東京地方裁判所 昭和46年(ワ)3126号 判決
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〔判決理由〕第二 一(損害)
(二) テルの逸失利益
(1) <証拠>によるとテルは明治四〇年一二月一〇日生の健康な女性で、本件事故当時スナック喫茶「ユニゾン」(東京都新宿区所在、坪数約七坪。従業員八名、売上げが月一二〇万円位)とバー「カノン」(前同所所在、坪数約五坪、従業員四名、売上げ月六〇万円位)の総支配人であつたこと、右会社の代表者は名義上テルの娘である原告芙規子になつていたけれども、実質はテルが経営者であつたこと、テルは昭和三四年以来バーや喫茶店を経営し、これらが法人化してからは総支配人名義で夕刻から深夜まで立働いていたことその結果本件事故当時月収二〇万円を得ていたことが認められ、成立に争いない乙第二号証をもつてしては末だ右認定を左右するに足りず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
しかしながらテルが老令の女性であること、前記会社の経営状態等を併せ考えるとテルにおいて本件事故にあわなかつた場合なお長期間にあたつて月平均二〇万円の収入をあげえたかは甚だ疑問である。むしろ前記認定事実に弁論の全趣旨を併せ考えると、テルは以後七年間にわたり毎月一〇万円程度の収入を得ることが出来たものと推認するのが相当である。そこでこれを基礎にして生活費として二分の一を控除し、ライプニッッ方式により現在価値を算出すると次の通り金三四七万円一七八〇円となる。
以上の通りテルの逸失利益は金三四七万一七八〇円であるところ、これに前記テルの過失を斟酌すると被告に請求しうるべき金額は金二七七万七四二四円となる。
(佐藤寿一)