大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(ワ)9221号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕2 逸失利益 金一二九万八八二〇円

<証拠>によれば、会社の資本金は一五〇万円、原告が実質上唯一の経営者であり、本店において美術骨董品を、支店(所在地は本店の一軒おいて隣り)において美術骨董品の外骨董品に属する楽器の販売をしていること、本件事故当時従業員は原告の外その子を含め五名であつたこと、会社の扱う美術骨董品の仕入れ、販売については、豊富な経験と高度の鑑識眼が必要とされ、これを備えている原告に一切が委ねられていたこと、右商品の仕入れは専ら東京美術商協同組合や日本百貨商業協同組合からなされていたが、特に東京美術商協同組合においてはその組合員のみが取引をなしうる仕組みになつていたところ、右組合員たるべき者には資格に制限があり、会社では原告のみがその資格を有するに過ぎず、ために原告療養中は、やむをえず一時会社の扱う商品の種類を変更し、専門的知識を必要としないものにしたり、或いは親族の協力援助を仰いで仕入れをなし、会社の収益の減少を極力防止するように努力していることが認められ、右事実に前認定の原告の傷害の部位程度、治療経過、後遺症の程度、原告の地位、年令を併せ考えると、原告は本件事故により昭和四三年五月八日から五年間にわたり労働能力を喪失し、その割合は約二五%程度と認められる。もつとも前掲甲第四号証の四には原告が昭和四三年五月以降も引続き一月一二万円の給料の支払を受けている旨の記載があるが、右時点においても原告が会社から給料相当額の支払を受けている趣旨が実質は借入金であり、被告から支払を受けた場合はこれを会社に返済する旨の約定がなされていることは、証人関口美代子の証言により認められるので、右認定を妨げるものではない。

又原告が前認定の代表取締役の地位にあるので、自身の給与を自から決定しうる地位にあるとは云え、原告が後遺症によりその執務に支障を来たしていることは、前記認定の通りであり、ために会社自体が納税申告上はともかく実質的に収益の減少を来していることは推認に難くないので、原告が代表取締役たるの一事をもつて将来にわたり事故がなかつたと同様の報酬をえられることの十分な保障があるとは云えず、その他原告には損害の発生はないこと乃至は損害が十分填補されていることの反証もない。そこで右逸失利益の昭和四三年五月八日における現価はライプニッ方式により次の通り金一二九万八八二〇円と算定される。

(100,000円×12×0.25×4.3294=

1,298,820円)

(なお原告は昭和四三年五月八日当時月収が一二万円であつたからこれを基礎として算定すべきものと主張するが、前認定の如く、右一二万円は実質上会社からの借入金であつたことを考慮し、本件事故当時の月収一〇万円を基礎とする。)

(佐藤寿一)

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