裁判確定の日から三〇年とする。

(3) 賃料を本裁判確定の月の翌月分から3.3平方米当り一ケ月三五〇円とする。

2 申立人は、相手方に対し、金二七万円の支払をせよ。

〔理由〕(申立の要旨)

1 申立人は、相手方から別紙目録記載の土地を非堅固建物所有の目的で賃借中にして、同地上に木造二階建店舗一棟を所有している。

2 申立人は、右建物を堅固建物に改築したいが、相手方の承諾が得られないので、使用目的を堅固建物所有に変更する裁判を求める。

(決定理由)

1 本件の資料によると、申立外谷合嘉一郎は、相手方から本件土地を含む四〇数坪を非堅固建物所有の目的で、期間を定めずに賃借し、同地上に木造平家建一棟を建築所有し、申立人の先代亡竹越銀四郎は、昭和二四年頃相手方の承諾の下に谷合嘉一郎から右建物を借地権付で買い、同建物に増改築を施してこれを二階建店舗とし、申立人は、昭和四五年二月銀四郎の死亡にともない相続により借地人の地位を承継したこと、右借地のうち120.40平方米(三六坪四合二勺)が東京都昭和四四年都市計画事業補助三六号線工事のため買収されたこと、及び現在の賃料が3.3平方米当り二〇〇円であることが認められる。

相手方は、谷合嘉一郎に右土地を賃貸した際借地期間は右道路が完成するまでと定めたところ、道路が完成したので、これにより借地契約は終了したと主張するが、谷合嘉一郎の陳述によれば、そのような約束はなされなかつたことが認められる。

3 借地の面積について

相手方は、当初谷合嘉一郎に賃貸した借地の面積は四二坪であり、道路拡張により一部が東京都に買収されたので現在の借地面積は六坪一合五勺であると主張する。しかし、東京都に買収されたのは三六坪四合二勺であるから、現在の借地面積が六坪一合五勺であるとすると、買収前の借地面積は四二坪五合七勺ということになり、主張が一貫しないことになる。申立人が現実に占有している部分を実測した土地家屋調査士小菅武作成の現況図に対し、相手方は、当初の借地の境界につき2、3、4の各点の位置を争わず、5点が一〇センチメートルないし二〇セン位メートル4点寄りであるというが、借地に関する契約書もなく、貸地の範囲を明確にした図面もない本件では、申立人が先代時代から二〇年以上現況図に示された部分を占有していた事実を重視し、かつ、本件建物の除却が遷延を許されない事情にあることを考えるとき、借地の範囲の争いは後日の訴訟等による確定を待つこととし、非訟手続では借地面積を右現況図に基づく申立人の主張どおりとするのを相当とする。

4 本件の資料によると、谷合嘉一郎が本件土地を賃借した当時、附近一帯は建物も少なかつたが、その後商業地域、準防火地域、第五種容積地区の指定を受け、最近は建物の高層化が進められていることが認められるので、右客観事情の変更から、現に借地権を設定する場合には使用目的を堅固建物所有とするのが相当であるので、本件申立は、これを認容すべきである。

5 附随処分

本件申立が認容されることにより、申立人は、本件土地を、従前と異り、最有効に利用することができるので、当事者間の利益の衝平を図るため、申立人に財産上の給付を命ずるのが相当である。鑑定委員会は、財産上の給付を求めるにあたり、借地権価格の増加に着目し、その増加分を給付額とする考えに立脚しており、右の考えには賛意を表するが、ただ、借地権価格の増加を捉える場合、使用目的の変更による借地権価格の増加のほか、これに、木造の増改築による借地権価格の増加を加えるのは疑問である。なぜならば、使用目的の変更により、申立人は、堅固建物に改築しうるのであるから、借地権価格の増加は、使用目的の変更による増加を見れば足りるからである。同委員会は、使用目的の変更による本件借地権価格の増加を更地価格の一〇%としている。右一〇%の根拠についての理由づけはともかく、従来の裁判例からすると妥当と思われるので、給付額を同委員会の評価による本件土地の更地価格(3.3平方米当り四一万円)の約一〇%に当る二七万円とする。

申立人は、本件申立の認容により本件土地を従前より有効に利用することができるので、賃料も右利用価値の増加にふさわしく増額すべく、鑑定委員会の意見に従い3.3平米当り一ケ月三五〇円に改定し、存続期間を本件裁判確定の日から三〇年延長することとする。

(小山俊彦)

目録

借地権の目的たる土地

東京都大田区蒲田一丁目二六番七

宅地  230.41平方米(六九坪七合)

のうち 21.81平方米(六坪六合)

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